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ロレアルによるModiFace買収の衝撃、AR分野を制するのは?

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美容業界でARを使ったメイクシミュレーションアプリが急速に広がっている。先週は卓越したAR技術を持つModiFaceを業界最大手のロレアルが買収すると発表されて世界中で話題になった。AR普及の現状を俯瞰するとともに、ロレアルによるModiFace買収がもたらす業界への影響について考えたい。

2016年、AR(Augmented Reality、拡張現実)技術を使ったゲーム、ポケモンGOが一世を風靡したのは記憶に新しい。その後2017年にはAppleのARKitや、GoogleのARCoreといったプラットフォームが出そろい、ゲームだけでなくさまざまな実用分野でARアプリが発表されている。

ARによるメイクシミュレーションはもはやマスト

AR技術を利用したメイクシミュレーションアプリが今さまざまな形態で登場し、若い世代を中心に支持を集めている。こちらの過去記事にまとめたBeauty PlusやLINEのLOOKS、YouCamメイクといったアプリはそれぞれ、世界で2億〜3億件ダウンロードされている。また2018年2月にサムスンが発表したフラッグシップスマートフォン、Galaxy S9にはメイクシミュレーション機能がデフォルト搭載されており、この機能が目新しいおもちゃの域を超え、もはや標準になりつつあることが感じられる。

各化粧品メーカーや小売プレイヤーもそれぞれに工夫をこらしたARアプリやサービスを展開している。たとえばセフォラや米国のUlta Beautyといった化粧品小売各社は、取り扱う商品をアプリ上で試用から購入までできる機能を提供している。また、エスティ・ローダーはFacebookメッセンジャー上で、Urban Decayはアプリで、それぞれ口紅を試着する機能を利用可能にした。このほか、メイベリンBenefit Cosmeticsでは、眉メイクのバーチャルなお試しが可能だ。

ロレアルが技術企業ModiFaceを買収の衝撃

これらのアプリの基盤となるAR技術を提供する企業の先頭を切っているのが、カナダのModiFace社だが、先週の3月16日にロレアルが同社の買収を発表した。

Modifaceは顔や肌の画像分析に特化した企業として2007年に創業、技術者を中心に約70人の社員を抱え、現在では100あまりのブランドへの技術提供実績がある。一方、ロレアルは2014年にImage Metricsという技術企業と提携しメイクシミュレーションアプリ「Makeup Genius」を開発してアップデートも続けていたが、プレスリリースなどをみる限りでは、Image MetricsよりModiFaceのほうが美容に関してはるかに豊富な実績を持っている。また、ModiFaceは少なくとも2014年からロレアルと取引があり、デジタル広告のカスタマイズヘアカラー・ヘアスタイルシミュレーションアプリグループ傘下のVICHYの肌状態診断ソフトといった用途に技術を提供している。

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