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アモーレパシフィックの次世代電子皮膚は皮膚モニタリングにおけるイノベーション

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韓国化粧品メーカー最大手アモーレパシフィックは、時間や場所にとらわれずに皮膚状態を測定・分析できる、チップレス半導体を用いたワイヤレス電子皮膚(以下、電子皮膚)を世界に先駆けて開発した。電子皮膚開発の背景とその特徴、今後の展開や可能性について、アモーレパシフィックR&Iセンター臨床研究室の韓志娟(ハン・ジヨン、Han Ji-yeon)主任研究員に詳細を聞いた。

研究員の経験から誕生した「貼り付け可能」で「ワイヤレス」な電子皮膚

アモーレパシフィックの電子皮膚は、皮膚臨床研究の促進と新たな製品開発の可能性を広げるために生み出されたものだ。同社では、研究を通じて、適切な製品や真のオーダーメイドスキンソリューションの提供を進めていくとしている。

従来の皮膚臨床研究の現場では、正確な皮膚診断を行うために、すべての被験者に対して温度・湿度を一定に保った環境を用意し、かつ高価な診断機器を用いてデータを取得する必要があった。またそれら専門的な機器を現場まで移動させなければならないという物理的な制約もあり、研究そのものが比較的小規模にならざるを得ない状況に置かれていた。こうした現場の事情と、アモーレパシフィック研究員の好奇心が電子皮膚開発の出発点になった。

同研究開発をリードするアモーレパシフィックR&Iセンター臨床研究室の韓志娟主任研究員は、米国への出張で長時間フライトを経験した際、低湿度な飛行機のなかで変化する自身の肌について思いをめぐらせた。そして「場所に縛られず、さまざまな肌特性の変化を測定できないだろうか」と課題感を持ち、研究を開始したという。

韓氏の問題提起を受け、アモーレパシフィックは「皮膚に貼り付け可能」かつ「ワイヤレス」という2つの条件を満たす技術を開発するため、多くの半導体専門家と議論を行ったという。そして最終的に、半導体学界で最も理想的な技術と評される「半導体基板無制限使用技術」など、「単結晶化合物半導体超薄膜成長・転写」に関する技術を多数保有するMIT(マサチューセッツ工科大学)の金志煥(キム・ジファン、Kim, Ji-hwan)教授の研究チームと、共同研究を実施するにいたった。韓氏は開発過程について振り返る。

アモーレパシフィックR&Iセンター臨床研究室 韓志娟主任研究員

「開発するうえでまず課題となったのは、世界的に測定事例がない『肌のハリ』という特徴を定義し、数値として測定可能なシステムを開発することだった。また半導体研究者、皮膚研究者はそれぞれ学問的に異なる視点で話すため、理解度を合せる難しさがあった。私たちは半導体を、半導体研究者は人体の特性を理解する必要があり、互いのギャップを埋めるために緊密なコミュニケーションを交わした」(韓氏)

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