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FaB パリ。循環型、クリーンビューティの起業家は消費のあり方を変えられるか

◆ English version: At FaB Paris, fashion and beauty entrepreneurs aim for ethical consumption
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第4回目を迎えたFaB Parisのミートアップが、2019年12月16日にFlexy universityで開催され、スタートアップなど約60名の参加者が集まった。環境や循環型経済を重視した12名の起業家が登壇し、起業に至った経緯、ビジネスモデルなどをシェア。その徹底した取り組みからは、起業家たちがコミュニティレベルから社会を変えていこうという強い意志がうかがえる。

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クリーンビューティの未来とチャレンジ

パネル#1では、WWDパリ支局長ジェニファー・ヴェイユ(Jennifer Weil)氏がモデレーターを務め、ビューティテック分野で循環型経済に取り組む4名の起業家がクリーンビューティの定義と今後のチャレンジについて語った。

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パネル#1のモデレーターと
4名の登壇者

現在は、ナチュラル、オーガニック、○○フリーなどの文言をちりばめた化粧品が市場に溢れているものの、クリーンビューティの明確な定義や規制はない状態だ。体に悪影響を及ぼす有害性物質を一切用いない製品をクリーンと呼ぶケースも見受けられるが、オンライン診断によるパーソナライズ・シャンプーを提供するJuste Parisの創業者ベンジャマン・ガルシロ(Benjamin Garsillo)氏は、「今や、クリーンビューティは、使用成分だけでなく、環境へ与えるインパクトまで視野が広がっている」と述べ、Juste Parisでは、硫酸塩、シリコン、パラベン、着色料、化学保存料、石油化学系の物質を一切使用しない生分解可能な処方とし、パッケージはリサイクル素材を採用して、廃棄物ゼロの循環型社会の実現を提唱している。

ガルシロ氏と同じく、廃棄物ゼロを目指す化粧品ブランドCoZieの共同創業者アルノー・ランスロ(Arnaud Lancelot)氏も、「消費者意識の高まりとともに、クリーンビューティはたえず進化しているので、処方、パッケージなどすべての面で、日々自社のレベルを高める努力をしている」と、妥協のない姿勢をみせた。同社はWebサイト上で「これまでの化粧品の美しいボトルデザインのコードを壊す」と宣言し、シンプルなガラスボトルを再利用するフランス初の量り売りBIO化粧品を手がけている。

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Cozieのアルノー・ランスロ氏
(中央)Photo: @eventpixr

オーガニック食品や化粧品を取り扱うショップ360店舗に同社の充填マシンを設置し、顧客はセルフで好きな量だけボトルに入れ、重さを測って、製品名や製造ロット番号などが印字されたシールをボトルに貼る。使い終わったボトルは、回収して洗浄し、再利用し続けるシステムだ。同社によると、フランスでは年間9万5,000トンの化粧品が廃棄されており、ボトルを再利用することで、廃棄物から出るCO2排出量を79%減らせるとのことだ。

CoZieの特許取得済みの
充填マシン「La DoZeuse」

一方、ナプキン不要の吸収性の高い生理用ショーツや生分解性シリコンの月経カップなどを、D2Cで販売するフェムテック企業、My Holyの創業者フィオナ・ピコ(Fiona Picot)氏は、「クリーンビューティは規制がないだけに、トレーサビリティを高めるなど自社で追及していくしかないが、近い将来はクリーンであることが常識になるので、いかに他ブランドと差別化していくかを今から考えていかなければならない」と、フェムテックの認知度を上げるとともに、どのようにブランディングをしていくかという課題も語った。 

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