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中国美容ブランドの意外なクロスボーダーマーケティング、人民日報とのコラボも

◆ English version: Crossover collaborations bring about unlikely partners for Chinese cosmetics - such as newspapers, museums, and dictionaries
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中国ではこのところ異なる業種の企業とのコラボレーションが人気だ。異業種のブランドやキャラクターを自社の商品に掛け合わせて消費者に目新しさや希少性を提供する。一般消費財メーカーだけでなく、美容業界も例外ではない。この手法が流行するようになった背景を分析するとともに、化粧品ブランドにおける事例をいくつか紹介したい。

漫画やアニメのキャラクターなどを商品に組み込むことを中国では「IP営銷(IPマーケティング)」と呼ぶが、2015年頃から始まったとされている。背景には、中国においても欧米、日本のように知的財産権が重視されるようになったことが大きい。中国国務院は2014年に「国家知的財産権戦略の実施強化に関する行動計画(2014–2020年)」を発表。2020年までに関連する法律を整備し、知的財産の創造・運用・保護を強化する方針を示している。

コラボ製品を好む消費者の5割超が90后と95后

中国EC最大手のアリババグループ(阿里巴巴集団)も異業種コラボを重視している。傘下のTMALL(天猫)が11月11日に毎年開催するEC業界の一大イベント「ダブルイレブン(双11)」の直前に、2015年から毎年開催している販促イベント「天猫超級品牌日(スーパーブランドデー)」では、IPマーケティングなどの異業種コラボが重要なキーワードの1つになっている。

IPマーケティングでは、ディズニーなど国際的知名度のあるキャラクターが起用されるケースも少なくないが、ライセンス料が高額のためそこに投資できるブランドは限られ、継続的に展開できるものでもない。そこで増えてきているのが、異なる業界の有名ブランドとコラボする「跨界(クロスボーダー)マーケティング」だ。誰もが知るブランドを自社製品に取り入れることで、新しい価値の創造が可能になる。

IPマーケティングやクロスボーダーマーケティングを実施している業界は多岐にわたるが、CBNDATA(第一財経商業数据中心)とTMALLが共同で発表した「化粧品業界ブランド連合クロスボーダー・リサーチ(美妝行業品牌聯合跨界研究)」によると、2018年でクロスボーダーマーケティングへの消費額が大きい業界は、アパレル、靴・バッグ、化粧品、スポーツ・アウトドア、子供服・玩具の順になっている。

これらの業界に共通しているのは、消費の中心が若い世代であるという点だ。同調査によると、クロスボーダーマーケティング製品の消費者の世代分布は、「90后(1990年代生まれ)」と「95后(1995年以降生まれ)」で5割を超える。つまりクロスボーダーマーケティングは、これらの業界がターゲットとしたい若い世代にリーチしやすい施策だ。90后や95后はSNSへの依存性が強い。意外性のあるユニークな組み合わせが話題となってバズを引き起こし、多くのユーザーに商品の存在を知らしめることになるのである。

「政府お墨付き」のコラボ製品も

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