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毎月1回、ビューティ業界にインパクトを与える海外ニュースを俯瞰し、注目すべきポイントと報道の裏側にある背景を解説。グローバルな視点からビジネスの潮流を紐解く。今回は、2022年の社会はもとより、美容業界にも大きな変革をもたらすことが予想されるメタバースでの展開と、それにあわせて活用法が改めて注目されるNFTについて取り上げる。

パーフェクトやP&G、CES2022に歩調を合わせメタバースを公開

★注目ポイント
オンラインネットワーク上に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間メタバース。自身のアバターを動かすことで、メタバースワールドの一員として他のユーザーとのコミュニケーションやソーシャルネットワーキングが可能になり、商業活動を展開するもう1つのビジネスの現場として普及することが現実味を帯びてきた。

2022年1月6日、パーフェクトは米ラスベガスで開催の最新技術の見本市CES2022への出展を自粛し、代わりに公式サイト上のメタバースを通じて、最新のAIとARを搭載したソリューション技術各種の紹介と体験ができる空間「3Dバーチャルブース」を公開した。同ブースでは、メイクやヘアカラーほか、アイウェアやイヤリング、時計などのバーチャル試着や、肌診断、メイクのハウツーなど各種AI＆ARサービス、およびビューティ関連のNFTといったバーチャルアセットを、すべてのカメラ対応デバイス上でインタラクティブに体験でき、パーフェクトが提案するメタバースですべてが完結する「Vcommerce（Vコマース）」の世界の到来を印象づけた。

P&Gもメタバース＝仮想ストーリーテリングの世界と位置付ける「BeautySPHERE」をCES2022で発表した。ユーザーは英国のキュー王立植物園を仮想空間で訪問でき、P&Gの研究者とキューの植物科学の専門家が協力して生まれた製品「ハーバルエッセンス ビオリニュー」の原料である植物の適切性と品質保持が、いかにして確保されているかを知ることができる。加えて、ライブストリームやゲームなどの多彩なコンテンツを通じて、持続可能性や安全性、透明性、ウェルビーイングなどをキーワードに、P&Gが提唱する「Responsible Beauty（レスポンシビルビューティ）」について楽しみながら学ぶ場としている。

メタバースコミュニティZEPETOでデジタルメイクアップ

ユーザーがアバターのルックやファッションをカスタマイズして遊べる3Dソーシャルメディアアプリ「ZEPETO」には、韓国コスメの「ETUDE HOUSE」をはじめ、デジタルメイクアップを提供するビューティブランドが登場している。ZEPETOのユーザーは約2億5,000万人とされ、7割が女性という。

ディオールは2021年7月に、ZEPETOとコラボする最初のグローバルビューティブランドとして、メイクアップ クリエイティブ＆イメージ ディレクターのピーター・フィリップス氏がZEPETOユーザーのために再考案した9つの「メイクアップ ルック」を発表した。ユーザーはルックを1つずつ手に入れることができ、全部を一度に購入、あるいはゲームを進めていく過程で獲得ができる仕様だ。

NARSも同年9月にZEPETOとのコラボをスタート。デジタルメイクアップルックや、バーチャルアクセサリーのカプセルコレクションを購入できる。NARSの社長 バーバラ・カルカーニ氏はこのコラボを「（NARSが）デジタルの加速とイノベーションにコミットすることの表れ」とする。