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WEARでメイク投稿とそのARメイク化が可能に。ファッションとメイクトータルで「似合う」の提案強化へ

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株式会社ZOZOは、2024年5月、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」を「WEAR by ZOZO(以下、WEAR)」へとリニューアル。ファッションだけでなくビューティの機能が新たに加わった。ユーザーが自身のフルメイクをARメイクデータとしてWEARに登録し、そのフルメイクデータをほかの人が試すことができる「WEARお試しメイク」機能と、AI活用によりファッションの好みのジャンル傾向がわかる「ファッションジャンル診断」が追加された。これにより、ファッションとメイクをあわせたトータルでの「似合う」提案を強化していく。


1,400万件のコーディネートデータを持つWEARがリニューアル

2023年にローンチから10周年を迎えたファッションコーディネートアプリ「WEAR」のダウンロード数は1,700万回を突破し、コーディネート投稿総数は1,400万件以上。ZOZOTOWN IDとWEARを連携することで、ZOZOTOWN上でお気に入り登録しているブランドやショップのコーディネート、過去に購入・お気に入り登録したアイテムを使用したコーディネートをWEAR上で簡単に探すことができる。つまり、自分の好みや実際に購入したアイテムを使ったコーディネートが探せる、パーソナライズされたファッションメディアとして活用されてきた。

WEARには、「WEARISTA」と呼ばれる公認ファッションインフルエンサーが500名以上参加している。WEARISTAには、モデルやデザイナーだけではなく、ファッショントレンドに敏感な一般ユーザーもおり、いわゆるファッショニスタとして多大な影響力をもつ。なかには、WEARISTAの活動がきっかけで、ファッションブランドとコラボレーションしたり、自分のブランドを立ち上げたりする事例も増えているという。

WEARでメイク投稿・ARメイクデータの投稿や利用が可能に

今回のリニューアルでビューティ分野として追加された機能の一つが、メイク投稿だ。投稿には、使用しているメイクアイテムをZOZOTOWNの商品情報とひも付けることができる。そして、メイクした状態の顔をスマートフォンで撮影し、自身のフルメイクをARのメイクデータとしてWEAR上に簡単に登録できるほか、そのメイクデータを別のユーザーが顔にのせて試すことができる「WEARお試しメイク」機能も追加された。インフルエンサーや気になるユーザーのメイクを自分の顔のうえでARで試して、気になった商品があれば、そのままZOZOTOWNに遷移して購入することができる。

今回のリニューアルに際しては、80名のインフルエンサーが参加し、約500種類のフルメイクデータをARで試すことができるようになっている。参加したインフルエンサーは、獲得したファンを自身のInstagramやTikTokなど別のチャネルに誘導することもできるので、ファッショニスタ同様、WEARがインフルエンサーの活躍の場になることも期待されているという。

WEARお試しメイク画面では、ARをON/OFFして違いをチェックしたり、メイクの濃さを調整することもできる(著者撮影)

6割が「自分の顔に似合うメイクがわからない」、その悩みに応える

このWEARお試しメイクが実装された大きな理由は、「似合うメイクが分からない」というユーザーの声だ。実際に、ZOZOがZOZOTOWN上でユーザー1万5,265名に実施した「ファッション・コスメに関するアンケート」で、回答者の内の約6割の女性が「毎日のメイクにおいて、悩みや課題がありますか?」という問いに対し、「自分の顔に似合うメイクがわからない」と回答した。

株式会社ZOZOが実施した「ファッション・コスメに関するアンケート(調査日:2024年3月19日)」

WEARのリニューアルを指揮した 株式会社ZOZO ブランドソリューション開発本部 プロダクト戦略部 ディレクター 福岡明彦氏は、「ユーザーのファッションの悩みに向き合い、解決してきたWEARが、メイクの悩みもしっかり解決したいという思いで、約1年前から開発をスタートした。ARも含めて、すべて自社で開発を行っており、メイクが自然に試着できているか、動いたときにも違和感なく表示されるかといったディテールにこだわり、チューニングを続けてきた」と語る。

株式会社ZOZO ブランドソリューション開発本部 プロダクト戦略部 ディレクター 福岡明彦氏
プロフィール/株式会社エムティーアイにてmusic.jp企画営業、キャリア営業を担当後、クックパッド株式会社の事業開発として新規事業を立ち上げ、事業を推進。その後、クックパッドからMBOした株式会社おいしい健康にてコンテンツ部門マネージャーを務め、ウェブメディアを運営。2019年にZOZOグループ会社に入社し、現在は株式会社ZOZOにて「WEAR by ZOZO」とショップスタッフの販売サポートツール「FAANS」のプロダクト戦略部門のマネージャー兼プロダクトマネージャーとして従事

リニューアルから約1カ月たち、メイクの投稿数は順調に増えていると福岡氏は話す。

「今回のリニューアルにより、多くの人が抱えていた『自分の顔に合うメイクがわからない』『フルメイクを試すには時間がかかる』といった悩みを解決し、ARお試しメイクを何度も使用しながら、自分に似合うメイクをみつけていくことができる」(福岡氏)

WEARに蓄積されていくデータをもとに、たとえば、低身長でこのジャンルのファッションを好む人はどんなメイクをしているのか、といったクロス分析も可能だ。すでに存在する1,400万件のコーディネートデータから、メイクに関する「似合う」の分析も今後進めていきたいという。「ファッションとメイクをトータルで提案できるのが、ZOZOならではの強みだ」と福岡氏は強調する。

また、先述のアンケートでは、男性回答者の4分の1がフルメイクを試してみたいと回答しており、「ARお試しメイクは、メイクに関心をもつ男性や、これからメイクをするようになるα世代との親和性が高い。ファッションだけでなく、メイクを学び、知ることができる場として活用してほしい」と今後の展望を語った。

niaulabの知見から、「こうなりたい」の潜在意識を掘り起こすファッションジャンル診断

メイク投稿に加えて、今回のリニューアルで追加された機能が「ファッションジャンル診断」だ。ZOZOが2022年より東京・表参道のリアル店舗で提供してきたパーソナルスタイリングサービス「niaulab by ZOZO」で得たノウハウや知見の一部を反映した機能になっている。

1,000名を超えるniaulab体験者の満足度は、10点満点中平均9.2点。体験後のZOZOTOWN訪問頻度は約1.5倍、購入金額は約2倍になったという

具体的には、「似合う」を構成する4つの要素(「ジャンル」「味付け」「与えたい印象」「体型の悩み」)を特定し、その内の「ジャンル」を今回WEARに反映し、リニューアルをした。アプリ初期起動時に、診断画面に表示されるコーディネート画像のなかから好みのコーディネート画像を5枚以上選ぶことで、AIがユーザーの好みのジャンル傾向を導き出し、全144パターンの結果から「好みのジャンル傾向」を診断する。WEARに投稿されている1,400万以上のコーディネートには、それぞれのジャンル傾向が数値化されてひも付けられており、診断結果画面には、ユーザーの好みのジャンル傾向に近いコーディネートが表示されるようになっている。ホーム画面は、診断結果や閲覧履歴をもとに、パーソナライズされていくという。

株式会社 ZOZO 代表取締役社長兼CEO 澤田宏太郎氏は、似合うの研究について、「似合うを届ける最短距離は、自分の言葉で表現するのが難しい、『こうなりたい、こうみせたい』という潜在意識をどれだけ掘り起こせるかにある。それを可視化するために『似合う』の4つの要素を特定したが、ファッションのトレンドが変わっていくように、似合うも変化し続ける。あくまでも、これらは現時点で当社が考える似合うの構成要素であり、今後も解明を続けていく」と話した。

省人化・無人化のniaulabでさらなるデータ蓄積、似合う研究を加速

ZOZOが目指すniaulabの未来構想は、2026年にはniaulabを省人化・無人化などのAIのウェイトを高めたサービスとして展開することを目指し、そこで得られる知見をWEARやZOZOTOWNといったWebでの似合う体験に連携していくことだ。また、現在niaulabではメイクに関する似合うデータは取得していないが、今後はファッションとメイク両方のデータ取得も検討しているという。

以前紹介したように、ZOZOTOWNでは、2021年、ZOZOCOSMEオープン時に、肌の色を計測することができるフェイスカラー計測ツールZOZOGLASSを発表し、自分の肌の色にあったベースメイクの提案や、チーク、リップなどのARトライオン機能を開発してきた。

それらの機能と、WEARに新しく追加された機能が将来的に統合されたときには、ユーザーの似合う体験のさらなる深化が期待される。だが、WEARとZOZOTOWNアプリとの統合については、現時点で予定はないと澤田氏はいう。

「ZOZOTOWNは繊細なロジックでパーソナライズやレコメンドを実現しているので、ちょっとした変更の影響範囲が大きい。当面は、WEARで実装し、結果をみながら入れるべき仕組みをZOZOTOWNに移行することを考えている。ユーザーの方々には、現状はWEARとZOZOTOWNの2つのアプリを遷移していただきながら、将来的な統合も視野に入れていきたい」(澤田氏)

Text:小野梨奈(Lina Ono)
Top image & photo: 株式会社ZOZO

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