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ARメイクアプリの中国Meituがシャオミと提携、市場での存在感を取り戻せるか

◆ English version: Can AR selfie app company Meitu regain market share?
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Meitu XiuXiu(美図秀秀)」や「MakeupPlus(美粧相機)」など、自撮り(セルフィー)やARを活用したバーチャルメイクのアプリをリリースしてきた中国のMeituが、中国のスマートフォン大手・シャオミとの戦略的パートナーシップ締結に合意したと発表した。業界内では驚きをもって伝えられたが、両者の狙いはいったいどこにあるのか。

Meitu(美図公司)が開発したバーチャルメイクアプリの月間アクティブユーザーは約3億5,000万人に上るが(2018年6月30日現在)、同社はアプリだけにとどまらず、2013年にはバーチャルメイク機能つきの自撮りに特化したスマートフォンの販売に乗り出す。この事業は全売上高の7割を占めるほどの規模だが、今回の提携は、そのハードウェア事業に関するものだ。それは、両者の思惑が一致したことで実現した。

出典:Meitu公式サイト

6期連続の赤字見通しで事業再編を加速

まずMeituには、苦しい台所事情がある。同社が9月21日に発表した中間決算によると、2018年上期の売上高は前年同期比5.9%減の20.5億万元(約330億円)で、純損益は1.27億元の赤字(約20.3億円)だった。通年でも赤字の見通しで、6期連続の赤字となる見込みだ。その元凶となっているのがハードウェア事業で、アプリのヒットに隠れてはいるが、実は同社はスマートフォン市場に参入した2013年以来、毎年赤字が続いている。

Meituが発売したスマートフォンの発表会(出典:Meitu

ハードウェア事業の2018年上期の売上高は、前年同期比23.4%減となる14.8億元(約237億円)と大きく落ち込んだ。同社のハードウェア事業は売上高全体の7割を占めるだけに、この販売減少が経営に与えるインパクトは大きい。原因はリリースした製品の少なさにあるとしているが、中国市場の不調による影響も少なくない。香港の調査会社Counterpointによると、2018年第3四半期の中国全体のスマートフォン販売台数は前年同期比13%減の1億860万だった。同社が強みとする美顔アプリは競合が増え、自撮りがきれいにできるスマートフォンとして以前ほどの優位性がなくなっているため、世界市場でしのぎを削る主要メーカーに伍するのはますます難しくなっている。

一方、シャオミ(XIAOMI/小米)の足元の業績は好調だ。2018年7~9月の売上高は前年同期比49.1%増の508億元(約8179億円)で、純利益は同17.3%増の29億元(約467億円)だった。米調査会社IDCによると、2018年第3四半期の世界のスマートフォン出荷台数は前年同期比6%減の3億5,520万台だったが、シャオミの出荷台数は同21.2%増の3,400万台となった。ところが、中国国内ではその勢いに乗ることができず、同期の中国での販売台数は15%減の1310万台にとどまった(Counterpoint調べ)。

その原因は、消費意欲の強い、若い女性からの支持率の低さにある。中国データ解析大手のJIGUANGが2018年9月に中国の主要メーカー4社を対象にユーザー調査を実施したところ、女性ユーザーの割合が最も大きかったのはOPPOで54.9%。続いてvivoの50.9%、ファーウェイ(HUAWEI)の34.2%と続き、シャオミは27.5%に過ぎなかった。OPPOとvivoはカメラの性能にとことんこだわった機種を投入し、中国の若い女性に支持されている。さらに韓流スターなどをイメージキャラクターに起用するなど、若い女性に向けたプロモーション戦略も奏功しているようだ。

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