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ITか水際か。中国で自社ブランドを守るために知っておくべきEC大手の偽物対策

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中国消費者協会が今年2月に発表したデータによると、昨年11月から今年1月までに中国国内の人気ECサイトであるタオバオや、京東、コアラなど16サイトで抜き打ちチェックを行った結果、海外から輸入された全化粧品のうち、なんと40%が偽物だったことが判明した。正規品はそれだけ販売機会を逸していることにもなる。もちろんEC各社も全力で対応を行っている。越境ECや現地でのネット販売では、ブランド保全のためにも各社でどんな対策が行われているかをきちんと見極めておく必要がある。

Image: zhangjin_net via shutterstock

中国国内・海外企業から高まる偽商品への重圧

日本では「独身の日」の売上高がメディアに大々的に取り上げられるなど、中国ECの華々しい側面がフィーチャーされるようになった。その反面、いまだに偽物が大量に流通していることは詳しく報じられない。だが、ECサイトに大量の偽物が流通する現象は、利用者である消費者や化粧品メーカーにとって大きなリスクである。また、当のECサイトにとっても自社の利益やイメージを棄損する“地雷”になりうる。

実際、グッチのCEOであるマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)氏は今年10月に会見を行い、今後、アリババ、京東のECサイト上で、自社製品を販売しないことを宣言した。理由としては、中国のECサイト上にはまだまだ多くの偽物商品があふれており、ブランドイメージに傷がつくことを危惧したからだ。

一方で、中国政府は一帯一路構想の実現に向け、知的財産権や著作権侵害に関する対策を強化している。少し時間は遡るが、化粧品の偽物対策としては、2013年に国営放送CCTVなど5つの組織が連携し「中国化妆品真品防伪码联盟(ACA)」を発足した。ACAには、中国国内の化粧品メーカー67社が参画。ACAの対策の一例としては、独自に発行するスクラッチ型シールがある。消費者は商品購入後にスクラッチを削り、出てきた番号を連盟のホームページに照会することで、真贋判別を行える仕組みだ。

また中国では、化粧品の空き瓶回収も進められている。というのも、中身だけ入れ替えた偽化粧品が市場に流通することが多々あり、ネット上で有名ブランドの化粧品の空き瓶が10元~70元で販売されているからだ。それら空き瓶を偽化粧品業者に買われないよう、中国国内の商業施設などでは、化粧品の空き瓶を持参した顧客に対して30元(約480円)相当の商品券を交換するサービスなどが展開されている。

こうした、自国政府や海外大手メーカーからプレッシャーを受けるリアル店舗もさることながら、中国EC各社も、偽物の存在は大きな悩みの種であり、対応に追われている。

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