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「よなよなエール」の熱狂ファンづくり手法は、化粧品にも応用できる

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マーケティング・オートメーション(MA)を入れたが、売上があがらない。カスタマージャーニーをやったものの、実現できていない。リアル店舗とECの両立に悩んでいる。顧客1人1人に対してエンゲージメントを実現したい思いはあるが、なかなか成果を出せていない。そんな悩みを持つ企業が、明日からどう動いたら「エンゲージメント マーケティング」への新たな1歩を踏み出せるのだろうか。ヤッホーブルーイングがまず取りかかったのは、社員エンゲージメントを向上させること。社員が経営理念に共感し、顧客志向に基づいて自ら考え行動してくことで、ビールを飲む時間をスペシャルな体験に変えてファンを熱狂させていった。近年はMAを導入し、それらの動きを数字でも把握することで、すべての事象を点ではなく、線でつないで面を作ることで、価格競争に巻き込まれず、マス広告だけに頼らずに、定期顧客を増やしていった。ビールを化粧品に置き換えても十分に参考になる事例だ。

1997年に創業した「よなよなエール」等を製造・販売するクラフトビールメーカー株式会社ヤッホーブルーイング。熱狂的ファンに支えられ急成長を遂げ、クラフトビールシェアNo1を実現したが、ここまでの道のりは平たんではなかった。

出典:よなよなエール

創業当時は地ビールブームで、造れば造るだけ売れていたが、2000年に入ると、状況は一変。ブームが去り、注文が激減し、8年連続赤字を記録。取り扱ってくれるお店が激減し、どん底時代に万策尽きて最後に残ったのが、ネット通販だった。現社長の井手直行氏(当時楽天市場担当として1人でネット業務を推進)が、それまでほとんど触ったことのないPC片手に、楽天市場で新規出店向け講座に参加し、ネットで「メルマガの書き方」などを学びながら、Webサイト制作を文字通り「夜な夜な」やった。すると、製品に関係ない小話を挟んだり、人柄が出るようなユニークなメールマガジンが功を奏し、全国に点在していたビールファンが注文してくれるようになっていった。お客様からの応援メールが来る。嬉しいからもっと工夫をする。さらに売れる。ネット販売は好循環のサイクルに入っていった。

まずは社員エンゲージメントを高めることが前提

お客様にもっと喜んでもらいたい。顧客との関係作りを考えはじめた頃、2008年に井手氏は社長に就任。3期連続増収増益黒字化にも関わらず、社内の雰囲気はよくなかった。できないことを人のせいにしあう社員もいた。これをなんとか変えなくては、会社の成長は望めない。そこで、「ビールに味を!人生に幸せを!」をミッションに、社員と顧客の両方のエンゲージメントに手を入れはじめた。

顧客エンゲージメントを成功させるには、社員のエンゲージメントが高くなくてはならない。「お客様はこういうときにこんな気持ちになるんじゃないか?」「こういう伝え方をしたらお客様にうちの製品のよさが伝わるんじゃないか?」という仮説を生むベースとなる。仮説がなければ、検証しようもなく、顧客1人1人に対しての究極のおもてなしにはつながらない。顧客エンゲージメントのサイクルは回していけないのだ。

ヤッホーブルーイングでは、チームビルディングや毎朝くだらない話をする朝礼など、様々な施策を通じて社員のコミュニケーションの量と質を上げていった。すると、社員エンゲージメントがあがっていき、結果離職率が下がり、帰属意識が高まり、積極的に仕事にもプロジェクトにも関与していく社員が増えた。自発的に、「なぜお客様はこんなに増えているのだろう?」と考える社員も出てきた。

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