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中国ライブ動画配信サービス覇者「YY」の全容と美容プロモーションの可能性

◆ English version: Will beauty brands use China’s top live-streaming service YY?
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中国の動画プラットフォームを考えるうえで、ライブ配信サービスの活況は見逃せない。動画プラットフォーマーのなかにはライブ配信機能を組み込んでいるところもあるが、利用者が多いのは専業のサービスだ。中国最大手のライブ配信サービスである「YY Inc.(歓聚時代)」と、その傘下で、日本でも展開している同じくライブ配信サービスの「BIGO LIVE(ビゴライフ)」についてみていこう。

まずは、中国のライブ動画配信の市場だが、中国調査会社BigData-Researchが発表した「2019年第1四半期中国モバイルライブ動画配信市場研究報告(2019年第1季度中国移動直播市場研究報告)」によると、同期におけるモバイルを利用したライブ動画配信のユーザー数は、前年同期比10%増の3.3億にのぼった。

中国のライブ動画配信は、ゲーム実況とそれ以外の娯楽の大きく2つに分けられ、ゲーム実況における2019年3月の月間アクティブユーザー数(MAU)は、3,375.1万の「DOYU(斗魚)」が第1位だった。一方、娯楽全般では2,855.6万の「YY」が第1位となっている。中国ではゲーム実況のユーザー数が多いという特徴があり、同月の配信数をみると、ゲーム実況が1,825.6万件だったのに対し、娯楽全般は1,751.4万件だった。それゆえに、同じ1位でもDOYUの方がMAUは多くなっている。しかし、売上規模は逆だ。

ジャック・マーに感化され起業

YYを運営するYY Inc.が8月14日に発表した2019年第2四半期の決算報告によると、売上高は前年同期比66.8%増の約63億元(約944.3億円)。他方、DOYUを運営するDouYu International Holdingsが8月13日に発表した同期の決算報告によると、前年同期比133.2%増の約18.7億元(約281.9億円)だった。DOYUが驚異的な伸びを示しているものの、YY が売上規模においては中国のライブ動画配信最大手といっていいだろう。

YY Inc.の前身である「広州華多網絡科技」は2005年に設立されている。現地メディアのインタビューによると、創業者の李学凌CEOは人民大学哲学科を卒業後、雑誌『中国青年報』で記者をしていたという。アリババグループの創業者、ジャック・マー氏やシャオミ創業者でCEOの雷軍氏など中国を代表する経営者を取材した経験が、李氏を起業へと駆り立てた。ポータルサイト「網易」への在籍を経て、31歳の時に広州華多網絡科技を設立すると、ゲーム情報サイト「多玩遊戯綱」をローンチし、エンジェル投資家でもある雷氏から100万ドルを調達した。

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YY Inc.のウェブサイト

YYのブランド名が誕生するのは2008年になってからだ。ゲーマー向けの音声通信ソフト「YY語音」をリリースし、その後、徐々に一般ユーザーが増加。2010年にライブ動画配信サイト「YY.COM」を立ち上げ、現在に至る基礎ができあがった。同年12月には、持株会社「広州歓聚時代信息科技」を設立。その後、「YY教育」「YY娯楽」「YY音楽」などのサービスを次々とリリースした。さらに傘下には、ゲーム実況を主体としたライブ動画配信サービス「HUYA(虎牙直播)」がある。YY Inc.は2012年に米ナスダックに上場。現在の時価総額は46億ドル(約4,900億円)を超える(9月1日時点)。

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