海外BeautyTechトレンドを俯瞰、知っておきたい注目トピックス【2021年8-9月】
見出し画像

海外BeautyTechトレンドを俯瞰、知っておきたい注目トピックス【2021年8-9月】

◆ 9/1よりリニューアルしました。詳細はこちら
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

毎月1回、ビューティ業界にインパクトを与える海外ニュースを特選してピックアップ。注目すべきポイントと報道の裏側にある背景を解説し、グローバルな視点からビジネスの潮流を紐解くヒントとなるニュースまとめ。

英THG、クリーンビューティ・リテイラー「Cult Beauty」を買収

画像1

出典:GLOBAL COSMETICS NEWS

★注目ポイント:大手化粧品小売のクリーンビューティ囲い込み

欧米の大手美容小売店が、商品拡充と信頼性担保のために「クリーンビューティ」専門リテーラーの囲い込み競争に走る。

2021年8月5日、美容・健康・ライフスタイルに特化したプロダクトを世界169カ国でEコマース展開する英THG(The Hut Group)が、クリーンビューティやプレミアム化粧品のECプラットフォームとして知られるCult Beautyを2億7,500万ポンド(約417億円)で買収したことが明らかになった

英国がベースのCult Beautyは、厳選した質の高いクリーンビューティブランドをキュレーションしてラインナップするオンラインリテーラーで、同社が現在取り扱う商品の3分の2が、THG傘下のECサイトでは未発売となっており、この買収は、美容小売店やブランドのM&Aで業績を伸ばしているTHGのビューティ部門の強化に大きく貢献するとみられている。

報道によれば、THGの創業者でエグゼクティブチェアマンのマシュー・モールディング(Matthew Moulding)氏も、「頭角を表すインディビューティブランドをいちはやくパートナーに迎え、イノベーティブな製品を求める熱狂的なファンコミュニティに向け、パーソナライズしたレコメンドを届けるCult Beautyは、誰よりも早く商品を市場に紹介するECサイトとして評判が高い」として、Cult Beautyがもたらすブースト効果に期待を寄せている。

この買収のニュースからみえてくるのは、依然として消費者志向の大きな潮流であるクリーンビューティをテコに、商品群の多様性を図りEコマース市場での差別化と優位性を獲得しようとする大手ビューティ小売の思惑だ。

THGは積極的な買収により美容とヘルスケア領域でのコングロマリット化を推進している。2010年には英国最大のオンラインヘルス&ビューティ小売であるLookfantasticを傘下に収め、2020年には米国のプレステージスキンケア&ビューティEC企業のDermstoreを買収した。

一方、LVMHグループのセフォラは2021年7月に英国のオンライン化粧品リテーラーFeelunique買収を発表し、英国市場に本腰を入れる意欲をみせている。また米ウルタビューティは、クリーンビューティECサイトのパイオニアと呼ばれるCredo Beautyとの提携を2020年に発表。Credo Beautyが取り扱うブランドの一部について、100を超えるウルタの店舗と自社ECサイトでの販売を開始している。

中国セフォラ、JD Daojiaと提携し1時間以内の即時配送をスタート

画像2

出典:Cosmetics Business

★注目ポイント:化粧品即時配送がグローバルで広がる

オンデマンドデリバリーを求める中国の消費者の強い欲求を受け、セフォラなど多大な店舗数を持つ強みを活かした大手化粧品小売店が続々と即時配送サービスを開始。欧米、日本でもスタート。

2021年8月、セフォラは中国の最大手デリバリープラットフォーム企業の1つであるJD Daojiaと提携し、一線都市と二線都市にある70以上のショップから商品を1時間以内で配達するサービスを開始した

Dada Group傘下のJD Daojiaのアプリやミニプログラムを通じて注文された商品を、Dada Nowの配達員が店舗でピックアップして配達する仕組みだ。セフォラでは2021年末までにサービスの対象地域を大幅に拡大していくとしている。

米ナスダックに上場しているDada Groupは、2021年3月にはJD.comから8億ドル(約879億円)の投資を受けている。JD.comとしてはインハウスのデリバリーネットワークを構築することで、アリババに対抗したい考えだ。

中国ではパンデミックによる厳格なロックダウンに伴い、日用品や食料品を即時に配達してくれるオンデマンドデリバリーサービスが、生活に必要不可欠なものとして急速に伸びた。感染拡大が沈静化した現在でも、注文した商品がすぐに手元に届けられるのが習慣化した中国の消費者は、化粧品カテゴリーでも即時配送を求めはじめている。中国企業Quest Mobileの調査では、90%を超える中国の消費者が質の高い自宅配送サービスを受けられるなら追加料金を支払ってもいいと回答したという。

こうした背景を受け、ワトソンズをはじめ、全土に178の実店舗を展開するTHE COLORISTや、同じく60店舗を持つWOW COLOURなど中国の地場の化粧品小売チェーンも1時間以内で商品を配達するサービスをすでに導入している。化粧品ブランドとしてはアモーレパシフィック傘下のイニスフリーも同様のデリバリーサービスをスタートしており、競争はますます過熱しそうな勢いだ。

化粧品小売やビューティブランドが配送サービスのスピードアップを図るのは、中国に限らず世界的なトレンドで、たとえば英国では、エスティ ローダーがウーバーイーツのライバルであるDeliverooと提携し、ジョー マローン ロンドンやオリジンズのデリバリーをはじめている。ブーツもDeliverooと協働し、ロンドンやバーミンガム、エジンバラなどの都市にある店舗でデリバリーの実証実験を開始した。日本でもLUSHがフィンランド発のデリバリーサービスのウォルトと提携し、主要都市の9店舗で30分以内の配達をスタートしている。

北米で初、メキシコが動物実験を禁止する法案を可決

画像3

出典:Global Cosmetics News

★注目ポイント:北米で初の動物実験禁止、さらに広がるか

より倫理的な化粧品を求める消費者の声に応え、ロレアルなどグローバルビューティ企業が後押しして化粧品における動物実験の禁止を世界レベルに拡大する動きが加速。

2021年9月、北米の国では初めてメキシコが動物を使う化粧品テストを禁止する法案を上院の全会一致で可決した。この法案により、同国では動物実験を伴う化粧品の製造、輸入、販売が禁止となる。

同法案の可決に向けては、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナルなどが主導する数年にわたるキャンペーンが行われ、なかでもテスター(実験材料)とされるウサギのラルフを主人公にした、約3分のストップモーションアニメーション映画『Save Ralph』が多大な影響を与えたとされる。

また、ロレアルやP&Gをはじめとするグローバルビューティ企業もAFSA(Animal-Free Safety Assessment)を通じてサポートをしている。

動物実験の禁止は現在、EU加盟国を含む世界41カ国で導入されており、企業とその製品の倫理性を厳しくチェックする消費者の増加を背景に、禁止を促す動きはさらに進むとみられる。

しかし一方で、2021年8月には、欧州化学機関(ECHA)がヨーロッパにおいて動物実験が再び認められる可能性があると発表したのを受け、ブラジルのNatura & Co傘下のTHE BODYSHOPとユニリーバ傘下のダヴが協働し、フランスのパリ中心部にアーティストで活動家のニーナ・バルコフ(Nina Valkhoff)氏の壁画アートを掲げたほか、ベルリン、マドリッド、ミラノのランドマークをイルミネーションして、ヨーロッパの消費者に動物実験に反対するようアクションを呼びかけた

ロレアルUSA、ジェンダー平等を焦点にEDGEplus認定を取得

画像4

出典:Global Cosmetics News

★注目ポイント:初のEDGEplus認証はロレアルUSAが取得

SDGs 17の目標達成に向けて具体的に取り組む姿勢を明確に打ち出すことは、グローバルビューティ企業にとって経営戦略における不可欠なアクションとなっている。

2021年9月3日、ロレアルUSAはEDGE(Economic Dividends for Gender Equality)の新しい認証であるEDGEplus認証を取得した世界初の企業となった

この認証は、組織が「性別と人種/民族、性同一性、性的指向、年齢、障害、国籍を超えた共通性」を持ち、公平なキャリアの機会を確保することを推進させるものだ。

これに伴い、ロレアルUSAはD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)ポリシーと慣行の見直しをしたほか、EDGE手法にもとづくグローバルな給与支払い測定ツールを開発し、従業員全体の公平な支払いを一貫して測定および監視できる体制を整えた。

EDGEplus認証を取得したのは、「多様性の複数の側面を含めたジェンダー平等とジェンダーバランスへの道のりの進展を、すべてのレベルで加速するため」とロレアルは表明。ロレアルUSAの社長兼CEOのステファン・リンダークネッチ(Stephane Rinderknech)氏は、「ジェンダー平等や同一賃金をはじめとする重要なトピックスにおいて、EDGEのようなパートナーが我々の辿った道を検証し、次のステップへのサポートをすることは心強い」として、ロレアルの多様性と包摂性に向けた使命には集合的な努力が必要だと話した。

またLVMHはユネスコと協力して生物多様性を保護する取り組みを行うと発表し、2021年9月開催のIUCN世界自然保護会議において、ユネスコ、LVMH、傘下のメゾンが一堂に会して生物多様性を保護するための信念と具体的な行動について説明するパビリオンを主催した。

同時に、#MeTooや#BLM運動にみられるように、社会的な不平等や政治課題に対して声をあげる人々への賛同や支援をビューティ企業やブランドが表明することも増えている。直近では、米テキサス州の中絶禁止法に対して、多くのビューティ企業やブランドが抗議をしており、グウィネス・パルトロウ氏のGoopやBenefit CosmeticsなどがInstagramで同法への批判や女性の連帯を訴えるメッセージを発信している。

Text: そごうあやこ (Ayako Sogo)
Top image: Tim Gouw via Unsplash


ありがとうございます!メルマガで隔週で更新情報配信中。ぜひご登録を!
美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディア。最新記事から過去1ヶ月分は無料でお読みいただけます。それ以降の記事は「バックナンバー読み放題プラン」をご利用ください。詳しくはこちらから→ https://goo.gl/7cDpmf