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「化粧品業界のテスラ」として韓国の連続起業家が見据える "エンジニアリングビューティ"の世界

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韓国でシリアルアントレプレナーとして有名なノ・ジョンソク(Chester Jungseok Roh)氏は、化粧品業界を革新して新たな市場を生み出すという目標を掲げ、スキンケアブランドを有するB Factory(ビーファクトリー)を立ち上げた。ロボティクスやAIほか、最新のテクノロジーを掛け合わせた商品を提供するブランドを保有することで、「化粧品業界のテスラを目指す」と公言している。ノ氏が仕掛ける“イノベーティブな”化粧品の全容と真意を探る。

ハッカー、シリアルアントレプレナー、そして化粧品業界のディスラプターへ

ノ・ジョンソク氏はシリアルアントレプレナーとして数々の業績を残しており、韓国スタートアップ業界では知らない人がいないほど有名な人物だ。大学在学中から起業家として活躍し、過去には、デジタルセキュリティシステム、ブログサービス、モバイルアプリユーザー分析、スタートアップインキュベーション事業をはじめ、VR/AIファッションスタイリングなど、ITおよびソフトウェア分野で次々と起業・成功を繰り返してきた。

B Factory代表を務めるノ・ジョンソク氏
出典:ノ氏のFacebookアカウント

ノ氏が世に名を知られるようになった発端は、1996年4月にさかのぼる。韓国の理数系トップ大学の韓国科学技術院(KAIST)の学生たちが、国内で双頭をなす理系大学の浦項工科大学校の電算室をシステムダウンさせる事件が起きた。どちらがより優秀かと、もともと学生たちの腕試しとして始まったサイバー攻撃は、いつしか大学の威信をかけたハッキング合戦に発展。当時は、世界的にもハッカーという言葉の認知度は低く、この事件は韓国のIT時代の幕開けを予兆させる初のハッキング事件として社会的問題となった。

この事件の際、浦項工科大学校に物理的な損害となるほどの攻撃を加えた首謀者のひとりがノ氏だった。ノ氏は警察に逮捕され罰金刑を受けることになったが、指導教授が「この青年は未来に絶対に大きなことをやり遂げる」と嘆願し、どうにか大学に残れることになったという。

ノ氏はその後、持ち前のIT技術開発能力を駆使して、デジタルセキュリティ企業INZEN(インゼン)を創業し4年で上場させる(売却後、2012年に上場廃止)。ノ氏はその後も躍進を続け、立ち上げたブログサービス企業Tatter and Company(テターアンドカンパニー)を、2008年にグーグルに売却。アジア発のスタートアップがグーグルに買収された事例は、Tatter and Companyが初めてだったという。ノ氏はその後に起業したモバイルアプリユーザー分析企業の5Rocks(5ロックス)も、世界最大のモバイル広告企業Tapjoy(タップジョイ)に売却している。

そんなノ氏が化粧品業界に着目し、B Factoryを設立したのは2020年1月だった。

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