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小売におけるAR/VR/MR活用の現在地、非接触ながらリアルを感じる世界へ

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ARによるバーチャルメイクは自撮りアプリの普及で一般ユーザーに広く浸透。一方、VRは従業員のトレーニングや商品開発の現場などバックエンドでの活用が進んでいる。また、MRは現実空間を共有しない非接触でありながら、よりリアルな実感が得られる研修や会議、ショッピング体験の創出という可能性を秘めている。

VR元年といわれた2016年から数えてもはや5年目、その間にデバイスも進化し、アプリケーションもさまざまに提案されてきた。一方、スマートフォンカメラの進化とともに、AR技術は、とくに美容業界ではバーチャル・トライオンでの活用が目立っている。VRとARの中間的なMR(Mixed Reality)技術も誕生し、それらをまとめる「XR」という概念も使われている。技術がある程度成熟してきた今、それらが実際どこまで利用されているのか、現状を振り返ってみよう。

コンシューマー向けにはAR、ビジネスにはVRという潮流

まず美容業界で使われているAR/VR技術のなかでもっともよく知られているのが、スマートフォンをはじめ、化粧品店のスマートミラーやタブレットなどのデバイス上に映るユーザーの顔に、任意のメイクアップ商品やヘアスタイル、ヘアカラーを重ねるバーチャル・トライオン機能だ。2018年、この技術開発の最先端にあったModifaceを、ロレアルが買収したことも話題を集めた。

バーチャル・トライオン機能は、普及当初は化粧品ブランドの店頭やモバイルサイトなどでピンポイントで取り入れられることが多かった。だがその後、YouCamメイクやSNOWのような自撮りアプリでのメイクアップ機能が広く一般に浸透し、また現在では、GoogleやAmazon、Pinterestといったプラットフォームでも導入が進んでいる。

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Perfect Corp の
バーチャル・トライオン機能
 出典:Perfect Corp

一方VRに関しては、VR元年を契機に生まれたさまざまなプロジェクトが一巡した印象がある。たとえば中国のアリババは2016年に、ユーザーがVRヘッドセットを装着しサイトにアクセスすると3Dの商品イメージが立ち上がり、ブラウジングから購入まで完了できるVRモールを開設したが、今現在、その成果はとくに聞こえてこない。eBayも2016年にオーストラリアの大手百貨店Myerと共同で、同様のサービスを提供する世界初のVR百貨店をオープンしたが、現在そのURLは通常のeBayのVRデバイスカテゴリーになっている。ウォルマートも2017年のSXSWでVRショッピングを披露したものの、本格展開には至らなかった。

だが美容や小売の業界におけるVR活用が終わったわけではなく、外から見えにくい部分ではむしろ着実に広がっている。たとえば、詳しくは後述するが、ウォルマートが従業員教育にVRを活用したり、店舗の棚割り検討をVRで行ったりといった事例がある。

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