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皮膚常在菌コントロールの新成分、桃谷順天館が美容から健康、繊維へも拡大へ

◆ English version: Combining Tradition with Technology for beauty care that goes beyond skin-deep: Momotani Juntenkan researches good bacteria to expand into health, skincare-supplements, and fiber materials
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135年前に「にきびとり美顔水」で創業した株式会社桃谷順天館は、ニキビ研究から皮膚常在菌に着目して、ニキビや肌荒れの原因となる悪玉菌を減らし、肌のフローラバランスを整える独自成分「フローラコントローラFC161」を開発した。化粧品への配合だけにとどまらず、それを練り込んだ繊維素材の開発や、肌と腸内環境の研究から美肌に導くサプリメント、食品メニューの開発にも、スタートアップと協働するなどオープンイノベーションで積極的に取り組む。老舗美容企業の“菌”にまつわる新たな事業戦略を追った。

どう常在菌を最適化するか。多様化するアプローチ

2013年ころから注目され始めた常在菌コスメが、昨年から再び盛り上がりを見せている。その火付け役となったのが、昨年2019年9月に“美肌菌のサポート”をコンセプトにリニューアルしたランコムの美容液「ジェニフィック アドバンスト N」だ。皮膚常在菌叢を「美肌菌」と再定義し、SNS映えするコンセプトを打ち出す手法で、皮膚常在菌のパイオニアブランドとしての認知獲得に成功した取り組みは、こちらの記事でも取り上げた。

「ジェニフィック アドバンスト N」は、外的環境によるストレスや加齢によって減少した皮膚常在菌の栄養分となる成分を配合し、その回復を目指す処方が特徴だ。それに対し、今回紹介する桃谷順天館のスキンケアは、ニキビや肌荒れの原因となる悪玉菌に対して選択的にアプローチする独自成分が配合されている。一般に美肌菌、常在菌コスメといっても、菌へのアプローチが多様化してきているのだ。

桃谷順天館は「ニキビ」へのこだわりから皮膚常在菌研究へ

桃谷順天館は、約400年続く薬種商を継いだ創業者であり、和歌山県初の薬剤師となった桃谷政次郎氏が、ニキビに悩む妻のために、日本で初めて西洋医学を取り入れた化粧水「にきびとり美顔水」を開発したのが原点だ。その美顔水は、今もなお「明色美顔水 薬用化粧水」として発売されており、超ロングセラー商品となっている。

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創業(1885年)当時の「にきびとり美顔水」(左)
現在の「明色美顔水 薬用化粧水」(右)

同社は、創業130周年を見据えた2014年12月、次の強みとなる事業の卵を見つけるべく、現在の「桃谷総合文化研究所」の前身となる「Next R&D研究所」を設立。同研究所所長に就任した杉野哲造氏は、大学や企業の研究室や学会、展示会、セミナーなどに積極的に参加して情報収集を行い、着目したのが「皮膚常在菌」だった。

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株式会社桃谷順天館
桃谷総合文化研究所 所長
杉野哲造氏

肌には、200種類以上の皮膚常在菌が発見されており、代表的な皮膚細菌には、アクネ菌、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌などがあげられる。中でも黄色ブドウ球菌は皮膚バリア機能に悪影響を与えるといわれており、アトピー性皮膚炎との関係性が多数報告されている。一方、表皮ブドウ球菌は黄色ブドウ球菌を抑制し、健康な肌から高頻度で検出されることが知られている。

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