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丸紅が「CathyDoll」のカルマートに出資、タイコスメの海外進出支援を強化する理由

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丸紅株式会社は2023年10月にタイの大手コスメブランド企業Karmarts Public Company Limited(以下カルマート)に18%の出資を発表した。これにより丸紅はタイコスメを基盤とし、アジアのZ世代、α世代に向けた美容関連事業の拡大を進める。同社の展望をカルマートとの提携を担当する丸紅株式会社 次世代事業開発本部 ウェルネス事業部 部長代理 (取材当時)武内一洋氏に聞いた

良質なブランドを世界に広げ、各国でプレゼンスの獲得を狙う丸紅

丸紅では化粧品・ウェルネス分野において、“未来の世代が評価する”ビューティ・ウェルネスブランドへの投資と、流通網への投資を並行して進めている。「私たちの既存のネットワークを活用し、ビューティ・ウェルネスブランドには進出先での流通網を、流通網側にはユニークで競争力のあるブランドや商品をそれぞれ提供し、お互いに価値を高め合えるサイクルを目指している」と武内氏は説明する。

丸紅株式会社 次世代事業開発本部 ウェルネス事業部 部長代理 (取材当時) 武内一洋氏
プロフィール/2003年に入社後、穀物関連ビジネスに従事。同期間にサンパウロ駐在を経験したのち、2019年よりコスメ関連事業を注力分野とする次世代消費者向けビジネス領域に携わる。2023年4月より次世代事業開発本部ウェルネス事業部部長代理。2024年2月よりタイ・バンコクに駐在している

そうしたなかで、欧米の化粧品企業の多くが生産拠点を置き、ASEAN域内で最大の化粧品輸出国であるのに加え、トレンドセッターでもあるタイ市場に的を絞り、タイの化粧品企業をパートナーとすることを検討するに至った。スタートアップから何十年もの歴史を持つ老舗まで、層の厚いタイの化粧品企業各社と交渉を進め、最終的には、2012年に化粧品事業を開始した大手コスメブランド企業で、タイ国内で人気の高い「CathyDoll(キャシードール)」をはじめとしたブランド展開により、継続的に売上を伸ばしているカルマートと提携した。

丸紅による化粧品の海外流通関連への投資例としては、株式会社アインホールディングスとの取り組みで、同社化粧品小売チェーンの「アインズ&トルペ」をアジア展開する合弁会社の立ち上げがある。同社では2022年4月、マレーシアにコスメや化粧品雑貨など日本発の商品を取り扱う「アインズ&トルペ」の海外初店舗を出店。まもなく4号店をオープン予定だ。

クアラルンプール市内の商業施設「Pavilion Bukit Jalil」内に出店したアインズ&トルペ マレーシア 1号店
出典:アインズ&トルペのマレーシア公式サイト

また、丸紅によるビューティ・ウェルネスブランドへの投資としては、2023年11月に日本ブランドの「OSAJI」を展開するOSAJI(オサジ)などに出資を行っている。丸紅は、日本をはじめ、中国、シンガポール、マレーシア、タイなどのアジアの成熟市場においては、個々の消費者の好みに合った嗜好性の高い商品を展開していくことを念頭においており、その文脈に沿う投資先が選ばれているとの見方もできる。

一方、カルマートでは、中間所得者層が増加中のインドネシアやベトナムなどの新興市場での展開、拡大を見込む。「成長国の国々ではこれからQOLの向上に人々の意識が向かい、美容やパーソナルケア関連の商品の需要が増えていく。そこで、まずは人々が手に取りやすいマスブランドを持つ会社との提携に注力している。そのひとつとして今回のカルマートへの出資がある」(武内氏)

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