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シャネルのスキンケアR&Dは植物成分に注力、世界各地のラボからゲノムコホートまで

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シャネルのスキンケアに関するR&Dは一貫して「植物成分」の研究に大きな比重を割いている。世界に5カ所あるシャネル化粧品研究所は外部機関とも連携し、スケールの大きな研究体制を持つ。その1つとして、京都大学とともにゲノム疫学調査という地道な研究を進め、長期間にわたって得られたデータをもとにした、自社開発の植物成分による製品も誕生している。そのR&Dの全体像を詳しく紹介する。

自社による植物栽培から独自成分開発まで、シャネルの植物成分研究は全方位

シャネル化粧品研究所は、フランス、米国、日本、韓国、中国の5カ国に拠点をもち、250名以上の科学者が密に連携しつつ基礎研究から製品開発にまで取り組んでいる。日本は2004年に3番目の研究所として設立され、おもにアジア人の肌特性の研究やアジア市場の調査、処方開発などを担っている。日本の研究チームがプロジェクトリーダーとして開発を進める製品も複数あるという。

シャネルの研究所は、植物成分についての研究にフォーカスし、在籍する植物学者や植物科学者が、新しい可能性を秘めた植物を求めて世界中を探索している。さらには、自然環境に適合した環境で植物を栽培し分析する研究の場という着想で、世界各地に「オープンスカイ ラボラトリー」を2002年より開設している。高品質、かつ独自の有効成分を開発するために、伝統的な栽培を行う生産者や、それぞれの土地とエコシステムに精通した地域の有識者と協働しながら、原料となる植物を栽培し、観察、実験を行ってきた。

現在、マダガスカル島、フランスの南アルプス、フランス南西部ピレネー山脈のゴジャック近郊、コスタリカのニコジャ半島という異なる気候帯に属する4つのオープンスカイ ラボラトリーがあり、生物多様性を保持・保護しながら、独自有用成分の研究や、それぞれの植物に最適な分離抽出技術の開発を行っている。

外部から供給される原料についても、自社栽培と同等の厳正な基準を満たし品質を保証するための基本原則を定め、その供給経路は100%追跡を可能としている。

マダガスカル島で栽培されているヴァニラ

こうした一連の研究のなかで、最先端の分野で研究を行っている外部機関やスタートアップとの協働によるオープンイノベーションにも積極的だ。創業者であるガブリエル・シャネルの時代からオープンイノベーションを推進しており、ファッションにおいては、さまざまなアーティストとのコラボレーションや交流を通して、つねに革新的なスタイルを世の中に提案してきた。その思想は、ビューティにおいても変わらないという。

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