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in-cosmetics Korea 2018にて。編集部が見たイノベーティブな化粧品原料6選

◆ English version: Six ingredients from in-cosmetics Korea that deserve your attention
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6月13日から3日間にわたって開催された世界最大のパーソナルケア原料展示会in-cosmetics Korea 2018。前編での取材レポートでは、韓国の原料市場が注目される理由をひもといたが、今回の後編では、編集部としても今後注目したいイノベーティブな新原料・技術6つを紹介したい。

年々増える海外企業の出展

in-cosmetics Korea 2018は、前編でも紹介したように回を重ねるごとに海外の原料メーカーからの出展も増え、2018年には、韓国国内の原料メーカーに負けずとも劣らない意欲と高品質の製品を押し出した海外企業が、ビジターへ熱心に説明する姿が多くみられた。来年のトレンドとなるかもしれない6つの技術は、どれもエンドユーザーが使いたくなるツボをしっかりおさえている。

1. 中国市場をターゲットにした純金素材

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Gold Cosmeticaの製品

今回の展示会で特に目立っていたのが、中国市場を意識して出展する企業だ。「韓国での出展が中国市場への拡散の近道」と考える多くの企業が、中国の消費者に好まれそうなプロダクトを展示していた。

韓国の貿易会社TIPS Tradeが出展したドイツのGold Cosmeticaの製品は、まさにそのなかのひとつでとても目立っていた。その理由は、ドイツで産出された「純金」。
金は時代を問わず、中国では大変好まれる素材の1つ。展示ブースの担当者は、「中国からのビジターの中には『金さえ入っていればその他の原料の成分は気にしない』と言い切る人までいる」と話す。

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加工された金を紹介している同社のパンフレット

同社は、金や銀をフレーク状、パウダー状、極小パウダー状の3段階に加工する技術を持っており、それらがクリームやローション、ジェル、バブルバス、オイルなど製品の特徴に合わせて配合される。同社が紹介していた純度の高い24金の製品には、8週間で肌のハリを13%、乾燥肌を29%改善する効果があるという。

2. 北欧のスーパーフード由来の原料、アジアへ本格進出

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リンゴンベリーを使用した製品を展示するQ For Skinのブース

今年のグローバルトレンドのひとつに、ナチュラルコスメがある。それは来年以降も続きそうだ。スウェーデンの企業、Q For Skinが満を持して紹介していたのがスーパーフードのひとつとして知られるリンゴンベリーのシードオイルを主原料とした製品「Lingonberry Hi-tech Serum in Cream」だ。

自然豊かな北欧諸国を中心に自生しているリンゴンベリーは、日本ではまだあまり知られていないが、欧米では、栄養価の高いスーパーフードとして人気が高い植物だ。展示ブースで大々的に取り上げられていたクリームには、このリンゴンベリーのシードオイルやヒアルロン酸、プロバイオティクスなどの成分が配合されている。さらにオメガ3や、肌の新陳代謝を促進する抗酸化物質が含まれており、色素沈着の抑制やシワ改善などに効果があるという。

今回が初のアジア出展となった同社のエリノア・ニルソンCEOに今回のin-cosmetics Koreaへの出展理由を聞いたところ、「今までヨーロッパを中心に展開してきたが、今年から本格的にアジア進出を考え始めた。周囲にそのことを相談したところ、『アジアで売るなら韓国に行け』とアドバイスを受けた」という。

3. 美しい透明感のあるゲル状コスメ

日本からの出展で興味深かったのが、化粧品原料開発企業である高級アルコール工業のプロダクト「AJK-IS 3613」だ。

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高級アルコール工業AJK-IS 3613を使用して作られたリップスティック

AJK-IS 3613は、アミノ酸ゲル化剤をイソステアリン酸 EXで溶解したゲルミックスで、近年注目されている透明なリップティント処方以外にも、韓国で人気のサンケアスティックや、クリームの乳化処方への配合が可能。この溶解温度を100℃まで下げることで、いままでの製造工程での作業効率を向上させているという。

また、低粘度で屈折率の高い同社開発製品「KAK TCIN」と併用することで、より高い透明度のゲルを形成することができる。この技術を活かし、今年1月パリで行われたCosmetagoraでは、フランスにある関連会社ESTENITYが発表したAJK-IS 3613を使用したクレンジングスティック処方が、最優秀賞である「1er Prix Formulation Cosmetagora 2018」を受賞した。クレンジングスティックとは、クレンジングオイルとは違い、固形状であるゆえ垂れることがなく、ポイントメイク直しが可能になる。AJK-IS 3613の特徴であるのびのよさにより、固形でも滑りやすく、肌へ優しい。

4. 微妙なオイル粘度の違いが、テクスチャーを決める

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ひとつひとつ異なる粘度をもったオイル

200もの展示ブースが並ぶ中、見慣れたロゴに引き寄せられて日清オイリオのディスプレイを覗くと、ライトアップされた色の違うオイルの列が目に入ってきた。並んでいるのはもちろん食用ではなく化粧品に使われるオイルだ。圧倒されるのは、何十種類ものオイルサンプル。ひとつひとつ違う粘度をもっており、これらが化粧品のテクスチャーを決める。

1907年に食用油の販売をもって創業して以降、長い歴史をもつ日清オイリオ。1973年、それまでに培ってきた、“植物のチカラ”を活かした独自の製剤化技術を駆使し、化粧品用オイルの製造・販売を開始。食用はもちろんだが、化粧品に使用されるオイルも、その品質がモノを言う。世界トップクラスの精製技術を有する同社のオイルは、それゆえ食用・化粧品用ともに世界から注目を集めているという。

5. カプセル化技術で、液体の中でも沈まない

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液体中なのに沈まない人工花びら

in-cosmetics Korea 2018の3大テーマ、「anti-pollution(抗汚染物質)」、「encapsulation(カプセル化)」、「preservative(防腐剤)」。そのうちの1つ、「カプセル化」の技術で目をひいたのが中国の企業PelletsのPetalsシリーズだ。配布用のパンフレットが途中で足りなくなってしまうほどで、注目度の高さをうかがわせる。

数年ほど前から、花びらが入った化粧水やトナーの人気が高まっているが、容器を振ってしばらく置いておくとどうしても花びらが底へ沈んでしまう。が、今回このPelletsが開発したカプセレーション技術は、その液体内の固形物を浮かせ続けられ、見た目の美しさをキープできる。

同社で使用されている人工花びらの表面には、カプセル化された卵型構造のポリマーで特殊なフィルムコーティングが施されており、液体中でも沈まなくなるのだという。残念なことに現時点では、まだ本物の花びらを浮かせる技術はないとのことだが、人工花びらが浮いたとなればその実現も時間の問題だろう。

6. イノベーション賞銅賞を受賞したバームスティック

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韓国のコスメ業界ではすでに定番となっている、スティック型の日焼け止め「サンスティック」。韓国国内の一般的なドラッグストアOLIVE YOUNGやLOHB’sなどにも常時、数種類が店頭に並んでいる。今回のイベントでイノベーション賞銅賞を受賞したSunjin Beauty Scienceの「Instant Moisturising Soothing Balm Stick」は、日焼け止め成分の代わりに保湿成分を配合したボディ用保湿アイテムとして、スティック型コスメにまた新たな風を送り込んだ。腕や顔、首などにひと塗りすると、数秒後に心地良い清涼感があふれる。質感もべたつかずサラッとしているのが特徴だ。液体のように垂れ落ちることもないので、場所を選ばず使えるのもいい。

伸びしろのある海外製品の強さ

広い会場にあふれんばかりの原材料やプロダクトが並ぶ展示会でつくづく思ったのは、海外の展示は、日本のプロダクトや技術に比べ、開発途中やさらなる改善の余地のあるものが多く見られたように思う。しかし裏を返せば、その前のめりなチャレンジ精神が展開の早さを生み出し、新しいコスメを生み出す原動力ではないかと感じる。

Text&Photo: 橋本 愛喜(Aki Hashimoto)尹美晶(Mijoung Yoon)

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