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世界初の「汗腺を眠らせる」技術とiEM細胞培養で、マンダムが次世代の汗対策をリード

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国内男性化粧品のトップメーカーであるマンダムは、汗腺にフタをする機能が中心だった制汗剤市場において「汗腺を眠らせる」ことで発汗を抑え、汗の量や質を改善するという新しいコンセプトの制汗剤の商品化に向けて、長年基礎研究を続けてきた。この次世代制汗剤の実現は、美容分野はもちろんのこと、多汗症や熱中症などの発汗機能障害の予防法・治療法の早期確立や、汗腺の再生技術の確立につながることが期待されており、医療分野からも注目を集めている。

日本の制汗剤市場は、417億円前後で年々拡大傾向となっており、人々の清潔意識が高まっていることが示される。ギャツビー、ルシードなど男性化粧品を中心とした事業を展開してきた株式会社マンダムは、「頭髪・頭皮」「皮膚」「体臭・制汗」の研究分野のなかでも、近年関心が高まっている「体臭・制汗」の研究を2000年頃から強化しており、2013年にミドル男性特有の「ミドル脂臭」の臭い成分を世界で初めて特定するなど、国内外の体臭・制汗分野の研究において、近年注目を集めている。

2019年6月、化粧品産業の世界最大クラスターであるフランスのコスメティックバレー(Cosmetic Valley)が主催する、最先端化粧品技術を競うコンテスト「Cosmetic Victories 2019」で、マンダムと大阪大学薬学研究科が設置した先端化粧品科学(マンダム)共同研究講座の研究グループが、日本を含むアジアで初めての最優秀賞を受賞し話題になった。その内容は、既存の制汗剤のように「汗腺の出口にフタをする」のではなく、「汗腺を眠らせる」ことで発汗を抑えるという新しいコンセプトだ。

株式会社マンダム 基盤研究所 チーフリサーチャー/大阪大学大学院 薬学研究科 招へい教員の倉田隆一郎氏によると、このアイディアを着想したのは、2009年頃だという。

「長期に渡って生活者に貢献できる新しい技術基盤を作っていくことを考えたときに、たとえばスキンケア分野では、しみはファンデーションやコンシーラーで隠す、しみのもととなるメラニンができないように根本ケアする、という”マスキング”と”ケア”の2つのアプローチがあるのに対し、制汗分野では汗腺の出口にフタをする既存のデオドラント剤という”マスキング”の解決法しかなかった。しかも、汗腺の出口を塞ぐことによる皮膚炎(あせも)や、有効成分による服の黄ばみなど、さまざまな問題が起きていることもわかっていた。そこで、汗腺の”ケア”として、汗腺の分泌部に直接作用して発汗を抑える制汗剤を開発できれば、既存のデオドラント製品で解決できなかった生活者の悩みを解消できるのではないかと考えた」(倉田氏)

汗腺を眠らせる=汗腺の筋上皮細胞の収縮を抑える

「汗腺を眠らせる」とは一体どういうことなのか。それを理解するためには、汗腺の構造と汗が出る仕組みを把握する必要がある。

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