見出し画像

アモーレパシフィックと協業する韓国のAI肌診断ソリューション企業Artlab

◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

AIを活用した肌診断ソリューションを韓国国内でいち早く取り組んだArtlab(アートラボ)。創業者はロボティクスとAIのエキスパートで、アモーレパシフィックやコスマックスなど業界最大手にソリューションを提供してきた。ビューティテックスタートアップとしての同社の設立経緯と製品の詳細、今後の展望について紹介する。


ロボティクスとAI研究のエキスパートが設立

Artlabは、現CEOを務めるオム・テウン(Terry Taewoong Um)氏によって2019年に設立されたスタートアップで、オム氏はソウル大学機械航空工学部を卒業後、航空宇宙メーカーLIGネクスワン韓国科学技術研究院(KIST)で研究職に従事。その後、カナダ・ウォータールー大学の電機工学部でディープラーニング研究に励みながら博士号を取得し、2019年に韓国に帰国してArtlabを設立するにいたっている。

オム氏は前職で国防ロボットや医療ロボット開発の最前線で研究職に携わってきた。また、アカデミアの世界ではAI関連の論文を20編ほど執筆した過去を持ち、その引用回数は1,000以上にのぼるとされる。いわば、人工知能とロボティクスの双方に精通した世界的なエキスパートのひとりだ。

Artlabのオム・テウン代表
出典:Economic Review

こうした経歴を持つオム氏が美容業界に転身するきっかけとなったのは、スタートアップを起業した先輩たちとの会話だったという。その話題のなかで、美容業界がデジタル転換に多くの課題を抱えている“後進的な業界”であることを知ったオム氏は、自身の知見や能力を活かせるかもしれないという考えからArtlabの創業を決心した。

出典:Artlab公式サイト

オム氏は美容業界のなかでも、2018年当時はそれほど意識されていなかった、ユーザー個々の肌状態や悩みや要望に応えるオーダーメイド型スキンケア市場に着目した。同領域の市場分析を行い、グローバル、国内ともに成長性が高いと判断したからだ。Artlabの設立と前後して、韓国国内ではオーダーメイド型化粧品調剤管理士(店頭で化粧品を調剤できる人材)の資格が新設されるなど、オーダーメイド型化粧品の法規制が整備され始めていたこともオム氏の背中を押した。韓国では旧来、化粧品製造業と化粧品責任販売業に業種が区分され、店頭などの現場で調剤を行うことができなかったが、この新制度によりオンデマンドでのオーダーメイド型コスメの販売が可能となっている。

オム氏は、リサーチを進めるうちにオーダーメイド型スキンケアという製品そのものよりも、その化粧品を使用する前段のプロセスを重視し、肌診断のパーソナライズを実現するAIソリューション(=ソフトウェア)を開発する道を選択する。というのも、当時の韓国美容業界はデジタル黎明期にあるというのがオム氏の考えだったためだ。また、ユーザーが自身の肌に関する情報をひとつひとつ拾い集めるような時代はまもなく終わり、将来的には肌の写真を一枚アップロードすれば、肌状態の分析から適切なスキンケアの提案まで必要な情報がすぐに得られる時代が来るとの確信を抱いていた。検索アルゴリズムを開発したヤフーやグーグルのような立ち位置を美容業界で築けないかとの発想から、オム氏はAIソリューション開発を目指したという。

ここから先は

2,743字 / 4画像

このマガジンを購読すると、バックナンバー記事を制限なくご覧いただくことができます。

BeautyTech.jpは最新1カ月の記事は無料、それ以前の記事は全文閲覧が有料です。「バックナンバー読み放題プラン」をご利用ください。

このマガジンを購読すると、バックナンバー記事を制限なくご覧いただくことができます。

「バックナンバー読み放題プラン」の法人・企業様向けプランです。社内限定で転用・共有していただけます。