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中国「完美日記」のYATSENが米国で上場、急成長の理由とグローバルトップへの夢

◆ English version: Perfect Diary’s parent company Yatsen lists on the US stock market — here’s a look back at its success story
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近年、中国では新興化粧品ブランドが続々と誕生しているが、その代表格ともいえる「Perfect Diary(完美日記)」を運営するYATSEN(逸仙控股)が2020年11月、ニューヨーク証券取引所で新規株式公開(IPO)した。中国コスメブランドとして初めて米国株式市場に上場した同社は、なぜ短期間にここまで成長できたのか。目論見書を読み解きながらその要因と今後の展望について分析する。

2017年の立ち上げから3年で中国D2Cブランドの売上トップへ

Perfect Diaryは、CEOである黄錦峰氏ら3名によって2017年にローンチされた。手頃な価格帯としつつ、欧米スタイルの洗練的なクリエイティブを意識したブランディングが特徴で、Z世代をターゲットにECを主戦場としたD2Cモデルで成長してきた。米国証券取引委員会(SEC)に提出した目論見書によると、立ち上げから3年で同ブランドは中国D2Cブランドのオンライン売上高1位になっている。

その好調ぶりは業績に顕著に表れている。2019年の売上高は前年比363.7%増の35億元(約560億円)と驚異的な伸びをみせた。コロナ禍だった2020年も堅調で、9月までの第3四半期の売上高は前年同期比70.2%増の38億元(約608億円)と、すでに前年の売上高を上回っている。また、運営企業のYATSENの現在の時価総額は120億ドル(約1兆2,500億円)を超える。

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米国市場に上場を果たしたYATSEN
出典:YATSEN公式サイト

デジタル至上主義、1万5,000人のKOLを直接管理

Perfect Diaryが短期間で急成長した要因は、徹底した「デジタル至上主義」にある。黄氏はP&Gに在籍後、中国のナチュラルスキンケアブランド「UNIFON(御泥坊)」でCOOを務めていた。その時のデジタル活用の経験が活かされているのだ。

その売上を支える生命線はKOL(キーオピニオンリーダー)である。1万5,000人近いKOLと提携しているが、代理店任せではなく、データドリブンな独自の管理システムを駆使し、KOLとダイレクトに連携している。これらKOLのうち約800人は100万以上のフォロワーを抱えているとされる。中国の美容業界においてトップKOLのひとりである李佳琦(Austin)とも深い関係を築いてきたが、同社が起用するのは有名KOLだけではない。中国メディアの報道によると、1%のトップKOL、9%の中堅KOL、90%の素人ブロガーというバランス維持に配慮しているようだ。

Perfect Diaryは、EC以外にもSNSや動画サービスなど、さまざまなプラットフォームにアカウントを開設しており、2020年10月末時点の総フォロワー数は4,800万を超える。とりわけ力を入れているのはWeChatで、フォロワー数は1,500万に達する。企業アカウントのみならず、ミニプログラムなどで各地方店舗の販売スタッフのアカウントなども運営し、ユーザーコミュニティに向けてキャンペーンを告知したり、フィードバックを得るなどしてコミュニーションを図っている。

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