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米小売大手「Target」がイノベーションを急ぐ理由と4つのキーワード

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1902年に米国ミネソタ州に設立された会社を母体とする、米国の大手ディスカウントストアTarget。全米で1,829店舗(2018年7月15日時点)を展開する老舗小売業のTargetは、リテールに特化したスタートアップ・アクセラレーターの展開や、IoTのコンセプトストア運営など、優秀なスタートアップの発掘とテクノロジーを軸としたイノベーションに必死で取り組んでいる。100年を超える歴史をもつ老舗企業はなぜイノベーションに挑み続けるのか。

Targetに限った話ではないが、米国の老舗小売各社はAmazon対抗策として、オンライン化の強化や、新しい小売の形を模索するR&Dなどを必死に進めている。各社があらゆる形で戦略を練るなか、当のAmazonはオンラインのみならず、Amazon GoやAmazon Booksなどの取り組みにより、リアル店舗にも進出。各社はリアルとオンライン、両面でAmazonとの競争を余儀なくされている。

そのような状況下で小売大手のTargetはいち早くECや実店舗関連の新規プロジェクトに取り組み、試行錯誤も経験した。2017年2月には、それまで手がけてきた「Goldfish」など2つのプロジェクトを停止。

Goldfishは、TargetのECに各企業が商品を出品する「マーケットプレイス型」のプラットフォームを構築するものだったと言われており、Targetはこのプラットフォームを、ソーシャルメディアの流行を探るファッション・サイトに利用するつもりだったという。

開始当時「謎めいたプロジェクト」と話題になったが、TargetのCEOであるBrian Cornell氏は、「当社の顧客は、ただ最新のテクノロジーを見せびらかすような体験を求めているのではない」と冷静に、顧客を一番に考えたイノベーションに挑む姿勢を示す。本稿では、Targetのイノベーションを読み解く4つのキーワードを見ていく。

テクノロジーを通じたイノベーション

一つめのキーワードは、「テクノロジーを通じたイノベーション」だ。Target は、2015年よりサンフランシスコのSoMaエリアに位置する都市型店舗(※従来Targetが得意としてきた大都市中心の大型ディスカウントストアに加え、近年は、都市部や大学の近くを狙った『都市型小型店舗』を拡大している)に、Open Houseという、IoTのコンセプトストアを構えている。ここで扱われるのはプロトタイプ段階の商品から、すでに大量生産に到達している商品まで様々だ。IoT商品の開発者にとっては、通行量が多いサンフランシスコの一等地で商品をコンシューマーに試してもらい、フィードバックを得たり、購入してもらえたりする場所となっている。

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