MEMEBOX、世界で最も革新的な美容企業9位にランクされるその実力とは

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UNPA」や、「Hwahae」と並び、韓国有数のビューティ・スタートアップとして評価されているサービスのひとつに「MEMEBOX」がある。米VCやメディア、海外大手メーカーから注目を集め、米ビジネス誌のFastCompanyの「2019年最も革新的な企業」ランキングの美容部門で韓国企業として唯一トップ10入りを果たした。企業としての生い立ちから米国進出の経緯、そして、昨今の動きを追う。

MEMEBOXは、約47万点のビューティ商品(健康食品などを含む)を扱うEC・レビューサイトとして広く認知されているが、その実態としては購買データをもとにパーソナライズされた情報・商品(顧客側)や、企業に向けたコンサルティングサービスを提供する「データドリブン・ビューティ企業」を標榜している。ここ数年では、サイト上での購買行動などのデータにもとづいてPB商品やコラボ商品を開発・販売。化粧品メーカーとしてのビジネスも好調だ。

出典: MEMEBOX公式サイト

データと顧客を中心に据えたビジネスモデル

公式サイトによれば、「MEMEBOXのシンボル(訳注:ロゴ)は、ユーザー自身(ME)と生活(LIFE)、テクノロジー(Connect)を表し、ビューティ産業にDataとTechnologyを融合して革新的なサービスを提供。差別化された顧客体験を創造している企業がMEMEBOXである 」と自社を位置付けており、データドリブンな企業としての自負がうかがわれる。

出典: セフォラHP

MEMEBOX は2018年8月に、LVMH傘下のセフォラとパートナーシップを締結。続く9月には、同社と共同開発したKビューティーブランド「Kaja」から、合計47種類の製品をリリースしている。後述するが、海外大手メーカーと提携することで、かねてから目指していた、米国などグローバル市場進出に拍車をかける狙いだ。すでに、400を超える米セフォラの店舗にて関連製品が販売されている。MEMEBOX代表を務めるハ・ヒョンソク氏は、韓国大手メディア・中央日報の取材で、セフォラとの提携の背景について次のように話している。

「創業から2年が過ぎた2014年初め、シリコンバレーの世界的なスタートアップ育成、および投資会社であるYコンビネータから130億ウォンの投資を受けた。韓国スタートアップとしては初めてのことだった。それから4年間で1,700億ウォンの投資を受け、海外進出に拍車をかけた。サンフランシスコにオフィスを出したところ、近くにセフォラの米国本社があった。積極的にプレゼンテーションを行った結果、セフォラの上級副社長から、製造まで自社でやってみてはとアドバイスをもらい、本格的にコラボレーションにのりだすことになった。開発を一からともにした。(セフォラが)Kビューティの可能性を信じてくれたからこそ可能だった。2週間に1回8時間のミーティングを持ったが、主な議題はKビューティのローカライズについてで、怒涛のようにアイディアを出しあった末、5ヶ月後に47の製品を生み出し販売することになった」(中央日報より引用

ハ氏によれば、既存のKビューティは韓国人向けに作られたもので、多様な人種を抱える米国市場に対しては不足な点が多かったという。そこで、米国市場に最適化されたKビューティ製品をつくることに集中したのだ。

2019年1月には、米ヘルスケア製品メーカー、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)系列のVC「JJDC」から3,500万ドルのシリーズD投資を誘致することにも成功している。JJDCは、MEMEBOXのデータ&顧客中心のビジネスモデルに着目。ビューティ業界を革新する可能性があると判断し投資に踏み切った。今後、J&Jが持つグローバル事業に関する知見やノウハウ、研究開発技術に、MEMEBOXの顧客インサイトなどを組み合わせて、多方面で戦略的シナジー効果を追求していく予定だ。なお、MEMEBOXの2018年の年間売上額は345億ウォン(約35億円)と報じられている

80万円の資金からスタート

MEMEBOXは2012年2月に、前出のハ氏とキム・ドイン氏が共同で設立した企業だ。ハ氏は大学時代に環境工学を専攻。徴兵でアフガニスタン勤務を志願するなどし、米軍人と交流を深めながら英語を習得した。その後、渡米してニューヨークのパーソンズ・スクール・オブ・ デザインでファッションを学び、韓国国内企業に勤務したのちに創業に至る。一時は、カンナム駅で焼き芋売りをやって食いつないでいたという苦労話もある。一方のキム氏は、物理学を専攻した人物。ビューティからは遠いところにいるようにみえる異色の起業家がタッグを組んだMEMEBOX、設立当時の資本金はわずか800万ウォン(約80万円)だったという。

Shine Easy Glam

MEMEBOXは当初、サブスクリプションサービスを提供する企業としてスタートした。毎月の定期購入を申し込んだ顧客に対し、キュレーションした最新コスメをオリジナルの箱に梱包して送るサービスである。韓国の顧客は、新製品を手軽かつおしゃれに体験できることに好感を示した。MEMEBOXは、サブスクリプションサービスのローンチの6ヶ月後には、EC事業に進出。その主な理由は、顧客の再購買需要に応えるためだ。EC事業は着実にMEMEBOXの認知度を伸ばし、現在、プラットフォーム上には国内外4,000ブランドを超える製品が販売されている。

前述したように、MEMEBOXは2014年には米国に海外支社を設立。海外投資家およびVCなどからの評価も高く、これまで累計で約2,148ウォン(約214億円)の投資を引き出している。

I’m MEMEのPV動画

海外進出と時を同じくして、2014年には初のPB「Shine Easy Glam」をローンチ。2015年には、「I’m MEME」「NOONI」「PONY EFFECT」など多くの自社ブランドを世に送り出し、ユーザーから大きな反響を得た。なかでも、I’m MEMEはECプラットフォーム上にある7万点以上の商品、120万件以上のレビューなどのデータを分析してつくられたブランドということで注目を集めた。興味深いのは、広告モデルの起用にもデータを活用している点だ。データ分析から、ユーザーからの好感度が高いモデルやアーティストを割り出して、デジタルマーケティングに多数起用している。

10名でスタートしたスタッフ数も、現在は400名に増えた。今年に入ってからは、米ビジネス誌「Fast Company」が選定する「世界で最も革新的なビューティ企業トップ10」のひとつにランクインしている。投資や評価を着々と積み上げているMEMEBOXは、韓国、米国でのビジネス拡大を皮切りに、今後、中国、台湾、香港、シンガポールなどアジアへの進出する計画も明かしている。

MEMEBOXに対して韓国国内ユーザーが好評価する理由としては、オフラインよりも安く商品を購入できるECの価格訴求力が挙げられている。一方、韓国メディアからは、データを活かしてPB商品を市場投入するなどのテクノロジーを積極的に利用している点、またKビューティを米国市場に売り込むローカライズ力、分析力などに注目が集まっている。とはいえ、MEMEBOXのデータドリブンなビジネスモデルに適正な判断を下しているのは、米国の投資家たちかもしれない。合計で33の投資母体がいるが、その多くがサンフランシスに拠点を構えるVCである。

セフォラやJ&Jとの提携というビックニュースで世間を驚かせたMEMEBOXだが、米国とはまったく異なるアジア市場でいかに展開し浸透を図っていくのか、アジア型のローカライズの手法など、MEMEBOXの動きに今後も注目が集まる。

Text: 河 鐘基(Jonggi HA)


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