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韓国セフォラがオープン、AMUSEなど独占販売する3つの韓国ブランドと今後の戦略

◆ English version: Why Sephora is seeking elbow room in the saturated South Korean market
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6年ともいわれる検討期間をへて、ついに韓国にセフォラがオープンした。注目は、セフォラが「独占販売」する3つの韓国ブランドだ。今後も独占販売ブランドを増やしていくという発表とともに透けてみえる、韓国セフォラの今度の位置づけについて考える。

10月23日、江南区三成洞にあるParnas Mall に、セフォラが韓国1号店をオープンした。ディオール、イヴ・サンローラン、ジバンシイなど知名度が高いブランドはもちろん、TARTE(タルト )  、HUDA Beauty(フーダ ビューティ)Anastasia Beverly Hills(アナスタシア ビバリーヒルズ )は、韓国に正式上陸として披露され、99のブランドが揃った。

セフォラ・コリアのキム・ドンジュ代表(Hailey DongJu Kim、元シャネルの韓国トップ)は、来年1月には早くも西大門区の現代ユープレックスに2、3号店をオープンする予定だとし、2022年までに韓国国内に14店舗を開くと予告した。そして、次のようにメディアに向け決意を明かした。

「全世界2,600ある売り場のうち、韓国1号店をベスト100にランクインさせる」

セフォラに対して厳しい韓国メディアの視線

韓国各メディアは、ブラック&ホワイトの基調で統一されたシックで高級感溢れるセフォラ国内1号店について、「さすがセフォラだ」と一様に称賛を送った。中央日報や東亜日報など、大手紙が一斉に事の詳細を報じたことからも、セフォラ進出の注目度がうかがわれる。一方で、セフォラの韓国攻略のプランについては手厳しい意見が多いという印象だ。「一筋縄ではいかないだろう」というのが、各紙の率直な指摘となっている。

韓国メディアがセフォラの進出に懐疑的なのは、決して自国の小売店の優位性を主張したいからではない。実際、各紙が指摘するように、セフォラにとって韓国の市場には大きな“障害”がいくつも立ちふさがっている。

まず、中国や東南アジアなど、成長が有望視されている他の市場に比べて人口が約5,000万人の韓国マーケットサイズは決して大きくはなく、すでに化粧品小売ビジネスがレッドオーシャン化して久しい。EC化率の高さに加え、ブランドが運営する街頭店舗も多い。さまざまなブランドを集めたキュレーションショップも集客力を高めている。アモーレパシフィックが運営する「アリタウム」がその急先鋒だ。加えて、H&Bストアがいたるところに乱立。業界1位のOlive youngの店舗数は1,233店舗を数え、そのほかにもlalavla(150店舗)、LOHB's(133店舗)など競合がひしめいている。

これまで「韓国版セフォラ」を標榜してきたビューティストア「シコール(CHICOR)」も、ここ3年で29店舗まで拡大した。セフォラは世界的に成功を収めているが、シコールを運営する新世界百貨店グループは免税事業にも力を持っており、こと韓国国内に限っては強力なライバルになりうるだろう。

韓国メディアは、2001年にセフォラが日本から撤退したこと、また2010年に香港ではオンラインビジネスに転換せざるを得なかったことなども、あわせて紹介している。美容市場のトレンドやスピードが急速に変化する国では進出には失敗がつきものだというのが、韓国メディがセフォラ進出について出した分析である。

韓国セフォラが独占販売する3つのK-Beautyブランド

競合ひしめく韓国市場のなかで、セフォラが差別化の武器として強調するのは「独占販売ブランド」だ。韓国1号店では、海外の約30の独占ブランドに加え、韓国国内の3つのブランド、「WHAL MYUNG(ファルミョン)」「tamburins(タンバリンズ)」「AMUSE(アミューズ)」が発表された。

WHAL MYUNGは、1897年に創業の韓国初の製薬会社・同和薬品のスキンケアブランドだ。朝鮮王朝時代の王室から受け継がれてきた宮中秘法に由来した製造技術を、製品開発に取り入れているとする。2017年には米国で販売を開始しており、高い支持を得たという。セフォラ側は韓国的な美しさを現代的な感覚で再解釈したブランドであると、技術力をベースにしたWHAL MYUNGの可能性を高く評価、国内独占ブランドに選定したと説明している

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WHAL MYUNG 公式サイトより

tamburinsは、エッジーなアイウェアブランドとして世界的にも名高いGENTLE MONSTERを運営するIICOMBINEDのグループ会社・IICOMBINED2が手掛けるスキンケアブランドだ。アートやファッション要素を多分に取り入れた製品と卓越したマーケティング手法で、熱烈なファン層を持つ。チェーンのついたチューブに代表されるハンドクリームや練り香水など、洗練されたアクセサリーのような製品デザインが特長だ。tamburinsはこれまで、国内のH&Bストアへの出荷を進めてきたとのことだが、セフォラの韓国進出に伴い国内独占販売契約(免税店を除く)を結んだ形となっている。

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出典:tamburins 公式サイトより

セフォラは、ミレニアル世代を中心に人気を集めているインディーズブランドのAMUSEとも独占契約を結んだ。AMUSEは、InstagramをはじめとするSNSを通じてユーザーと密にコミュニケーションを取り、競争の激しい市場で急浮上してきた新興ブランドだ。流行に敏感なソウルの女性が持つ美しさのノウハウを共有するというコンセプトでリリースされ、リップなどメイクアップアイテムに強みを持つ。

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AMUSE 公式サイトより

AMUSEは、日本の若い世代にも人気の自撮りアプリ「SNOW」を運営する企業SNOWの子会社である。まだローンチから1年も経っていないが、存在感は日ごとに高まっている。

セフォラが選出した上記3ブランドをみると、WHAL MYUNGは「伝統性」、tamburinsは「前衛・革新性」、AMUSEは「ソーシャル性」と、それぞれ固有のテーマで区切られており、まずはバランスよく話題性あるブランドを取り揃えた感がある。

セフォラのキム代表は、今後も韓国国内の独占ブランドを、3ヶ月に1回程度の高い頻度で紹介していく予定だと言及している。また2020年の上半期中に専用アプリをリリースすることも宣言した。EC化率が高い韓国において、アプリを用意することで波及効果を高めていくのが目的だ。

2019年5月の記事「セフォラがシコールはじめ化粧品専門店の激戦地、韓国へ進出。その意図は?」では、セフォラの韓国進出の理由について、いくつかの角度から分析した。「韓国のトレンドや新興ブランドをいち早く発見して世界に拡販していくためのラボ的な位置づけ」、「中国市場へのアクセスしやすさ」「テストマーケティングの場としてのソウルの価値の高さ」などを理由に挙げたが、今回、キム代表本人からはそれらに近しい趣旨の発言があった。「多様なブランドを紹介しつつ、韓国のブランドを発掘して輸出まで行うプラットフォームになる」というのがそれにあたる。

世界的にも訴求力の高いK-Beautyブランドを、現地に拠点を構えたうえでしっかりと囲い込み、他の地域に展開することでグローバルな競争力と収益を確保していく。それが韓国進出の大きな目的のひとつだと考えれば、あえてレッドオーシャンに飛び込んだことにも合点がいく。すでに世界28カ国で1,300店舗、売り場としてはその倍を超える規模の流通プラットフォームを持つセフォラは、各国の「ブランド=コンテンツ力」の発掘・育成に焦点を当てているが、そこに韓国を加えたことでグローバルでの成長戦略をより盤石にしていく狙いがみてとれる。

Text:河 鐘基(Jonggi HA)
Top image: Sephora Korea

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