【関連記事まとめ】資生堂、旬の売り切り型コスメ発表ほか
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<2018.2.20-26 BeautyTech関連記事まとめ >
今週は、2018年の米国美容業界のM&A予測、中国の化粧品市場や韓国のバイオ業界の動向予測など海外の傾向分析が相次いだ。メーカーでは、資生堂の若年層をターゲットにした製品開発プロジェクトの始動や宝石業界初のエンゲージリングのAR試着サービス、コーセーが開発した顔画像の美顔化システムなどのニュースも関心を集めた。
■専門家による2018年米国美容関連業界のM&A予測
経済アナリストらが出した米国の美容関連分野における2018年のM&A予測によると、M&A件数が149件を超え、前年比19%増と過去最高だった2017年に引き続き、堅調に推移する見込み。大企業がビューティテック関連のスタートアップや小規模ブランドを買収するという基本潮流は変わらず、肌や髪プロダクツのブランドへの興味が高まるとの観測だ。(2018年2月18 日)
Blush Digital:BEAUTY M&A 2018 PREDICTIONS FROM THE EXPERTS
■資生堂、若年層の流行の兆しに即応するブランド開発プロジェクトを始動
出典:資生堂
資生堂は、若年層のトレンドや流行の兆しをいちはやく取りいれた期間限定ブランドの開発プロジェクト「COSMETIC PRESS」を始動した。短期間で移り変わる消費者の気分に即応するために、商品特長や世界観などをそのつど構築し、全てのブランドは期間限定の売り切り型として、開発速度も早める。第一弾は今年のキーワード“フォトジェニック”、“パステル&ヴィヴィッドカラー”がテーマのメイクアップブランド「アイスクリームパーラーコスメティックス」。4品目19品種を自社のECサイト、ワタシプラスで3月20日発売開始。(2018年2月19日)
資生堂:若年層の市場トレンドを捉えた期間限定ブランドの開発プロジェクト「COSMETIC PRESS」を開始
■コーセー、理想の顔の画像を作れる「美顔化システム」を開発
出典: 美容経済新聞
コーセーは明治大学と共同で理想の顔画像を作ることができる美顔化システムを開発した。撮影した素顔の顔画像をベースに「毛穴」「しみ」「しわ」「色相」「明度」を調整した画像を十数枚表示、好みの顔画像を選ぶ作業を繰り返すことで、約400万通りの顔画像パターンから理想の顔に行き着く仕組み。コンピュータと人間がコミュニケーションを取りながら画像を選んでいく「対話型進化計算」という手法を導入し、短時間での作成を可能にした。(2018年2月20日)
美容経済新聞:コーセー、“理想顔”画像をつくる「美顔化システム」を開発
■宝石業界初、エンゲージリングをARで試せるサービス
出典: GLOSSY
ダイヤモンドのエンゲージリングなどリング専門ECサイト「Diamond Hedge」は、業界初となるARを利用した試着サービスをスタート。手を撮影しアップロードすると、バーチャルに指輪をはめた状態で、手の動きに応じて、様々な角度から見ための良し悪しや石の輝き具合を確認できる。アプリのリリース後、売上は増加しており、同社は今後、指輪選びのショッピングプロセスの完全デジタル化を目指すとしている。(2018年2月20日)
GLOSSY : Diamond industry turns to AR to attract wedding-wary millennials
■韓国、医薬品やバイオ関連分野の市場シェア拡大を目指す
韓国の産業通商資源部は、医薬品やバイオ関連のライフサイエンス業界の市場シェアを2022年までに現在の1.8%から4%へと拡大を目指している。その実現のため、1,000万人規模の遺伝子および生体データベースを作成する予定。データは基本的に新薬の開発に利用されるが、長期的には化粧品業界などほかの産業での利用にも転じる見込み。韓国のメディカル関連企業のグローバルな進出を後押しするとともに、35,000人の雇用創出が期待されている。(2018年2月21日)
WWD JAPAN:Life sciences industry a key focus for South Korean government, with cosmetics crossover plans afoot
■ COTY、ITスタートアップに資金提供を行うプログラムを発表
革新的で新しい技術を求めて、COTYはAIの開発を行うスタートアップに資金提供をするプログラムを発表した。COTY傘下のブランドとスタートアップのマッチングを図るコンペへの参加を募り、3月開催のDigital Acceleratorイベントで優秀な8つの企業を選出、各社に10万ドル〜50万ドル(約1,000万円〜5,000万円)を投資する。COTYは組織全体としてデジタル関連の強化を図っており、スタートアップとのパートナーシップを推進していく意向。(2018年2月21日)
COSMETIC BUSINESS:Coty is looking for the next big thing in beauty AI
■タッチスクリーンで服を選ぶストレスフリーな試着室=売り場
出典: THE BRIDGE
サンフランシスコを拠点に、セレブファンも多い女性向けD2CアパレルブランドReformationが、試着室の利用法と顧客体験を一新する店舗をオープン。店内に設置されたタッチスクリーンで試したい服を選び、指定の試着室に行くとクローゼットに商品が用意されている。自分で試着品を持ち歩く必要がなく、試着中に店員からの声がけで急かされることもない。サイズ変更もタッチスクリーンで行うことができ、購入の際はスマートフォンで支払いをする。「1人でゆっくり商品を吟味したい」ニーズを満たす店舗オペレーションといえる。(2018年2月21日)
THE BRIDGE: ターゲットは孤高な「お一人様」ーー試着室を売場にした、お一人様向けアパレル店舗を展開する「Reformation」とは?
■中国の化粧品市場、2018年に米国を抜き世界一になると予測
中国の化粧品市場は2018年には世界の売上高全体の20%を占め、米国を抜いて世界一になるとモルガン・スタンレーが予測している。2016年の段階で、中国の化粧品売上高は2,220億人民元(約3.7兆円)で、アメリカに次いで2位。中国国内の小売業者の販売を促進させる取り組みも進められており、中国人観光客の海外旅行時の化粧品購入を抑制するため、2016年10月に高付加価値化粧品の消費税を30%から15%に引き下げ。また大衆向け化粧品の税率は0%となったことも伸長の一因だ。(2018年2月22日)
COSMETICS BUSINESS: China poised to take No1 spot for global personal care sales
■@cosmeのユーザー動向、今回のキーワードは「ムダのないコスメ」
image: huyen. via Unsplash
ケチが称揚され、堂々とケチることができる時代がきた。インフルエンサーがプチプラコスメの使用を公開し、新しいコスメを買うときはフルライン丸ごとチェンジしていた人が、手持ちのコスメを活かせるブースターを1品のみ追加するという具合。捨て色が出ない単色アイシャドウや、使い切れるか心配しなくていい小ロットコスメも人気だ。これは、スキンケアや日常のメイク、さらには生き方そのものも「頑張りすぎない」昨今の風潮と結びついていると思われる。必要なアイテムだけ持って、見栄を張らず、無理をしないスタイルは、モノをムダにしたくない意識と親和性が高い。メーカー側も柔軟な対応で商品企画を変えてきている。こうした流れはまだまだ続きそうだ。(アイスタイル リサーチプランナー 西原羽衣子、原田彩子)
Text: 林美由紀(Miyuki Hayashi)、編集部
Top Image: Alex Holyoake via Unsplash