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BLMで高まる企業倫理への声、欧米でのブランド側の誠実な対応に学ぶ

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欧米ではBlack Lives Matter運動をきっかけに、ロレアルやエスティ ローダーといった大手美容企業の倫理観を問いただす消費者の声や、従業員からの内部告発が相次いだ。企業側はこれに即応して、真摯に受け止める姿勢と具体的な対策を示すことで、ブランド価値を維持している。米国では非倫理的な美容ブランドの商品は買いたくないと消費者の60%以上が回答する(Mintel調べ)今、企業が社会的な責任を明確に示す必要性について事例をもとに考える。

SNSの普及やそのなかでの社会的議論の高まりにつれて、人種差別やジェンダー差別といった倫理的課題に対し、企業が自社の見解の表明を迫られる場面が増えている。それが顕著に現れたのは2020年、米国の警察官による黒人男性暴行死事件をきっかけに社会運動「Black Lives Matter」(以下BLM)が活発化したときだった。警察、そして社会全体の人種差別に抗議する活動が米国から世界へ広がるとともに、多くの企業や著名人がBLMへの共感や賛同の意を表明していった。

美容企業も例外ではなく、ロレアルやエスティ ローダー、ユニリーバといった主要なグローバル企業も含め、多くの企業やブランドがInstagramやWebサイトなどにBLM支持のメッセージを掲載した。

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出典:Unsplash

だが現在、単なるメッセージの表明だけでは満足しない消費者の声が大きくなりつつある。海外では、企業内部から被差別人種の従業員が実際に起きていることを明るみにして企業を批判するケースや、商品のボイコットを呼びかけるケースもあり、複数の美容企業で経営者の姿勢を問いただす内部告発が起きている。告発する従業員たちはSNSやニュースメディアを介して自らの声を消費者レベルにまで拡散しており、企業側は社内のモチベーション維持のためだけでなく、顧客や社会に対するブランド価値の保持のためにも説得力がある対応を求められている。

消費者や社員が企業倫理に一歩踏み込んで厳しい眼を向け始めたこの流れに、企業はどう対応したのか。現状を振り返って考えていきたい。

企業における人種差別の実態を指摘する告発の数々

2020年5月、米国ミネソタ州警察が黒人男性ジョージ・フロイド氏を逮捕しようとするなかで過度な暴行を行い、同氏を死亡させる事件が起きた。これをきっかけにBLMの動きが活発化し、世界各地で大規模な抗議デモが開催されるとともに、SNSなどネット上でもBLMに対する共感を表明する動きが数多く見られた。

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