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Target、阪急うめだ本店など小売店とサブスクリプションの連携事例

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毎月使い続けたい。そんな「濃いファン」を抱えるサブスクリプションサービス(通称サブスク)ならではの「人を惹きつける商品・ブランド力」を集客に活かせないかと、サブスクとの連携を模索する大手小売店。双方にメリットがある連携事例を紹介する。

1〜2ヶ月に1回、ユーザーの手元に商品が届く化粧品や日用品のサブスクリプションサービスは、一度会員になってもらえれば解約されない限り買い続けてもらえるビジネスモデルでもあり、特に米国ではここ数年でいくつものサービスが立ち上がってきた。ファンを開拓し解約されないための工夫は商品力やサービス力の強化につながり、結果として熱量の高いファンを生む。そんな「濃いファン」を抱えるサブスクリプションサービスとの連携を、小売側は模索している。

HARRY’Sのブランド力でミレニアル世代にアピールするTarget

男性向けサブスクリプションサービスの中で人気を集めるのが、ひげそり用のアイテムを定期販売する「HARRY’S」だ。先行ブランドとして2016年にユニリーバに10億ドルで買収された「Dollar Shave Club」もよく知られた存在だが、長年Gilletteを中心とした大手企業が圧倒的なシェアを誇っていた市場に参入し、従来よりもはるかに安い価格で替刃を定期販売するという新規性や、デザイン性の高さなどが幅広い男性ユーザーから支持され、24億ドルとも言われる同市場のディスラプターとなった

販売モデルは、初回時に本体のカミソリを選ぶと、以後選んだ配送頻度とプランに応じて替刃やクリームなどが定期配送される。デザインに定評があるHARRY’Sは、よりこだわりのあるオリジナル製品へと進化させるために2013年にドイツの老舗工場を1億ドルで買収。またかつては、ニューヨークにひげ剃りと散髪ができるオンライン予約制の床屋を構えていたこともある。こうした様々な施策と常に進化を遂げようとする姿勢は、HARRY’Sから離れがたい濃いファンを生み出してきた。

HARRY’SのECサイト

HARRY’Sは、2017年12月にシリーズDで1億1,260万ドル(約124億円)の資金調達を実施するなど、シェービング市場でますます存在感を示している。そんな同社の躍進に目をつけたのが、大手小売店である。ディスカウントショップのTargetと、世界最大のスーパーマーケットチェーン、ウォルマートはHARRY’Sの製品がミレニアル世代に対して強い吸引力を持つことに注目し、店頭で商品を扱うようになった。先に提携したTargetは店内でも通行量の多い場所にHARRY’Sと大きく書かれた専用コーナーを設ける力の入れようだ。

Targetのヘラルドスクエア店に設けられたHARRY’S専用コーナー
(2017年11月、著者撮影)

ウォルマートとの提携も2018年からスタート。5月には、全米2,200店舗で取り扱われると発表された

ウォルマートとの提携についてHARRY’Sの創業者であるアンディ カッツーメイフィールド(Andy Katz-Mayfield)氏は「アメリカ人の90%がWalmartの10マイル圏内に住んでいることから、HARRY’Sの知名度を増すのに力を貸してくれるだろう」と米ビジネスメディアのFastCompanyの取材に答えている

小売とのデータ連携も行うベビー用品のThe Honest Company

ホールフーズは、理念を同じくするサブスクリプション、The Honest Companyのアイテムを積極的に店頭で取り扱っている。同社は安心・安全のベビーや母親向けのアイテムを扱い、設立から数年でユニコーン企業となった有力スタートアップだ。人気女優のジェシカ・アルバ氏が、自身が母親になったときに「安全で効果的な製品が欲しかった」ことから創業したことでも知られる。

オムツは従来の市販品にはなかったデザイン性の高さと、エコフレンドリー(持続可能な森林で伐採された植物由来の素材を使用)、塩素や漂白処理なしで製造といった安心・安全を売りに、ミレニアル世代を中心に多くの母親から支持されている。

The Honest Company のオムツデザイン例
出典:The Honest Companyの公式サイトより

両社の提携で興味深いのは、The Honest Companyが自社サイトで収集した行動データを小売店に提供していることだ。消費者は安心できるアイテム探しをThe Honest Companyのサイトで行うことが多いため、小売店にとっても非常に有効なデータが集まっている。

阪急うめだ本店はイベントでBLOOMBOXと連携

日本では阪急うめだ本店が、2019年2月27日〜3月5日に行う化粧品イベント「BEAUTY EXPO! 2019」に先駆け、化粧品サブスクリプションのBLOOMBOX by @cosmeのスペシャルボックスと連携し当日のイベントの参加ブランドの化粧品をセットにした限定ボックス「LUXURY BOX」を1/17よりBLOOMBOXサイトと阪急百貨店の化粧品ECサイト、HANKYU BEAUTY ONLINEの双方で販売すると発表した。

この目的を、阪急うめだ本店のビューティ営業統括部 化粧品商品部マーチャンダイザーの吉藤亮介氏は「百貨店の店頭だけでなく、BLOOMBOXのファンの方々にブランドを超えて我々がおすすめする化粧品にトライしていただけることが魅力のひとつ。また、このボックスに入っている化粧品で『予習』してイベントに参加していただくことで体験が立体的になる」と話す。

あわせて、リアルとオンライン双方で、阪急百貨店の化粧品売場としてのブランドHANKYU BEAUTYの楽しさを訴求していく考えだという。今回の取り組みは限定企画だが、このコラボを通じて顧客ニーズやマーケットを研究して次回企画につなげたいとも語る。

「サブスクリプションは顧客継続に有効な手段。今後は、リアル店舗ではカスタマイズできる商品やトリートメントといった付加価値の高いサービス強化や、オンラインではデイリー使いの化粧品のトライアルやリピート購入促進などにサブスクリプションサービスを検討してきたい」(吉藤氏)。

サブスクリプションの知名度を生かし、売り場に変化をつけていく取り組みは食品でも行われている。Food&Time ISETANなど多数の小売店が、食品サブスクリプション大手、オイシックス・ラ・大地のOisixブランドを取り扱っている。その多くは、そもそも有機野菜のコーナーがありながらも、併存するかたちでOisixコーナーを設けている。熱心なファンがいるブランドを店頭展開することで、売り場のバラエティを豊かにし、既存商品をも手にとってもらえる効果を狙っている。

このように、小売とサブスクの連携は、サブスクリプションブランドに愛着を持つファンのみならず、買うなら実際に商品を手にとってから試してみたかった潜在顧客層を集客できるほか、そのほかの商品の購入をうながすきっかけづくりにもなる。一方、サブスク側にとっては大手小売企業と組むことにより自社で実店舗を構えることなくECではリーチできなかった新規顧客へのアプローチが可能と双方に大きなメリットがある。

The Honest Companyのようにデータ連携まで踏み込むことができれば、そのWin-Winモデルはより一層強固になりそうだ。

Text: 公文紫都(Shidu Kumon)、編集部
Top image: Terry Granger via shutterstock


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