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SK-Ⅱスマートストア「第3世代」は、AR技術の実験場。より豊かな購入体験をめざす

◆ English version: Shopping in SK-II Wonderland
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SK-IIは、「ラーニングラボ(実験場)」とうたうスマートストアをポップアップの形で展開している。日本では2回目となるそのテーマは「SK-Ⅱ ワンダーランド」。前回はブランドイメージを覆す体験が目的だったが、今回はより進歩し、小売現場におけるユーザーの購入体験を大きく変え、そのノウハウを販売店へシェアすることをめざす。

前回から半年足らずでオープンした「SK-Ⅱ ワンダーランド」は、2018年11月から翌年1月までの期間限定で一般公開する。今回は、「ホリデーシーズン限定デザインボトルの世界観を表現する」ためにARに着目し、ビューティブランドとしては初めてストアにGoogleの「AR Core」を採用。前回人気だった肌分析機能でもARを活用している。SK-Ⅱが熱心にスマートストアに取り組む意味は、「購入体験の限界への挑戦」だとするP&Gジャパン グループ 執行役員 SK-II ヨージン・チャン氏に話を聞いた。

「第3世代のポップアップストア」

前回のスマートストア「FUTURE X Smart Store by SK-Ⅱ」は、「X(Experience):体験」とあるとおり、AIや顔認証などのテクノロジーを駆使した店舗体験を提供し、既存のブランドイメージを打ち破ることをコンセプトに掲げていたが、今回は、ホリデーシーズン限定デザインボトル『SK-Ⅱ フェイシャル トリートメント エッセンス KARAN リミテッド エディション』の世界観をARにより表現。さらに、肌分析技術といったSK-II独自のスキンサイエンスとの掛け合わせによって、従来の買物体験を変えていく狙いがある。

記者発表会の冒頭で挨拶したP&Gジャパン グループ 執行役員 SK-II ヨージン・チャン氏は、今回のスマートストアについて、「第3世代のポップアップストア」と説明する。

P&Gジャパン グループ 執行役員 SK-II ヨージン・チャン氏

第1世代は、AI・顔認証といういわば「点」の取り組み。第2世代は、後述するが9月に中国・上海でJD.comとともに披露した購買のシームレス体験だ。今回のスマートストアを第3世代とチャン氏がいうのは、AR技術を駆使してホリデーシーズン限定デザインボトルの世界観に入り込んだような体験を通じ、化粧品の購入体験を限界まで高めていきたいという意図がある。

ホリデーシーズン限定デザインボトル

ARによる体験で感じてもらいたいこととして、チャン氏は「SK-Ⅱは1980年に誕生し、2つのエンジンによって女性の肌や運命を変えてきた。一つはブランド独自の成分『ピテラ』、もう一つは長年の研究成果である『スキンサイエンス(肌への知見)』。この2つの歩みだ」と話す。また、ここで得た知見をパートナーである小売店にフィードバックしようという狙いもある。

「ポップアップストアの運営や、顧客からのフィードバックを分析して購入体験をもっとよくしていきたい。私たちが以前から課題として感じているのは、スキンケアを店頭で買うときの体験が、顧客が店舗に出向き、店員が販売するというプロセスのまま何十年も変わっていないことだ。一方で他の業界に目を向けると、ユーザーが自由に試したり楽しむ場ができていたり、オンラインショッピングでは何時間でも好きなだけ商品を見て、買わなくても誰からも文句を言われない自由があったりと、買い物体験は日々進化している。いかに顧客に、自由で新しい買い物体験をしていただくか。その答えを見つけるための挑戦がこのポップアップストアであり、ここで培った知見をパートナーの小売店に提案していきたいと考えている」(ヨージン氏)。

「第2世代」の中国のポップアップストアでは、小売店のシームレス体験をJD.com(京東)と組み、手応えを得た。同店舗はリテールテーブルを設けるなど、日本で行った「第1世代」のスマートストアを進化させたものだ。

上海のポップアップストアで紹介したリテールテーブル
出典:SK-Ⅱ

JD.comのアカウントを持っている顧客であれば、インタラクティブに操作できるリテールテーブル上に表示された商品画像を指差すだけで、JD.comの販売ページが表示され、商品の特徴や価格、レビューなどを確認できる。気に入れば、その場でJD.comのアカウントから購入も可能だ。WeChatのアカウントを紐づけると、WeChatに通知が届く。JD.comのアカウントで決済すれば自宅に商品が届くが、もし支払いが済んでいなければ、WeChatを通じてリマインドのテキストが送られてくる。目指したのは、オンラインとオフラインを融合し、楽しみながら買い物ができるOMO(Online Merges Offline)ショッピングだという。

日本でも第1世代同様、今回も商品の店頭販売を行っている。前回と違うのは、店頭での購入オプションに加え、オンラインで買い、自宅に届けたいというニーズにも答えるため、楽天の公式オンラインストアにつながるQRコードを店内に表示させたことだ。「日本でも極力OMO的なシームレスなショッピング体験を提供していくことが目的」(ヨージン氏)とする。

肌分析は45秒で完了。結果は肌年齢のみに

では、今回のポップアップストア「SK-Ⅱ ワンダーランド」がどんな体験を提供しているのかを見ていこう。ここでは店内の至るところにARマーカーが点在している。これにより来店客は、受付で貸与されるスマートフォンに内蔵された専用ARアプリを通じ、さまざまなインタラクティブな体験を楽しめる。

ARを活用した宝探しゲーム

店内にあるクリスタルと呼ばれるひし形のアートを見つけ、アプリで読み取ると、獲得数に応じて最後にプレゼントがもらえる

前回のスマートストアで人気だったという肌分析は、45秒で完了と大幅に短縮した。以前は、全行程が終わるまでに2分程度かかっていたが、入場時に入力するIDと紐付けることで年齢入力のプロセスをなくしたほか、スキャンについての説明時間を短くしたことで、時間短縮を実現したという。

また前回は、測定結果は別フロアにある「スマート ビューティー ウォール」で確認し、「キメ」「ハリ」「シワ」「シミ・くすみ」「ツヤ」の5つの要素を、用意された5つのウォールで一つずつ見ていく仕様になっていたが、今回は肌分析マシン横に用意された1つのエリアで完結。置かれたオブジェにスマホをかざすと、ARで結果が表示されるようにした。

アプリを起動した状態でスマホをかざすと、
画面に測定結果が表示される

前回時はウォールが大きかったことから周りにも結果が見えやすかった。そのため、他人には見られたくないという声に配慮したという。測定結果は、前回は「キメ」「ハリ」「シワ」「シミ・くすみ」「ツヤ」まで出たが、今回はより早く、シンプルに結果を出すため、肌年齢のみとした。「肌分析はSK-Ⅱブランドの根幹をなすものとして、これからもどんどん進化させ、小売店にも展開していきたい」とヨージン氏はいう。

2階に用意されたテーブルでは、レッド、ブルー、パープル3色のスマートボトル『SK-Ⅱ フェイシャル トリートメント エッセンス KARAN リミテッド エディション』を置くと、ピテラに関する概要や、よく質問を受けるという独特な匂いの理由についてなどが、デスクに埋め込まれたディスプレイにデジタルアートとともに表示される。楽しみながらピテラについて学んでほしいという意図だ。

1階にはレッド、ブルー、パープルと限定ボトルのカラーテーマごとに分かれた部屋があり、部屋に用意されたスマートボトルを持ち上げると部屋の照明が変化するようになっていたり、壁にアプリをかざすとスマホ画面の中で音に合わせて『壁』が動き始めたりといった、それぞれ異なる仕掛けが施されている。

今回の「第3世代」スマートストアを再び中国を始め海外でも展開するか、また国内での次の計画や、採用予定の技術などについての回答は得られなかったが、「今後もテクノロジーを活用して、お客様のスキンケアやショッピング体験を変えていくことに取り組んでいきたい」と、ヨージン氏は意気込みを見せた。

Photo&Text:公文紫都 (Shidu Kumon)

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