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ゲラン、ロレアル、ロクシタンのCSR(企業の社会的責任)はSDGsを内包しさらに進化

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仏パリで開催された美容業界の非営利組織CEW Franceのセミナーイベントでは、欧州で浸透する「企業の社会的責任(CSR)」にもとづくビジネス戦略について、ゲラン、ロレアル、ロクシタンが実際に推進している施策を発表。企業に対し、環境や社会に対するコミットメントを要求する消費者の声が強まるなか、企業として収益を向上させつつ、どう社会に対する責任を果たし貢献していくのか、全方向にベネフィットのある関係をつくる取り組みの一例が語られた。

本業を通じたCSR活動はビジネス戦略の中心

若い世代を中心に、一般市民の持続可能性に対する意識の高まりとともに、企業による環境問題や社会課題に関する取り組みや情報開示が世界中で拡大している。以前から欧州では「企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)」という考え方が浸透しており、持続可能な未来の創造は企業が果たすべき“責任”と捉え、企業がビジネス戦略にCSRを組み込む事例が少なくない。

つまり、国連で採択されたSDGsの達成やESG投資を推進する前提として、各企業が自社のCSR(=自己利益だけでなく、ステークホルダーや環境にもベネフィットのある活動をして、それを報告する責任)をしっかりと自覚したうえで、具体的な施策を立案することがなされているのだ。

厚生労働省によると、CSRとは「企業活動において社会的公正や環境などへの配慮を組み込み、従業員、投資家、地域社会などの利害関係者に対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことを求める考え方」と定義されている。CSRの1つには、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績・今後の見通しなどを広報するインベスター・リレーションズ(IR)があるが、それにとどまらず、企業は自社の利益追求だけではなく、社会や環境にとっても利益ある活動を行うべきだとしている。日本ではよく、CSRは企業のイメージアップのための社会奉仕と混同されるケースもあるが、あくまで企業が存在するうえでの “責任” として取り組むものだ。

実際、欧米では、環境問題・社会課題への消費者の関心の強さに押されるように、環境に配慮した処方やパッケージ開発、さらに、エコサート、B-Corp認証など自然環境や社会問題への配慮を表すさまざまな認証ラベルが多くの企業で採用されている。あわせて、ダイバーシティ・インクルージョンの推進にも注目が集まる。一方で、企業がエンゲージメント(約束)を実行していないと、消費者の48%は購買をボイコットするとのデータもあり、企業は環境問題や社会課題に対してラディカルな目標を設定するだけでなく、透明性を持って、企業活動を消費者に誤解のないように伝えていく必要がある。

美容業界の管理職のための国際組織、「CEW(コスメティック・エグゼクティブ・ウーマン)」のフランス支部では、2021年9月22日に「美のミッション」と題したセミナーイベントをパリ市内で開催。冒頭では「外部・内部の圧力のもと、CSRは今後、企業戦略の中核となる。これらの期待に応える新しいビジネスモデルとは?どのように変革に深くエンゲージするか?」と掲げ、CSRが重要なテーマとして取り上げられた。そして、持続可能な未来を見据えて、本業を通じ環境問題や社会課題に取り組む仏大手企業3社、ゲラン、ロレアル、ロクシタンの取り組みが紹介された。

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