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企業は透明性、インフルエンサーはマネタイズ。Win-Winプラットフォーム米国事例

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インフルエンサー・マーケティング元年といわれた2017年以降、このトレンドはまだまだ収まる気配がない。それにあわせて、企業やブランドとインフルエンサーをつなぐネットワークやマッチングサービスの選択が重要性を帯びてきている。今米国で企業からもインフルエンサーからも選ばれるプラットフォーム事例を見てみよう。

インフルエンサー・マーケティングは、もはや一部の大企業のためのものではなくなった。同マーケティングに費やされる額は、次の12ヶ月で前年比65%増にまで伸びるという予測もあり、各種ソーシャルメディアで活躍するインフルエンサーを通して、さまざまなレベルでの企業認知や売上増を図る試みが活発に行われている。

ソーシャルメディアが世の中に浸透するずっと以前から、企業は映画スターやセレブを起用して、商品の販売促進やブランド力の向上につとめてきたが、マーケティングの舞台が、マスメディアからオンラインに移行したことで、個人へのダイレクトアプローチや、双方向コミュニケーションが容易になった。そこで一番大切にしなくてはいけないものはなにか? 透明性である。いまの時代は企業とインフルエンサーがパートナーシップを結んでいることを、消費者に対して明確にする必要がある。

インフルエンサーが登場しはじめた初期の頃は、企業から報酬を受けていることを隠して、好意的な投稿を拡散する例も多々みられたが、マーケットが急速に成熟に向かう現在では、米国FTC(連邦取引委員会)などが企業とインフルエンサーは関係を開示しなくてはならないという通達を出し、監視の目を光らせている。

各プラットフォームも対策をこうじており、たとえばInstagramにはブランドコンテンツツールがあり、インフルエンサーがパートナーシップに基づいた投稿であることを明示するタグと、企業側が提携しているインフルエンサーによる自社のブランドコンテンツキャンペーンのパフォーマンスを確認するためのインサイトを設けている。

出典:Instagram 

このように事態は公正さに向け動いているが、今なお、企業とタイアップしたセレブが#ad や#sponsored などのタグをはずして意図的な投稿をし批判されるというニュースがあとをたたない。

そこで問題となってくるのは、どうやってブランドにふさわしく、かつパフォーマンスの高いインフルエンサーを見つけるのか? そして、彼らとの良好で健全な関係を続けるためには何が必要なのか? という重要な問いである。企業が個別にインフルエンサーと契約し、交渉するのはハードルが高い。また、インフルエンサーたちも、明確な定義に基づいた報酬が支払われることを望んでいる。

クロスチャネルの購買を誘導

その答えの1つであり、最も近道と思われるのが、世界的な展開を実現し、かつ信頼性の高いインフルエンサー・ネットワークやアフィリエイト・ネットワークの利用である。

出典:RewardStyle

なかでも、セールスを押し上げる実質的な力で注目を集めているのが、RewardStyleだ。元ファッションブロガーのアンバー・ベンツ・ボックスが創業。もともとは、自身のブログが思うように収益に結びつかないことから、効率的なマネタイズの方法を探るなかで、ファッション業界向けのアフィリエイト・ブログ集積サイトとして立ち上げた。

現在では、世界に1万1,000人以上のインフルエンサーと、4,000の小売事業者と100万にも及ぶブランド(つまり売り手)の双方が参加しマッチングする巨大ネットワークへと成長。インフルエンサーはウェブやモバイル、ソーシャルメディアで、登録されているブランドに応じたオリジナル・コンテンツを作成し、ブランドはその成果に応じてインセンティブや報酬を支払う、アフィリエイト(成功報酬型広告)の仕組みをとっている。

インフルエンサーとしてサインアップするためには審査があり、ある一定以上の数のフォロワーを持つなど、影響力が担保されたクリエイターに絞っているのも特徴だ。

出典:LIKEtoKNOW.it

そして、RewardStyleの優位性は何より、自社で運営するモバイル・コマース・アプリLIKEtoKNOW.itとの連携にある。LIKEtoKNOW.it は Instagramがリンクを追加できない仕様になっているのに目をつけたサービス。ユーザーがInstagramで気になる画像を見つけたら、アプリをインストールしたスマートフォンで、スクリーンショットを一枚撮るだけで、瞬時にLIKEtoKNOW.itから商品情報(オリジナル投稿でインフルエンサーがタグをつけた商品に限る)を確認できる。

そこで、RewardStyleのインフルエンサーは、コーディネートやアイテムの画像を投稿する際に、契約しているブランドのタグをつけ、LIKEtoKNOW.it 側のリンクと結びつけるわけだ。こうして、スクリーンショットを通じて、商品情報が見たいユーザーと、商品情報を届けたいインフルエンサーの利害が一致する。さらには、リンクから直接アイテムを購入することも可能だ。 

LIKEtoKNOW.it は、リテール、インフルエンサー、カスタマーの三者をつなぎ、モバイルのソーシャルメディア・コンテンツから購入までをシームレスにした意味で画期的である。企業にとってはクロスチャネルでのセールスを可能にし、インフルエンサーはアフィリエイトだけでなく、CPMでも評価され投稿をマネタイズできる。消費者はソーシャルメディアで見つけた欲しい商品をすぐに買うことができると、それぞれが満足のいく商取引が生まれている。

約1年半前にリリースされたLIKEtoKNOW.itはすでに130万人以上の登録者数をもち、Instagramのフォロワー数は300万人を超えている(※2018年5月時点)。2017年、米国の百貨店チェーン、ノードスロームのモバイルサイトの利用者の5人に4人はインフルエンサーによる口コミサイト経由で訪れており、そのうち79%はRewardStyle とLIKEtoKNOW.itからきているという調査もある。同様に、セフォラのサイトの訪問者の21.94%はRewardStyleからである。美容ECサイトにとっても、RewardStyleはもはや無視できない存在だ。

ちなみに、LIKEtoKNOW.it の勢いはアプリにとどまらず、インスタグラムの @liketoknow.it アカウントもメディアとして影響力を持ちフォロワー数は300万を超えている。2018年5月に、このアカウント上で化粧品業界では初めて、Ulta とペイドパートナーシップを組んだ。毎週水曜日に17名のインフルエンサーが、決められたハッシュタグ(#LTKxUltaBeauty)を含む投稿をし、Ultaの商品をPRしていくというものだ。更に、コンテンツを提供したインフルエンサーは、その投稿から得たアフィリエイト収入をコミッションとして得られる。

LIKEtoKNOW.it でマッチすると、 下記のように各投稿で使用されたアイテムが表示される。それぞれのアイテムをタップすると、ブラウザでリンクが開き、Ultaの商品ページへ誘導されるという仕組みだ。

マイクロインフルエンサーを組織

RewardStyle とは逆に、フォロワー数は5,000人から1万人と少ないが、特定の分野で強い影響力(エンゲージメント率)を持つマイクロインフルエンサーを組織したプラットフォームが、ポーランド発祥のベンチャー indaHash である。

出典:indaHash

現在、76万人を超えるインフルエンサーが登録し、70以上の国と地域でサービスを展開。P&Gやロレアルのほか、KFCや英国サッカープレミアリーグのマンチェスターユナイテッドなど、多岐にわたる分野のクライアントと提携している。

これまでは、企業が数十人、数百人規模の広告キャンペーンを打ち出したいと思っても、マイクロインフルエンサー各人と個別に交渉するには時間と手間がかかりすぎ、現実的ではなかった。indaHashはこの課題を解決するためにプロセスを完全自動化。企業は条件をアプリに公開するだけでよく、あとは、システムが案件に適していると判断したインフルエンサーとマッチングして、企業の依頼に沿ったコンテンツの投稿、拡散が行われる。

インフルエンサーとして登録するには、300人以上のフォロワーと40以上の投稿実績に加え、ある程度のレベルのエンゲージメント率が必須となる。報酬は投稿のエンゲージメント率とリーチ率にもとづいて、こちらも自動で算出されるので、公平性もありインフルエンサー側の満足度も高い。

また、indaHashは2017年11月〜12月にかけて、indaHash Coin(IDH)という独自の仮想通貨を発行して資金調達をするIOC(Initial Coin Offering / 新規仮想通貨公開)を実施し、約5万3,000ETH(イーサリアム、2018年3月6日のレートで約46億円)を集めたことでも話題になった

IDHはアプリ内で使用ができ、インフルエンサーが報酬をIDHで受け取ったり、法定通貨に交換ができたりするほか、企業、ブランドもIDHでの支払いが可能だ。法定通貨の20%増の付加価値をつけることで、indaHashではコインの普及の促進を図っている。

アマゾンのStoreFrontも質の高いプラットフォームなるか

現在は米国のみの展開だが、アマゾンのStoreFrontという仕組みはインフルエンサーがあたかも自分のショップを持つような感覚で商品をキュレーションし、アフィリエイト収益をえられる仕組みだ。インフルエンサーは、バニティURL(amazon.com/shop/〇〇〇といった短く分かりやすいURL)を設定できるほか、ヘッダー画像もカスタマイズできる。Amazonのアイテムをショップのリストに入れることで簡単にキュレーションすることができるため、煩わしかったリンクのコピペ作業が不必要になる。以下は筆者のストア例だ。

今年の6月に行われた動画クリエイター向けのカンファレンス、VidConでAmazonの担当者のデモを聞いた際は、オーディエンスのほとんどがYouTube クリエイターだったからか、YouTube の概要欄に、Storefrontのリンクを常時貼っておくベストプラクティスが紹介されていた。他にもインスタグラムのプロフィールのリンクから、同ページへ誘導する方法も考えられる。StoreFrontオーナーの信頼性などがレーティングもされるようになると、こちらも有望なインフルエンサープラットフォームになるかもしれないと思わせる事例のひとつだ。

Text: 大石結花(Yuka Oishi)
Top image: rawpixel via Unsplash

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