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LVMHの多面的なSDGs、ゲランの創造的再利用アートから循環型ビジネスまで

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LVMH傘下のラグジュアリーブランドでは、プラスチックごみなど廃棄物を再活用するアーティストとコラボレーションした特別ボトルなど、ハイエンドなブランドのステイタスを保持しつつ、環境保全に貢献する試みを積極的に推進している。ゲランやケンゾー パルファムの事例を取り上げる。

LVMHグループの野心的なSDGsへの目標「LIFE2020」

LVMHグループは、75の卓越したメゾンを抱え、それぞれが伝統とサヴォアフェール(技術)を継承しながら持続可能な製品開発に取り組んでいる。環境パフォーマンス改善のために考案されたプログラム「LIFE(LVMH initiatives For the Environment)」を2012年に導入。2016年には、2020年までにすべての製品のエコロジカル・フットプリントの削減、すべての資材調達における最高水準の環境基準の実現、すべての拠点における主要な環境パフォーマンス指標の向上、CO2排出量の削減など、グループ傘下のすべてのメゾンが共有する具体的な4つの目標を定めた「LIFE2020」を発表している。今回はゲランをはじめ、同グループが実践する循環型ビジネスモデルについて紹介する。

ゲランはLVMHグループのなかでも、先進的な取り組みに積極的なブランドだ。最先端テクノロジーで顧客体験を豊かにする一方、アーティストとのコラボレーションなど多数の話題を提供している。

メイクアップでは、早期にAR技術を採用したオンライン上のバーチャルトライオンや口紅ケースのパーソナライズ体験を提供、またフレグランスでは脳波を計測してパーソナルな香りをみつける「Mindscent(マインドセント)」を導入している。また、独自のデジタル追跡システムで、製品の誕生から最後のリサイクルまで、製品に関するすべての情報を公開したり、3Dバーチャルブティックをオープンして、ブランドの透明性の提示や消費者に新しい体験を届けている。

同時に、パリ本店ではフレグランスのボトルに手彫りで刻印を施すサービスや、卓越した技術を持つ老舗メゾンやアーティストとコラボレーションした特別ボトルを制作するなど、1828年創業の伝統と技術を継承しながら、革新的な芸術作品とも呼べる商品を世に送り出している。

たとえば、香水「La Petite Robe Noire(ラ プティット ローブ ノワール)」では、オートクチュールブランドのデザインやイメージに合わせてコサージュや花のモチーフを制作する1727年創業の老舗工房 Maison Legeronとコラボし、300枚以上の優雅な羽をまとった特別ボトルを制作。また、2016年には香水「MITSUKO(ミツコ)」が、創業1804年の有田焼の窯元「弥左ヱ門窯」のモダンブランド「アリタポーセリンラボ」とともに、数量限定の磁器ボトルを制作したことも記憶に新しい。

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