「セレブブランドによるヘアケアラインが続々登場」【海外トレンド 2024年6月-7月】
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毎月1回、ビューティ業界にインパクトを与える海外ニュースを俯瞰し、注目すべきポイントと報道の裏側にある背景を解説。グローバルな視点からビジネスの潮流をひも解く。今回は、大手メーカーからスタートアップまで新ブランドが続々と登場し、加熱するヘアケア市場に参入するセレブのビューティブランドの動向と、コミュニティと向き合うそのビジネス戦略を紹介する。
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★注目ポイント
パンデミックでセルフケアの重要性に目覚めた消費者の新しい関心事となっているヘアケア。この領域には新規ブランドや新商品の投入が活発化し、“ヘアケアブーム”が起きている。この流れに乗じるのは、Fenty Beautyをはじめとするセレブリティが手がけるビューティブランドも例外ではない。興味深いのは、採用する成分やテクノロジーには独自性を持たせつつも、いずれのブランドも「髪と頭皮の健康」がキーワードになっている点で、「ヘルシーであること」を美しさの最たる価値におく消費者マインドに、セレブブランドのメッセージが同期していることを感じさせる。
活況が続くヘアケアカテゴリー、セレブの参入も加速
2023年2月、ロレアルCEO ニコラ・イエロニムス氏は「ほかのカテゴリーをはるかに上回るプラス12%で成長したヘアケアは、新しいスキンケアになった。より多様な髪のための提案が現れ、(素晴らしい肌がそうであるように)素晴らしい髪は健やかさの証しとみなされている」として、人々がより健康で美しい髪を求めるヘアケアブームの到来を告げた。
それから1年半余りが経った現在も、規模の大小を問わずヘアケア市場に参入する企業・ブランドが後をたたず、ヘアケアの活況は今なお進行中だ。そんななか、歌手や俳優などセレブリティが手掛けるブランドでもヘアケアカテゴリーでのニュースが続いている。
2024年2月にはビヨンセ氏がヘアケアブランド「Cécred」を立ち上げ、同年5月にはジェニファー・アニストン氏が2021年創設の自身のヘアケアブランド「LolaVie」から新製品を発表、6月にはブルック・シールズ氏がヘアケアブランド「Commence」をローンチした。そして、同じく6月、リアーナ氏の「Fenty Beauty」がヘアケアライン「Fenty Hair」を新設した。
市場調査会社ニールセンIQ(NIQ)は、2023年4月〜2024年4月の販売データをもとに、セレブビューティブランドの市場価値は10億ドル(約1,556億円)以上と見積もっている。また、同期間の売上成長率は57.8%増で、すべてのビューティブランドを総合した成長率11.1%増を大きく上回るとする。
あわせてNIQは、セレブビューティブランドの売上は、ネイルを含むカラーコスメが5億6,100万ドル(約873億円)と半分以上を占め、フレグランス2億1,800万ドル(約339億円)、スキンケア1億1,000万ドル(約171億円)と続き、ヘアケアは8,000万ドル(約124億円)で4位にランクされているとする。ボリュームとしては小さいものの、市場調査会社Circanaの2024年第1四半期のプレステージ市場データによると、ヘアケア全体の成長率が11%増なのに対し、セレブビューティブランドのヘアケアは64%増と驚異的な成長率で、そのポテンシャルの高さを示している。
これは、ヘアケアを重視する消費者意識の深化がその背景にあるようだ。ユーロモニターインターナショナルの調査では、2019-2022年に「成分・配合」「天然またはオーガニック」「皮膚科医テスト済み」「高機能」などのキーワードを、スキンケアを選ぶ際の考慮事項とする消費者が増加したが、こうした観点をヘアケアでも取り入れ、自分のこだわりポイントや悩みとマッチする製品であるかを注意深く見て判断するユーザーが増えていることが指摘されている。
抜群の知名度と強固なファンコミュニティという大きな影響力を強みとするセレブビューティブランドだが、ただ単に有名人としてブランドの“顔”を務めるのではなく、自身のコミュニティの声に耳を傾け、セレブ自身が悩みや求める理想を自分ごと化した提案でアプローチするブランドが増えている。こうした真摯な姿勢のブランドが支持されてヘアケアカテゴリーの成長の一端を担っているといえそうだ。
悩みを自分ごと化した製品コンセプトで幅広い層にアプローチ
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