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デジタルメイクアップにロレアルや資生堂が進出、新たな販促や収益機会への期待

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Zoom会議で“着用”できるメイクや、ゲームキャラクターやアバターに提供されるメイクなど、オンライン空間でのみ装うデジタルメイクアップが登場している。今後、ブロックチェーン技術や5Gの普及で、デジタルメイクアップそのものが高値で取引される可能性もありそうだ。現状どのようなサービスや事例があるのかを紹介しつつ、マネタイズの可能性や既存のビジネスモデルのなかでの活用法を考察する。

ロレアルと資生堂が参入、Zoomでも利用可能に

2020年以降のコロナ下で、生活者の過ごす時間がますますデジタルにシフトしつつある。その影響は美容においてもさまざまに表れているが、そのひとつの形として、デジタルのみで提供されるメイクアップが注目を集めている。具体的な形態は、ZoomやInstagramなどのコミュニケーションツールのメイクフィルターであったり、ゲームにおけるスキンやアイテムであったりするが、いずれにしてもフィジカルな化粧品ではなく、ユーザーが受け取るのはあくまでデジタルデータのみだ。以下に具体例をまとめながら、デジタルメイクアップの登場が美容業界にとってどのような示唆を持ちうるかを考える。

2020年11月、ロレアルはデジタルメイクアップライン「Signature Faces」を発表した。これはパソコンやスマートフォンで利用可能なメイクアップのフィルターで、「Volumizing Capsule(ボリュームアップカプセル)」「Plump Shot(ふっくらショット)」「Fire Match(マッチの炎)」の3つのコンセプトがあり、それぞれいくつかの色やパターンを選択できる。パソコンの場合、Snap Cameraをインストールしたうえでフィルターの種類を指定、さらにZoom等のコミュニケーションツール側でもSnap Cameraを連携させることで使えるようになる。手順としては、Snap Cameraで、たとえば「Fire Match」を検索し、出てきたフィルターを指定。Zoom側もカメラ設定をデフォルトのWebカメラから「Snap Camera」に切り替えておくことで、画面内容がSnap Cameraと連動する。

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左がZoom、右がSnap Camera
のウィンドウ
(著者撮影)

連携可能なコミュニケーションツールはZoomのほかに、Google HangoutsやMicrosoft Teamsなど、一般的なWebカメラを使うソフトウェアであればたいていのものに対応する。基本的にはメイク製品の使用イメージをARで再現するYouCamなどのバーチャルトライオンと同様に、人の顔のパーツを認識したうえで任意の部分に任意の画像を貼る仕組みだが、汎用的なコミュニケーションツール上で使える意義は大きい。

設定がやや煩雑だったり、実際に利用しやすいナチュラルなスタイルのメイクが少なかったりと、まだ実証実験中の印象はあるが、この仕組みが洗練されれば仕事にも使え、リモートワークではメイクアップが不要になるかもしれない。

資生堂も2020年8月、Snap Camera上で「テレビューティー(TeleBeauty)」フィルターの提供を開始した。こちらも同様の設計でZoomなどに対応しており、より自然な仕上がりが中心で、男性用も用意され、実用性が高い。またメイクアップには資生堂の既存アイテムが「使用」されており、フィルター適用時にその商品を確認することもできるため、バーチャルトライオンとして「お試し」の場としても機能しうる。Snap Inc.は2020年12月、YouCamを運営するPerfect Corp.とも提携しており、今後はPerfect Corp.のパートナーブランド各社がこの流れに続いてくる可能性が高いだろう。

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