日本発の新クリーンビューティ「Save ME」「7NaNatural」ブランド哲学としてのSDGs
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日本発の新クリーンビューティ「Save ME」「7NaNatural」ブランド哲学としてのSDGs

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サステナビリティやSDGsの推進を、商品設計・開発の段階からブランド哲学として組み込んだクリーンビューティブランド「Save ME」と「7NaNatural」。美容コーディネーターの弓気田みずほ氏が、いずれも1年以内に立ち上げられたこの2ブランドのコンセプトやものづくりの裏側を分析し、製品を実際に試用してのレビューを交えてレポートする。

Save ME:環境負荷を減らしきれいな水を巡らすことが基本の製品設計

Save ME」は、医療機器・化粧品の製造開発や医療アートメイク関連製品の製造販売、スクール運営などを手掛ける株式会社NMT Japanが、2021年9月にローンチしたブランドだ。「きれいは、巡る」をコンセプトに、スキンケア、ヘア・ボディケアカテゴリーを展開する。

Save MEの考える「クリーンビューティ」とは、地球環境に負荷をかけないことと、NMT Japan 代表取締役社長 𡈽屋恵美氏は定義する。飲料水や生活用水に使われる「水」は自然環境のなかで循環していることを念頭に、毎日の洗顔やシャンプーで排水として流れ出る成分の影響に着目し、きれいな水を守るために水質や海洋生物に配慮した成分を厳選しているとする。

株式会社NMT Japan 代表取締役社長 𡈽屋恵美氏
プロフィール/ 医療美容事業を中心に全てのサービス・製品を通して、地球環境保全活動、女性活躍推進活動、貧困地域に対する医療支援活動などの、人と環境にやさしい活動を多岐にわたり行う。関わる人すべてが幸せだと感じられるよう、Happy +(幸せの連鎖)を広めることを目指している

また、たとえ自然由来成分であっても、肌に刺激やアレルギーを起こさないわけではない。肌や環境にストレスを与える可能性のある成分を可能な限り排除し、安全性が確認された原料のみを使用している。さらにゼロウェイストを目標に、環境負荷を削減するため、容器にはクラフト紙を6層コーティングしたパウチを採用。希望するユーザーにのみ、繰り返し使用が可能なガラス製で蓋は竹製の詰め替え用容器をセット販売するという徹底ぶりだ。

ガラス製容器に詰め替えて使用することもできる

処方には、化粧品のOEM/ODMを手掛けてきた経験を活かして、生物の生命維持に欠かせないビタミンの働きに改めて注目した。美容成分としてポピュラーなビタミンCをはじめ、ナイアシンアミド、ビオチンなどの肌の健康に重要な役割を果たすビタミンを配合。そして、これらのビタミンを安定的、かつ効果的に肌に届けるために見出したのが、独自開発のナノテクロジー素材「アミノクレイ」だ。

アミノクレイはサンドイッチのパンのように、間にさまざまな成分を挟んで運ぶ役割をするミネラルベースの成分で、ナノサイズの板状構造にビタミンCやE、ヒアルロン酸などの有効成分を挟み込み、フレッシュな状態で必要な場所に届けることができる。ビタミン以外の成分にも応用できるため、今後広いカテゴリーでの活用が期待できるという。水溶性でミネラルベースであるため、環境負荷がかかりにくいことも特長だ。

アミノクレイの特徴

● 実際に試用したSave ME製品レビュー「トーンアップUVクリーム」

トーンアップUVクリーム

トーンアップUVクリームは、2021年度の「サスティナブルコスメアワード」において、審査員を務める関 龍彦氏(講談社 FRaU 編集長)、マリエ氏(エシカルファッションデザイナー)などから高い支持を受け、審査員賞を獲得した製品だ。SPF50 PA+++の紫外線防止効果と高い保湿効果を兼ね備えるとともに、ナチュラルなトーンアップ効果も叶えるマルチな機能も魅力の1つだ。

ヒアルロン酸ナトリウムなどの保湿成分と、ナイアシンアミドなど5種のビタミンをアミノクレイで安定化して配合。ハワイやパラオなど一部の地域でサンゴ礁保護のために使用が規制されている成分を排した「コーラルフレンドリー」処方にもいち早く取り組んだ。アミノクレイでビタミンCを安定化して配合することで、サンゴの骨格形成をサポートする働きもあるという。

安心・安全、ナチュラルをうたう化粧品は、機能性や手応えの部分で物足りないイメージを持たれがちだが、5種のビタミンに加えて多種多様な美容成分がバランスよく配合されているため、シンプルステップでも満足度の高いクオリティに仕上がっている。アミノクレイもそれ自体で保湿効果をもつため、時間が経ってもしっとり感が持続するうえ、ノンケミカルのUVケアにありがちな感触の重さやムラづきがなく、乳液のような感覚で心地よく使うことができる。トーンアップ効果もツヤと明るさを引き立てる、バランスのよい仕上がりだ。

Save ME の特徴のクラフト紙のパウチは、ライフスタイルに溶け込むシンプルなデザインとし、薄く軽量なため、旅行やジムなどに携帯しやすい点もメリットだ。その他のスキンケアアイテムにも共通して5種のビタミンとヒアルロン酸が配合されているほか、化粧水にはEGF(上皮成長因子)、エッセンスにはコエンザイムQ10などの美容成分が適材適所に配合されている。みずみずしくベタつかない使用感やグリーン系のフレッシュな香りは、ジェンダーを問わず受け入れられそうだ。

自社発のテクノロジーで環境保護にコミットする姿勢でタッチポイントを増加

Save ME は自社ECのほか、サステナブルなライフスタイルを提案するマーケットイベントや、各地の百貨店でポップアップストアに参加することで顧客とのタッチポイントを増やしている。伊藤忠商事が「倫理と向き合うコンビニ」として、オンラインを中心に運営する「エシカルコンビニ」でも取扱いが始まり、東京・青山の伊藤忠商事本社のエシカルコンビニ・コンセプトショップで販売されているほか、今後も取扱店が増える予定だ。

「クリーンビューティ」を掲げるブランドは国内外で急増しているが、ヴィーガン対応、オーガニック認証取得といった原料レベルでの対応にとどまっているものも多い。Save ME の、自社発のテクノロジーをもって環境保護にコミットする姿勢は、化粧品・医療分野での OEM/ODM で実績をもつ企業だからこそ可能なものともいえるだろう。

エシカル・サステナブル志向をもつブランドの集積は商業施設からもニーズが高いため、今後もタッチポイントの創出機会は増えるとみられるが、そのなかで埋もれることなく、ブランドの独自性を打ち出して共感をもつユーザーを集めることが、今後は求められそうだ。

7NaNatural:社会や環境が抱える7つの課題の解決を目指すカラーコスメ

7NaNatural(ナナチュラル)」は、カラーメイク製品のOEM大手 株式会社トキワによるビューティアクセラレータープログラム「Tokiwa Lab. 2020」の第一弾として採択されたクリーンビューティブランドで、2022年3月より一般販売をスタートした。天然由来成分100%でつくられたマルチユースのカラースティック7色と、7色すべてを試せるカラーパレットで構成される。

7NaNatural カラースティック

トキワは1948年の創業以来、カラーメイク品の受託製造でトップシェアを走る。これまで国内・海外の大手ブランドと取引を続けてきたが、D2Cブランドの台頭に伴う新たなニーズに応えるための取組みを進めている。短納期・小ロット生産に対応するための開発・製造プログラム「TOKIWA KOBO」を立ち上げたことに加え、今回の「Tokiwa Lab.」では、スタートアップ段階のブランドに対して製造・生産のノウハウを提供、さらに1,000万円までの生産を無償でサポートするという、大胆なプログラムに取り組んだ。

7NaNaturalは、インターネットメディア運営などを事業とする株式会社メディアジーンのコンテンツ制作に携わる、THE STUDIO. Glossy&MASHINGUPがコンセプトからプロダクトローンチまでを手掛けた。同チームは、価値観やライフスタイルが多様化する今、メディア運営で培った発想力と編集力、人と社会をインスパイアする情報発信力を活かし、地球や社会と共生しながら「ひとを幸せにするビジネス」を手がけ、支援しているとする。

同チームでクリエイティブディレクションを担当する中村圭氏と、黒飛紗代子氏は、7NaNaturalのアイディアは、マーケティングリサーチを通じてZ世代とコミュニケーションを深めるうち、彼らが毎日メイクをするなかでさまざまな「違和感」を感じているとわかったのがきっかけだったと明かす。

株式会社メディアジーン 執行役員・クリエイティブディレクター中村圭氏
プロフィール/出版社での編集業務を経て2007年株式会社インフォバーンに入社。雑誌のデスク業務担当を経て、企業及びブランドのブランディングサイトやオウンドメディア、プロモーション活動の支援を担当。2020年9月より株式会社メディアジーンに転籍し、「Glossy」や「MASHING UP」といったメディアと連携して、パーパスドリブンな企業活動の支援に注力
株式会社メディアジーン クリエイティブディレクター 黒飛紗代子氏
プロフィール/2016年株式会社インフォバーンに入社。企業及びブランドのブランディングやオウンドメディア、プロモーション活動の支援を担当。マーケティング×クリエイティブチーム「Women’s Heart Lab.」での活動後、2020年9月より株式会社メディアジーン に転籍。「THE STUDIO. Glossy&MASHING UP」にて、主にビューティ領域の共創・企業活動の支援、ストーリー開発等に従事する

その違和感とは、たとえば、多色入りのアイシャドウパレットで「どの色をどこに使う」というルールを押し付けられることや、「好きな色」と「似合う色」が異なっていたり、似合う色も「ブルベ」「イエベ」といった型にはめられたりしてしまうこと、次々発売される新色を買っても、使いきらないうちに処分するのには抵抗があることなどだ。既存の大手ブランドでは取り組むのが難しい課題がみえてくるにつれ「もっと自由に心地よくメイクを楽しめて、社会や環境の課題解決につながるような製品をつくりたい」という思いを両氏が強くしたのが、7NaNaturalを発想した原点であるとする。

これまで大手化粧品ブランドのメディア制作の経験はあったが、自らのブランドを企画し、プロダクトを作ることは全く初めての経験だった。両氏のこだわりである、天然由来成分100%処方、環境に配慮したパッケージ、ロスを生まない使いきれるサイズと生産体制、使う場所を限定しないマルチユース、見たままの発色と持続性、というすべてを叶える製品を実現することの難しさを、トキワの担当者とのやりとりを通じて痛感したという。しかし、絶対に妥協できないとの意思を貫き、製品化にこぎつけた。

デビューアイテムとなる「カラースティック」は全7色で、「ひと、社会、地球環境が抱える7つの課題の解決を目指す」という思いが込められている。

7NaNaturalが解決を目指す7つの課題

「ダイダイ」「キ」「モモ」といったシンプルな色名をもつカラーに加え、パールの輝きを添えるニュアンスチェンジカラー「ナナ」があるのが特徴的なカラースティックは、全色とも天然由来成分100%で、アボカド油、ホホバ種子油、オリーブ果実油など7つの植物性保湿成分が配合されている。

カラーパレット(口紅・頬紅・アイカラー)

カラースティックの7色すべてが入ったミニパレットは、薄型のカードサイズとし、ミラーやブラシを省いた無駄のない形状だ。パッケージは再生プラスチックを使用し、ユーザーは使い終わったら同封されている返送用封筒でブランドに送り返すことができる。回収・リサイクルにあたっては、世界20カ国でグローバルに展開する「テラサイクル」との協業を行っており、回収容器はまた新たな資源として活用される。ユーザーに使い切る心地よさを感じてもらうとともに、販売して終わりではなく、使ったあとのことまで責任を持ちたいという思いのこもった設計になっている。

● 実際に試用した7NaNatural製品レビュー「カラースティック」

カラースティック「ダイダイ」

カラースティックは、べたつきやヨレのない固めのテクスチャー。目もとや頬に指先でトントンと置いていくようになじませると、見たままの色がじわりと肌にのる。べたつかないので重ね付けで発色をより強めることができ、色をミックスすることも可能。ごくわずかなパール感があり、肌になじみすぎることなく発色する。天然成分主体のカラーコスメにありがちな、経時の色沈みもほぼなく、ブランドの強い「思い」を妥協なく実現したトキワの技術力の高さが感じられる。

ブランドのデジタルコミュニケーション力×OEM企業の技術力

7NaNaturalはオウンドメディアやSNSを駆使したデジタルコミュニケーションにも強みをもつ。ローンチ前の段階からフォロワーの予約を受け付けるなどの仕掛けは、メディアジーンの本領がいかんなく発揮されている。これまで培ってきたZ世代とのつながりを活かした展開が期待できそうだ。

また、アクセラレータープログラムは、トキワにとってスタートアップ企業の支援にとどまらないメリットがある。グローバル市場での競争力を高めるためには、これまで培ってきた研究開発力に加え、SDGsへの取組み、サステナブルなものづくりをさらに深化させる必要がある。新しい発想をもつスタートアップ企業のサポートを行うことで自らも視野を広げ、よりスピーディに変化に対応する力をつけようとする、トキワの攻めの姿勢がそこにみてとれる。

一方、採択されたスタートアップ企業にとっては、初回生産分のサポートを受けられることは資金面で大きなメリットになるが、初回生産のハードルを越えた先が、本当のスタート地点であることも忘れてはならないだろう。すでに第2回の採択ブランドが発表されているが、ここから生まれたブランド自体が「サステナブル」な存在になってゆけるかどうか、トキワの成長戦略とともに注目したい。

Text: 弓気田みずほ(Mizuho Yugeta)
Top image & photo: 株式会社NMT Japan、株式会社メディアジーン

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