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D2C美容サプリメントがグローバルで伸長中、SNS映えや継続のための工夫も

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美容のためのサプリが世界的にも売上を伸ばしている。購入したのは英国の総人口のわずか1.4%という調査もあるが、売上レベルでは確実に成長しており、それは逆に伸びしろが大きいともいえる。SNS映えするパッケージやお菓子のような見た目、変わりつつある欧米の美容サプリの世界をレポートする。

肌や髪、爪をよりヘルシーに美しくすることをうたう美容サプリは、ダイエットやビタミン補給、体内バランスを整えるなどの、いわゆる健康系サプリに比べると、まだまだニッチなマーケットといえる。だが、ユーロモニターの2017-2018の調査によると、売上そのものの伸びは驚異的で、前年比は中国で14%増、フランスで15%増、そして米国は61%増を記録。2016年末に35億ドル(約3,800億円)だった美容サプリ市場は、2024年末までに68億ドル(約7,400億円)と8年で約2倍弱に伸びるともいわれている。(Goldstein Research調べ)

美容サプリに限らず、基本的にサプリメントは数ヶ月単位のある程度長期間にわたり、定期的に摂取しないと目にみえる結果が出ない。このため、飲み忘れなどで効果を実感できないまま、なんとなく継続をやめてしまうケースが多い。この課題を解決しようと、D2C美容サプリブランドのなかには生活習慣に取り入れやすい形を提案するブランドが増えてきている。朝のカフェオレやスムージーに溶かせる顆粒タイプや、グミやチューイングガムなどおやつ感覚で摂れるサプリである。

同時にソーシャルメディアで拡散されることを意識して、これまでの“ビタミン剤”のイメージを一新するボトルやラベルデザインを採用し、サプリそのものも鮮やかなピンクやブルーに色付けたり、女性向けのクリーンなマルチビタミンサプリのサブスクリプションを提供するRitual のように、透明カプセルにリキッドと小さな粒を閉じ込めるなど、Instagram世代への受けを考えたブランドもある。

朝食や休憩時間、就寝前のドリンクサプリ

Hum Nutrition の「Raw Beauty」は30以上のスーパーフード抽出成分を配合、天然由来のチョコミント・フレーバーのパウダーで、水やミルクに溶かして飲む。午後3時のブレイクに、カロリーの高いスナックを食べる代わりに、これ一杯で味もお腹も満足というのが売り文句である。

また、霊芝やクコの実、ナツメ、冬虫夏草といった漢方の生薬を配合し、ビューティのほかにも、安眠や滋養強壮のためのサプリをラインナップするMoon Juice も、水やお茶に溶かす顆粒タイプだ。公式サイトの製品ページには、全ての原料とその分量を書き出した詳細なファクトシートに加えて、ヨーグルトや抹茶、フローズンバナナとミックスするおすすめドリンクレシピも紹介している。

カラフルなパッケージで、お菓子感覚のサプリ

SNS映えするポップなイラストやビビッドカラーを多用したボトルデザインとグミの食感で、ミレニアル世代に「食べるビューティ」として人気なのが、gumi や、olly である。いずれも、砂糖や人工甘味料は使用しないフルーツフレーバーで、美味しく手軽に摂取できることをアピールする。

同じく、オフィスや家庭、ジムなど、どこでも思いついたら口に放り込むだけとうたうのが、チューインガムタイプのサプリSmart Gum で、12種類のビタミンを配合した「Vitamingum」は、ミントやシナモンなど3つのフレーバーで口臭予防効果もあるとする。英国のスーパーではおなじみのビタミンドリンクGet More ブランドからも、10種類のビタミンが摂れるガム「MultiVitamin Gum」が出ている。

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出典:Smart Gum公式サイト

ついには、チョコレートをビューティサプリとして提案するブランドも登場。子宮内の胎児の皮膚を保護する胎脂と同質の成分を植物由来原料から作成するのに成功した、ナチュラル&ジェンダーフリーのスキンケアを展開するCeramiracle の「Ageless Delight Beauty Chocolate」だ。ノンシュガーの南米産のオーガニックダークチョコレートにフコイダンポルフェノールとフィトセラミドをブレンド。アンチエイジング効果が期待できるという。個別包装した一口サイズの薄型チョコレート20個入りボックスはギフト需要も高い。

一風変わったところでは、電子タバコの要領で摂取するサプリもある。Sparq の「Vitamin Air」はラボで効能を検証済みの世界初の吸引デバイスで、ニコチンや有害な化学物質の代わりに、ビタミンとアミノ酸、植物由来成分からなる煙を吸い込むとする。ウッドとステンレス製のスマートなデザインで、フレーバーはストロベリーとバニラの2種類。煙のブレンドはFuel、Pure、Meltの3つをラインナップする。

そのほか、BetterYou の「Intra-oral Spray」は、スプレーでビタミンを直接のどに吹き付けるという、ありそうでいて意外になかった方式で、携帯もしやすく、気がついたときにスプレーすればよい。

パーソナライズ・サプリが次のステップ

一人ひとりが必要とする成分や目指すゴールが異なる美容サプリは、パーソナライゼーションとの親和性が高い。美容業界ウォッチャーなどの専門家も、資生堂のオプチューンのように、その日の体調や環境にあわせてサプリを調合するデバイスや、AIにより診断と処方箋を提供するツールはどんどん増えてくるとみる。

すでに、ウェブサイトでのサプリ診断を開始している企業としては、2018年英国でローンチしたVive Wellness がある。ユーザーがサイトの質問に答えていくと、保健師や栄養士の知見を学習したAIが各自に必要なビタミンを、その理由も説明しながら提示する。そして、摂るべきビタミン剤のみを1日分としてパックしたセットを購入できる。同様のサービスとしては米国ベースのcare / of などがある。

また、DNAを分析し、個々のユーザーの健康状態や栄養バランス、体調に加え、パーソナリティやインテリジェンスレベルを明らかにするレポートを提供するのがLife DNA だ。600以上の事例研究から割り出された102の性格傾向タイプのなかから当てはまるものが提示され、それをもとに適したサプリの選択や、フィットネスやダイエットのプランが立てられるとする。DNAキット付きで1回19ドルと値ごろ感があるのも特徴で、真に快適なライフスタイルは、まず自分を知ることからはじまるというメッセージを発信している。

市場の成長に欠かせない透明性とユーザーの啓蒙

ポジティブに成長している美容サプリ業界だが、思わぬ落とし穴もあるようだ。

テディベアの形をしたキュートなグミタイプのビューティサプリの米国ブランドSugerBearHair は、カイリー・ジェンナーら著名インフルエンサーがInstagramで紹介してカルトな人気を博した。しかし、2016年、サプリの品質調査をする独立研究機関のLabdoorが同社の5つの製品をテストしたところ、成分ラベルに表示されている11の栄養素のうち7つの配合量が記載とは違うことが判明し、しかも、その差は20%以上もあるとわかった。さらに、主要成分のビオチンは表示よりも70%多く含まれていたのだ。SugerBearHairは、同製品は米国のガイドラインに照らして適正範囲にあると発表したが、多くの消費者がサプリの製品表示に疑いの目を向ける結果となった。


体内に入れるものであるだけに、サプリの成分に対して消費者はより厳しいチェックを求める。市場を健全に発展させるためには、メーカーやリテールが一丸となって透明性を高めていく努力が必要だ。

米国の大手薬局ドラッグストアチェーンのCVS Health は、2019年5月、Tested to Be Trustedという新プログラムを発足した。これは、オンラインとオフラインで販売される全てのビタミン剤やサプリを対象に、第三者機関による検査を経て原材料表示が正確であるという認定を受けるよう促すものだ。あわせて、不適切な添加物や原材料を使用していないことを保証する。すでに152ブランドの約1,400のビタミン剤やサプリが検査を終了したとされる。

ユニリーバベンチャーズは、皮膚科医とヘアスタイリストのチームが開発した天然成分由来のヘアサプリメントであるNutrafolに、2017年に続き2019年4月にも投資を決めている。この製品には、パルメットなどの成分栄養補助食品を配合しており、毛髪の再生が臨床的に証明されているという。

現代の消費者は、自分に合う、しかも機能性の高い製品を見つけるためラベルを細部まで読み、ネットを検索して情報を得ることに熱心だ。だが、しばしば相反する主張や情報がオンラインには溢れており、消費者を混乱させることも少なくない。メーカー側がファクトにもとづく正しい情報を提示し、消費者を啓蒙していくことが求められている。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: Anastasia Dulgier via Unsplash

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