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日焼け止めは2021年以降、どう進化するのか。化粧品開発者からみる「過渡期」とは

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日焼け止めに求める消費者のニーズが多様化するとともに、研究開発側も、紫外線だけでなくブルーライトや近赤外線などの対策に乗り出している。クリーンビューティの流れをうけて環境への配慮も進む。進化し続けている日焼け止め市場のいまを、日焼け止めに詳しい化粧品開発者に日焼け止めの現状とこれからの進化について聞いた。

歴史とともに多様化する日焼け止めの役割

日本で最初に日焼け止めクリームが発売されたのは大正時代という。西洋化とともに海水浴を楽しむ文化が浸透し、耐水性を重視した“レジャーユース”の日焼け止めが主だった。その後、紫外線の肌への悪影響が知られ始めた1990年代から、日焼け止めは日常生活の中で使用されるアイテムとなり、現在は、スキンケアやメイクアップの一部として使われるようになった。

現在は、欧米で盛り上がりをみせるクリーンビューティーの動きとともに、日焼け止めに使用される化粧品成分に消費者の関心が集まっている。紫外線吸収剤として使用されるオキソベンゾンやメトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどの化学物質が、海洋生物やサンゴ礁に悪影響を与えるとして、パラオやハワイなどでは使用を禁止する法律が制定された。また近年は、紫外線だけでなく、近赤外線、ブルーライトなどの可視光線や大気汚染物質からの防御の必要性を唱えるブランドもでてきており、日焼け止めがカバーすべき領域も年々拡大している。

この先、日焼け止め市場は、どの方向にすすんでいくのか。国内外の市場では、どのような違いがあるのか。日焼け止めに詳しい化粧品開発担当者に、一問一答形式で聞いた。
(※中立性確保のため匿名でお答えいただいています)

Q)世界の日焼け止め市場はどんな動向か?

A)まず、大前提としてEU、米国、日本を含むアジア圏の3つの地域で、日焼け止めに対する価値観には違いがある。EUでは、紫外線散乱剤として使用される微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛などのナノ原料の安全性を懸念する声が強く、2013 年にEU化粧品規則が施行され、化粧品にナノ原料(一般的に、不溶性で1-100nmの大きさのもの)を使用する際には、安全性データの届出や表示等が義務づけられている。そのため、EU圏では、紫外線吸収剤を使用した日焼け止めが主流だ。

一方、米国では、日焼け止めが化粧品ではなくOTC医薬品にカテゴライズされ、日焼け止めは皮膚がんを予防するためのものとして、機能性を重視した製品が多い。FDAが承認する限られた成分しか使用することができないため、EUや日本で当たり前のように使用されている成分でも、米国では未承認のため使用できないことも多い。近年は、前述の海洋生物や環境への影響を考慮して、紫外線散乱剤を使用した日焼け止めが増えてきている。 

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