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OEMメーカーからNetflix型の家具モデルへ。KAMARQという新しい文化

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米国ではGlossierをはじめとしたD2Cのコスメブランドが、いわゆるディスラプターとして次々登場している。日本でD2Cのディスラプターの代表格になろうとしているのが、家具サブスクリプション事業を展開しているKAMARQだ。今後何らかのかたちで美容業界とも連携していけるスタートアップのひとつとして注目したい。

今回紹介するKAMARQ(カマルク)は、テーブルとスピーカーを組み合わせた「SOUND TABLE」、気温や照度などを測れる「Memory Door」などのIoT家具を製作しているスタートアップだ。そのKAMARQは2018年3月から「選好型」の家具のサブスクリプション事業を開始している(記事執筆時点ではβ版としてリリースしている)。

先日の記事で、サブスクリプションには「選好型」と「提案型」の型があることを紹介した。今回紹介するKAMARQ(カマルク)は、テーブルとスピーカーを組み合わせた「SOUND TABLE」、気温や照度などを測れる「Memory Door」などのIoT家具を製作しているスタートアップだ。そのKAMARQは2018年3月から「選好型」の家具のサブスクリプション事業を開始している(記事執筆時点ではβ版としてリリースしている)。

本記事ではKAMARQ 取締役co-founderの町野健氏にインタビューを実施。KAMARQのサブスクリプション事業や美容業界とのコラボレーションの可能性について聞いた。

月額500円からの家具サブスクリプションサービス

KAMARQはもともと、インドネシアで家具のOEM工場を経営していたCEOの和田氏が2014年に創業(KAMARQはインドネシア語で「私の部屋」という意味)。家具は輸入商社など中間流通が多く、その分コストが上がってしまうという課題があった。家具業界の慣習にとらわれたくなかった和田氏は、中間流通を省いて直接消費者と取引することを決意。いわゆるD2C(Direct to Consumer)モデルで家具販売を開始した。

家具は「IKEAやニトリよりデザイン性の高いものを探すと、急に値段が高くなる」(町野氏)。だからこそデザイン性が高く、かつ金額をおさえたアイテムにはまだまだニーズがある。和田氏がもともと家具工場を運営していたので、D2Cモデルを採用して中間流通を抑えることができれば、コストは十分下げられるという算段だ。

海外ではアメリカを中心に、サブスクリプション形式を採用したビジネスは盛り上がっており、多種多様なビジネスがサブスクリプションモデルに乗り出している。この様子をみてKAMARQは家具のサブスクリプションというアイディアに行き着いたという。

2018年5月には、D2Cブランドのショールームが立ち並ぶNew YorkのSOHO地区にポップストアをオープン。あわせてNew Yorkでも家具のサブスクリプション事業をスタート。当面日本と同じ商品を扱う予定だ。ポップアップストアのオープンは1週間と限られた期間だったが、現地のファッション関係者を中心に話題となり、のべ200~300人が来場。The New York Timesにも「Netflixモデルの家具レンタルが登場」と取り上げられた。

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New Yorkのポップアップストアの様子(image: KAMARQ

KAMARQの家具サブスクリプションは、月額500円からアイテムをレンタルできる。レンタル期間は現在、6、12、24ヶ月から選ぶことが可能だ(期間が長いほど月額のレンタル金額は安くなる)。半年ごとに気分に合わせて家具をかえてもいいし、同じ家具を長期間借りてもいい。ユーザーは20〜30代が中心で、ファッションやインテリア好きをターゲットにしている。年内にはカタログを準備したり、既存のインテリアショップに商品を置いてもらうプランも練っていたりするとのこと。

今はまだ借りられる家具の種類は少ないが、「来年を目処に1000SKUを目指している」(町野氏)という。また、日本限定アイテムの展開も視野に入れている。KAMARQでは現在、家具を(貸し出すのではなく)販売することは想定していない。これはサブスクリプションというモデルだからこそ、ユーザーと継続的に関係を築くことができるからだ。そもそも家具だけでなく、サブスクリプションはあらゆる分野で注目されているものの、まだ広く一般に浸透しているとまでは言えない。サブスクリプションに限定することで「家具を借りる」文化を醸成する狙いもある。

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海外の著名デザイナーとコラボするなど、世界観を大切にする

ユーザーとの継続的な関係を構築したいという点では、KAMARQが不動産ポータルのHOME’Sを運営しているLIFULLから出資を受けていることも見逃せない。不動産仲介には顧客との関係が、仲介した時点で途切れてしまうという課題がある。そこでサブスクリプションサービスを提案できれば、ユーザーと継続的な関係を構築することができる。家具だけでなく生活に必要なサービスをクロスセルすることも可能だろう。

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今後はシンプルなデザインの家具も提供していく予定だ

家具サブスクリプションと美容業界との連携可能性

KAMARQの家具サブスクリプションと、美容業界との連携可能性はあるだろうか。

「美容室やネイルサロンなど、美容業界では店舗を出す機会も多いが、家具が占める初期費用の割合は相当なものだ。そこでサブスクリプションで家具を用意できれば、かなりの部分でコスト低減できるだろう。季節や状況に応じて家具を替えることもできる。また、IoT事業も展開しているので、美容関連の家具をつくるなどでも協力できる可能性もある」(町野氏)。

大資本ならいざ知れず、個人や中小企業が美容室やサロンを出店するのは金銭的な負担が大きい。また店舗の運営が安定しないまま、高額な家具を買うようなことは当然躊躇する。そんなときにもサブスクリプションは相性が良さそうだ。

またKAMARQは冒頭で紹介したように、IoTの家具も製作している。もともとSIerだったKAMARQ EXPLORATIONという子会社もあり、自社グループだからこそ自由度を高くしてもスピーディな生産が可能だ。

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KAMARQ 取締役co-founderの町野氏

美容系のIoTというと、たとえばスマートミラーが話題にのぼることも多い。現時点でKAMARQが独自で美容家具IoTを作る予定はないが、協業は可能だという。

「今は美容業界に詳しい社員がいないこともあり、すぐに美容系の家具を作る計画はないが、IoTを作る技術的な基盤はあるので、むしろ当社としては『こういうものを作れないか』と聞いてもらったほうが具体的に進めやすい。業界に詳しい企業と協力して美容家具IoTを作ることは、ぜひやっていきたい」(町野氏)。

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NYのポップアップショップを紹介する町野氏

テクノロジーの導入やパーソナライズも

最後にKAMARQの今後の展望について聞いた。

「まずは早い時期に、ユーザーを1万人にしたい。数年かかるかもしれないが、無理な目標ではないと思う。またARを使い、自分の部屋に家具を擬似的に配置できる技術も登場していることから、こういったテクノロジーを取り入れたり、それぞれの部屋に応じて家具をパーソナライズしていったりということにも取り組んでいくつもりだ。その結果、『ネットで家具と言ったらKAMARQ』というポジションを築いていきたい」。

Text: 納富 隼平(Jumpei Notomi )、Top image: KAMARQ


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