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仏「Sista」の取組みに学ぶ、大手企業・投資家・女性起業家を巻きこむジェンダー平等

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テック業界のスタートアップ創業者、投資家などが一堂に会してエコシステムの現状と未来について考える、毎年恒例のカンファレンス「France Digitale Day」が2020年もパリで開催された。そこで登壇した起業家の男女格差の解消を目標にする支援組織「Sista」の活動を軸に、フランスの産業界における女性へのバイアスをなくすための取り組みを紹介。ビューティテック領域では女性の起業家も多く、注目が集まる。

企業活動のなかに、インクルージョン(包括性)、ダイバーシティ(多様性)を推進する動きが進んでいる。男性社会といわれるテック業界でもその動きは顕著で、フランスでは資金調達における男女の格差を是正する非営利団体Sistaがベンチャー・キャピタル(VC)、コーポレイト・ベンチャー・キャピタル(CVC)、インキュベーターなどの支援組織を巻き込んでエコシステムの改善に努めている。

昨年に引き続き、France Digitale Dayに登場したSistaの活動を中心に、フランスにおけるジェンダー・ギャップを縮めるための最新の動きをレポートする。

France Digitale Dayは、毎年世界中から約3,000名のテック系企業のCEOや投資家が集まるイベントだが、2020年9月15日にパリで開催された今年のイベントは、新型コロナウイルス感染症の影響で来場者が1,000名に制限され、登壇者もフランスをベースに活動する起業家や投資家のみとなった。より多くの人が参加できるよう、メイン会場の2つのステージでのトークセッションの模様は、オンライン上でライブ配信された。

女性創業者を多角的にサポートするSista

Sistaは、2018年に22名の女性実業家・投資家により発足した、女性の資金調達の加速を目指す非営利団体だ。過去10年間の統計をみると、女性創業者のみのスタートアップは、男性創業者のみのスタートアップよりも資金調達の機会が30%少なく、調達金額は平均で男性の40%に留まっている。同団体ではこの状況を、VCや投資家の多くが男性で占められていることによる無意識の心理的バイアスが、投資決定に大きな影響を与えているとみており、男女の均等な機会創出のためにさまざまな活動に取り組んでいる。

Sistaの活動は主に3つ挙げられる。まず1つめが、男女の格差に関する客観的な統計データを社会に示すことだ。科学的な数値を提示して政治家やVCにロビー活動をし、テック業界におけるインクルージョンやダイバーシティの必要性を訴えている。とくにVCに対しては、2019年に男女の格差是正を促す 「憲章」を作成し、公約のサインを求めた。

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