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ランコムのシャンゼリゼ旗艦店の没入型体験と多様なパーソナライゼーション

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2019年12月に、ロレアルグループのランコムがパリ・シャンゼリゼ大通りに300平方メートルに及ぶ旗艦店をオープン。ビューティテックを取り入れた多岐にわたるパーソナライズの提案や、ユニークでリュクスなショッピング、環境に配慮した商品・サービスなど、ECでは得られない顧客体験で満ちている。

ランコムの旗艦店がオープンしたのは、ルイ・ヴィトン、カルティエなど高級ブティックが軒を並べるシャンゼリゼ大通りだ。年間1,600万人が訪れるといわれるこのパリ随一の目抜き通りには、セフォラやゲランが大型店を構えているほか、2017年末以降、Dior Parfums(Maison Christian Dior)、Chanel Beauté を含め、美容ハイブランドによる新しいコンセプトの大型店のオープンラッシュが続く。激戦区となったシャンゼリゼ大通りのビューティテック状況を2回に分けてレポートする。(後編はこちら

ランコムのフラッグシップストアの試みとは

1935年にフランスでフレグランスブランドとして誕生したランコムは、現在世界130カ国で展開し、ラグジュアリー化粧品分野において世界1位の売り上げを誇る(美容・パーソナルケア2019年版より)。そのうち、ECは16%を占めているが、デジタルシフトが進むこの時代において、新旗艦店はランコムが提案する最先端の店舗と位置付けられる。

ランコム外観

52番地にオープンした旗艦店の外観
(著者撮影)

デジタルとリアルの双方で没入感のある体験

店内に入って、目の前に現れるのは、一面のバラの世界。約9mの吹き抜けの空間「Joy of Now」には、ブランドの象徴でもあるローズの花びらが、空から舞い降りてきたかのように吊り下げられ、まずはその壮大な演出に圧倒される。また、壁には光をまとったシャンゼリゼの美しい街並みの動画がリズミカルな音楽とともに投影され、その場に設置されたタブレットで顔写真を撮ると、自分の顔が壁に投影されたシャンゼリゼの街並みに取り込まれるのがみられる。このリアルとデジタル技術を組み合わせた体験を入り口に、ランコムの幸福(ハピネス)な世界に足を踏み入れるというわけだ。このスペースは年5回テーマを変えて、没入型体験を提供していくという。

図1

ポップアップ形式のイベントスペース
「Joy of Now」

店内はメイクアップ、スキンケア、フレグランスの3パートに分かれており、さまざまな体験、サービス、テクノロジーを通して、商品を試すことができる。

持続可能な試みとエシカルな活動

エントランスを通り抜けて、すぐ左側に現れるのは、フレグランスコーナーだ。ランコム香水の全ラインアップがずらりと並ぶなか、注目されるのは2019年に発売されたミレニアル世代向けのフレグランス「イドル(Idôle)」(日本未発売)だ。厚み1.5cmという香水ボトルとしては世界一の薄さで、スマートフォンのように手のひらに収まる大きさである。軽量なので旅行など持ち運びに便利だが、その薄さゆえ、ガードとおしゃれを兼ねた3種類の専用ケースが別売されている。

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