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資生堂POSME式、女子高生のクローズドなコミュニティでバズを生む方法論

◆English version: Shiseido POSME’s Team Approach to the Teen Market
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興味関心が細分化されやすい現代の女子高校生。従来のマスメディア社会とは違い、「ひとつのコンテンツ」がビッグヒットを生み出さなくなった今の女子高生マーケットに、美容業界はどう入っていくべきか。2018年1月にスタートした、資生堂の新規事業「POSME」(女子高生と一緒に作る、商品をシェアして使う、をテーマにした10代向けコスメ事業)を率いるイノベーションデザインLab. の山﨑賢氏に話を聞いた。

制約のなかで生きる女子高生の間には、「期間限定」の流行がある

今どきの女子高生は、InstagramやTikTokなどのSNSを使い、オープンに自身の顔や名前を公開する。こうした彼女らの姿を見ると、のびのびと私生活を楽しんでいるように見えるが、実態を覗いてみると、従来の女子高生と変わらない「制約」のなかで生きていると気づく。

それは、「お金」「時間」「校則」といった制約だ。山﨑氏によると、7割の学校はいまだに校則でメイクを禁止し、アルバイトを許可しない学校も多い。つまりコスメに関心があっても、上述した3つの制約により学校でメイクを楽しめない女子高生は数多く存在するわけだ。では彼女らは一切メイクしないのか。実はそこには、「期間限定の流行がある」と山﨑氏は指摘する。期間限定とは、「放課後」「休日」「夏休み」「週末」といった、学校という名の制約から外れる瞬間だ。

こうした「スキマ時間」をどうやって見つけ、そこに企業として入り込んでいけるか。すでにそのようなマーケットに目をつけていくつかの商品が登場している。たとえば、IncocoYourNailなどの「貼るネイル」や、お湯や指などで簡単にオフできるHOMEIのウィークリージェルのような「剥がせるネイル」。髪に直接こすり付けるだけで部分的に色を付けられる「ヘアチョーク」は、海外セレブが愛用していたことから日本の女子高生の間でも人気に火が付いた。表皮にしか浸透させないことで「2週間で消えるタトゥー」を実現した、100%オーガニック成分のインクボックスも人気商品だ。

細分化されたクローズドコミュニティーにどう入っていくか?

もう一つ、現代の女子高生マーケットを考える上で無視できないのが、彼女らが生まれ育ってきた「文化的ダイバーシティ」な環境だ。物心ついた頃から、多様な価値観があることを見聞きしている彼女らは、当然のように「多様性」を受け入れる。違いに対する寛容性を持ち、自身も「受け入れられる」と知っているからこそ、世界中の誰もが閲覧できるTikTokやYouTubeのような動画プラットフォームであっても、自身が踊り歌う姿を包み隠さず公開できる。

オンラインで広まるという意味をどこまで理解しているのかはわからないが、彼女たちはそこに楽しさを見出す。また一人一台スマホを持ち、日々受け取るコンテンツも発信する情報も異なる彼女らの興味関心は、当然のように細分化される。ある人はメイクに、ある人は男性アイドルに、またある人はアニメへ強く惹かれる。

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