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BitStarとLIDDELL、インフルエンサーマーケティングの可視化へそれぞれの挑戦

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インフルエンサー起用時に、何をKPIとするのかを悩む広告主は多い。そのなかでインフルエンサーが持つ影響力をできるだけ可視化し、数値化に挑むインフルエンサーマッチングプラットフォームがある。YouTubeに強い株式会社BitStar(ビットスター)とInstagramインフルエンサーを多く抱えるLIDDELL(リデル)株式会社だ。それぞれの取り組みと今後の展望について聞いた。
※ BitStarのIPRの仕様変更があったため該当部分を加筆修正しています。(2019年10月31日)

ときに情報発信局、ときにタレントと幅広く活躍するインフルエンサーは、フォロワー数や専門性に応じて、メガ、マイクロ、ナノなどと細分化され、各分野で強い影響力を発揮している。ソーシャルメディアマーケティング支援のサイバー・バズが2019年9月に上場するなど、美容業界でもプロモーションに欠かせない存在となっているインフルエンサーの起用や効果について、どう仮説をたて、判断するのかは広告主各社が頭を悩ませるところである。

その判断基準がフォロワー数だけではないことは、マイクロやナノインフルエンサーの躍進などを見ても明らかだ。そこで、起用の根拠やプランニングについて具体的な数字を提示するのが、YouTubeで活躍するインフルエンサーを多く抱えるBitStarである。出稿事例ごとの比較など広告的視点を維持することで、広告主とのより密なコミュニケーションを目指している。

「IPR」はインフルエンサーのパワーを可視化する

同社のインフルエンサー・マッチングサービス「BitStar」は、現在導入実績1,000社、インフルエンサーの掲載情報は10万人を数える。広告主がこのサービスを通じてインフルエンサーを起用する際の判断を助けるために、インフルエンサーに関するさまざまなデータをわかりやすく可視化し、タイアップ広告のKPI設計をサポートするマーケティングツールが「IPR(インフルエンサー・パワー・ランキング)」だ。

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出典:BitStar

YouTube、Instagram、Twitter、LINE LIVEといった各プラットフォーム毎のインフルエンサーを、一定のフォロワー規模毎にフォロワー数や平均エンゲージメント数のランキングで確認できるほか、ジャンルなどの絞り込みも可能になる。さらにYouTubeのタイアップ事例も収集しており、案件毎の出稿数や実施後の視聴数推移なども確認できる。

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IPRのダッシュボード
さまざまな条件でインフルエンサーの
ランキングを絞り込むことができる。
画像提供:BitStar

特筆すべきは、ある特定のインフルエンサーがどのような視聴者に支持されているのかを可視化したことだ。YouTube上のコメントを機械学習によって分析し、属性や傾向、さらには、そのタイアップを見た視聴者の反応についても把握できる。株式会社BitStar 執行役員 広告ユニット/プロダクションユニット管掌 矢澤孝明氏は「フォロワーが多い少ないだけでなく、“誰が見ているのか”を知ることが重要だ」と話す。

ここで導き出されたレポートをもとに、自社のサービスであるBitStar、インフルエンサーのプロダクション機能をもつE-DGEなどと連携することで、商品やプロジェクトごとに最適なプランを提案している。たとえば、リリースと同時にトップセールスを取ることがミッションのゲーム系クライアントの実例では、「いま伸び盛りのクリエイター」の割り出しを、感覚に頼ることなく、数値ベースで確実な成果が期待できる起用を可能にする。

最もニーズが多い美容関連タイアップ事例では、ドラッグストアなど小売り店での販売棚をいかに獲得するかを、美容系YouTuber起用のKPIとする広告主が増えているという。YouTuberが制作した製品プロモーション動画を二次利用し、短く再編集して店舗で流すと商品の売れ行きがよくなり、結果として売り場の棚位置がさらに有利な場所に動く可能性が高くなる。そのため、視聴者の属性、動画のジャンルや動画スタイルなどが、広告主の販売商品や目的に合うか、タレントの適合性を見極めたうえで、二次利用など多様化するニーズに対応できるインフルエンサーをアサインしていくのが通常となっている。

このIPRは、3日間無料、4日目以降1ヶ月10万円という価格で利用できる。広告主のほか、広告代理店やプランニングを行う制作会社の利用も多いという。

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株式会社BitStar 執行役員 広告ユニット/
プロダクションユニット管掌
矢澤孝明氏


独自の数式で編み出したリデルの「共感指数」

一方、SNSで活躍するインフルエンサーのマッチングが主力のリデルが運営する「SPIRIT」は、インフルエンサーの投稿に対する共感の数値化に着目した。より高いエンゲージメントをもたらす的確な人選を企業に提案するためのロジックを編み出しており、11月のリニューアルではさらに機能が拡充される。

SPIRITには、現在約2万人のインフルエンサーが登録している。月額固定費や登録料は無料で、企業からの依頼に対してインフルエンサーがエントリーする公開プロジェクト方式をとる。企業側とインフルエンサー側が同じアプリを使うことでコミュニケーションが円滑に保たれるのだが、特徴的なのは「ここに“熱量”を加えているところだ」とリデル株式会社 代表取締役CEO 福田晃一氏は話す。

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出典:リデルの公式サイトより

インフルエンサーは、エントリーする際に企業担当者に意気込みを伝えるのだが、これが起用において重要なポイントとなる。フォロワー数重視でアサインしたインフルエンサーがある意味「ビジネスライク」に投稿するよりも、フォロワー数は少ないが、そのブランドや商品に思い入れや共感力があるインフルエンサーのほうが、結果的に高いエンゲージメントを叩き出すことがあるからだ。

こういったSNSにおける独特の熱量を的確に捉え、マーケティングに落とし込むために同社が可視化を試みたのが2018年に運用をスタートしている「共感指数」だ。

共感指数とは、主にInstagram上で、インフルエンサーの投稿が生み出す共感の強さを表す指数で、フォロワー数平均1万のインフルエンサーの投稿を独自に調査し導き出したロジックと数式で算出され、下記の5項目からなる。

■影響の範囲の値
たとえばリーチなど、その投稿がどのくらいの数のフォロワーの目に触れるのかの基準となる指標。

■承認の値
その投稿にどれだけの「いいね」とコメントがついたかを示すものだが、「いいね」とコメントの相関関係、コメントの重み、フォロワー数など考慮して出す指標。

■発見の値
ハッシュタグの選び方、どのくらいの人にハッシュタグを通じて見つけてもらったか、ハッシュタグの時代性を考慮して出す指標。

■参考の値
その投稿がどれだけ見た人の参考になったかを示す指標で、キャプションそのものとハッシュタグとの関連性、相関性も考慮している。

■印象の値
写真がもたらす印象についての指標。写真の出来映えを数値化するとともに、似たような画像の多いSNS上でフォロワーにとって新鮮な画像であるかを考慮している。

上記の5項目は互いに関連もしている。検索に対して有用なキャプションの付与は必須だが、ハッシュタグと画像の関連性、情報量の充実性、トレンド性、希少性を数千の運用アカウントから紐解きアルゴリズムに当て込んでいる。

この1投稿あたりの共感の強さや深さを測る共感指数に対し、同社では「SVI(ソーシャル・バリュー・インデックス)」という、ソーシャルメディアにおける個人の影響力やいわば信用スコアともなる新たな指標の準備を進めている。

SVIと共感指数が導き出す起用の明確な判断基準

SVIは、2019年10月現在、正式発表前で試験運用中の指標だ。リデル社がもつ5つのマーケティングプラットフォーム上で、炎上やステマの形跡、フォロワーの購入率、情報開示に加え、広告主の依頼に対する対応の速さやマナー、ホスピタリティ、ネチケットなどを評価した数値に、上記の共感指数を足しあげたものになるという。広告主にとっては、考えられるリスクをあらかじめ把握でき、その後のインフルエンサーとのやりとりもスムーズにする指標となろう。

これらの指数で、KPIが明確になり、感覚値だけに頼ることなく投稿を評価することができる。そのうえで、プロモーションする製品や内容にマッチしたインフルエンサーを起用すれば、「PR」表記がついた投稿でも十分な結果を導くことが立証できる仕組みを整えた。

インフルエンサー本人の熱意のほか、こういったロジックで投稿のもつ力が可視化され、ドライなシステムが、投稿が持つ共感力の高さをもわかりやすく示す。こういったハイブリットな評価システムは、共感が重要視されるSNSの独特なトンマナを熟知し、分析する同社ならではのサービスといえる。

福田晃一プロフィール画像

リデル株式会社 代表取締役CEO
福田晃一氏


自身を成長させ価値をあげていくエコシステム

また、リデルでは、インフルエンサー教育にも積極的だ。インフルエンサーによる投稿から購買にいたるまでのプロセスをサービスの基軸とし、各インフルエンサーのレベルに合わせたサービスを包括的に用意することで、インフルエンサー自身をより専門的なストラテジストに育成する教育を行っている。SNSサービスや機能の多様化で企業の要求も複雑化する昨今、ストラテジストとしても活動できるインフルエンサーは、中長期的にクライアントに寄り添うことが可能で、年間契約するケースもあるという。

提供サービスの「PRST(プロスト)」では、クリエイティブ能力の高いインフルエンサー人材を集めて、化粧品の大手グローバルブランドのInstagramの公式アカウントの投稿管理を行っている事例を多く持つ。ほかにも、初級のインフルエンサーが始めやすい、Instagramや他のSNSでプレスリリースを配信するサービス「EMERALD POST(エメラルドポスト)」や、注目のインフルエンサーを紹介するインタビューメディア「JANE JOHN(ジェーンジョン)」などのメディア発信により、各インフルエンサーのバリューを上げるための支援を行っている。

また、インフルエンサーが紹介した服を直接購入できるサービス『FOR SURE(フォーシュア)』では、オンラインショップでは再現しにくい接客の役目をインフルエンサーが担うことで、ECの活性化、ひいては業界全体の盛り上がりを意図している。自社の幅広いサービスによってインフルエンサーの組織化や自立を促し、さらなる活動の場を継続的にサポートしていく構えだ。

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リデルが提供する
インフルエンサーサービスのエコシステム

ビットスターとリデルに共通しているのは、インフルエンサーマーケティングの課題である「稟議が通りにくい」「効果が見えにくい」といった状況を、データの可視化によって改善するだけではなく、SNS文化の健全な発展をサポートする社会的責任に向きあい、インフルエンサーという職業の定着と業界全体の底上げに注力している点だ。好きなことを突き進めてクリエイターという道を選んだ彼ら彼女たちの職業としてのキャリアを安定させる。その展望は、インフルエンサーという新しい職種にポジティブな風を吹き込んでいる。

Text: 佐藤由佳(Yuka Sone Sato)、編集部

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