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ロンドン初のBeautyTech MeetUp、創造性と地域コミュニティでつながる未来

◆English version: UK’s young entrepreneurs get boost from beauty tech
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BeautyTechコミュニティが結束を深め、メンバーが互いに助け合うことで、若い起業家たちのビジネスが開花する。英国では初開催となったBeautyTech Meetup in London のキーワードは、「人と人とのつながりを大切にする」だ。

「最善の方法は、とにかくトライしてみることだ」

ヨーロッパ最大のヘア&ビューティサロン・オンライン予約プラットフォームTreatwell の創業者兼CEO であるロポ・シャンパリモード(Lopo Champalimaud)氏は、オープニングセッションで、集まった聴衆を励ますように語りかけた。

2018年10月2日ロンドンで開かれたBeautyTech Meetup。@BeautyTechSFコミュニティの1つとして、英国では初開催となったこのイベントは、テクノロジーをテコにした美容ビジネスという同じ目的を持つ起業家たちが、先輩スタートアップの経験談を聞くと同時に、リアルでつながり意見交換とネットワーキングをする場である。

サロン予約の常識を変える

好みに合う美容室やスパ、あるいは受けたいトリートメントをピンポイントで見つけやすくし、ウェブサイトやアプリから簡単に予約できるサービスを立ち上げようと思いついたきっかけとは何だったのか? シャンパリモード氏は、レストランでも美術館でも劇場でも、何でもオンライン予約ができる時代、美容サロンの大部分はいまだに台帳と鉛筆か、せいぜいグーグルカレンダーで予約管理をしている段階と話す。だから、ふとマッサージを受けたいと思ったら、いつでもどこでもその場で予約できるシステムがあれば便利であるし、ユーザー側もサロン側もみんな喜ぶと考えたのだ。

ただし、このビジネスモデルは「ドミネーション(市場の支配)なくしては成功できない」こともわかっていた。街角の個人サロンから高級スパまで他を圧する選択肢があってはじめてユーザー数も利用率もあがるからだ。

そこで、資本に乏しい中小サロンでも導入しやすく、予約管理や売り上げ計算など日常業務の効率最適化を可能にするサロン向けマネージメントソフトウェアを開発し、月々の使用料金も大幅に低く抑えて提供を開始した。

ホストでモデレーターのエミリー・スパイア氏(左)と
ロポ・シャンパリモード氏

スタッフパワーが鍵

現在では、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、そして、スイスでサービス展開するTreatwellが、もう1つ重視しているのがローカライゼーションである。各国の「地元スタッフチームとビジョンをシェアして連携するのが大事」とするシャンパリモード氏は、自社の理念や目指すことをしっかり共有しつつ、文化や社会基盤、オンライン予約の浸透度など異なる事情を抱える各国クライアントとユーザーの声を吸い上げることにもつとめている。

提携するアルチザン(職人)・チームがインスピレーションを与えてくれると語るのは、パネルディスカッションに登壇したCommodity の共同創業者でCEOのアッシュ・フーゼンラウブ(Ash Huzenlaub)氏だ。Commodityは10人の調香師たちとコラボして、ユニセックスのオリジナル・フレグランス商品シリーズを開発。スタイリッシュなデザインとあいまって人気を博し、世界30カ国と自社オンラインショップで販売されている。自身の経験から、これからの美容スタートアップに求められるのはクリエイティビティだとフーゼンラウブ氏は説く。

左からシャーマディーン・レイド氏、
マリー・セブロン氏、アッシュ・フーゼンラウブ氏

オンラインとオフラインを統合

元ファッションスタイリストでブランドコンサルタントのシャーマディーン・レイド(Sharmadean Reid)氏は、大学在学中にガールズ向けのヒップポップマガジンWAHを創刊。そのサイドビジネスとしてWAH Nailsを立ち上げ、2016年にはVRネイルデザインが体験できる直営スマートサロン WAH LONDON をオープンした。

WAH Nails Virtual Reality Designerアプリに対応したVRヘッドセットを装着して目の前に手をかざすと、さまざまな色やアート、デザインが自分の爪の上にバーチャルに描かれる仕組みで、気に入ったらWAH Nail Printerで実際に爪にプリントするか、該当のネイルカラーを自宅受け取りで注文する、あるいは、サロンに常駐するネイリストのもとにデザインを送信して施術を受けることも可能だ。

レイド氏はサロンを、オンラインでのサービスをわかりやすくみせるためだけでなく、WAH Nailのコンセプトを丸ごとユーザーに実感してもらうショーケースと位置付ける。VRアプリはネイルデザインの選択の幅を広げつつ、選ぶ手間を簡単かつ楽しくすると同時に、サロンで過ごす時間そのものをグレードアップする役割を担っている。

このように、オンラインとオフラインを継ぎ目なく融合させることで新しい消費者体験を創出することの重要性は、3人目のパネリストで、ロレアルやランコムでブランドの強化と革新に携わってきたマリー・セブロン(Marie Cesbron)氏も同意。デジタルネイティブのブランドが顧客を増やし成長し続けるには、オンラインを架け橋に生身の生活者とのタッチポイントをいかにしてつくっていくかが鍵となると示唆した。

Meetupの会場となったHUCKLETREEは
コーワーキングスペース&プライベートスタジオ

現実世界で人にタッチ

ステージ上でのディスカッションを通して浮かび上がってくるのは、逆説的かもしれないが、デジタル時代における人と人とのリアルなつながりの大切さだ。そこには、対顧客はもちろん、美容スタートアップ・コミュニティの横の結びつきも含まれる。

今回のロンドンのMeetupにはおよそ90人の参加者が集まった。ホストを務めたのは、美容テクノロジーを主要な投資テーマにしているベンチャーキャピタルのFelix Capitalで、運営実務担当者のエミリー・スパイア(Emilie Spire)氏も「こんなにたくさんの人々が集まったのはうれしい驚き」として、英国でのBeautyTechコミュニティの拡がりに手応えを感じていた。

自分のアイディアを何とか形にしようと協力者や投資家を探すシードから、すでに会社を設立して走りはじめているアーリーステージなどの、さまざまな段階の起業家が来場したなかで、共通しているのは、お互いから学びあい、助けあおうというスピリッツであり、人と連携していこうという意思が感じられたことだ。

Treatwellのシャンパリモード氏はいみじくもこう語った。ビューティシャンだけが「合法的に他の人の肌や髪にタッチできる」と。そして、このヒューマンタッチという行為は「テクノロジーには超えられない」

現実の人間に触れることを原点とした美容業界の可能性はまだまだ大きい。しかも、シャンパリモード氏が2017年のインタビューで語ったところによれば 、ヨーロッパにおけるヘア&ビューティビジネスに限っただけでも1,000億ユーロ規模の市場という。美容業界は数字の上でもビッグなのだ。テクノロジーで構造改革することで、数多くのスタートアップが活躍するスペースはたっぷりと残されている。

Text: そごうあやこ(Ayako Sogo)


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