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CareOSがスマートミラーを、YouCamがバーチャルメイクを劇的に進化【CES2019】

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前回に続き、CES2019レポート2回目は、これからのスマートミラーやバーチャルメイクといったまさに美容領域のテクノロジーを大きく進化させていくであろう注目の2社を紹介したい。新時代のスマートミラー・プラットフォームとも呼ぶべきOSを開発するCareOS、そしてバーチャルメイクYouCamに「提案」を持ち込むPerfectだ。

CareOSがスマートミラー勢力図を塗り替えるか

数あるビューティテック関連の展示のなかでも絶えず人を集めていたのが、AIとARを搭載したフランス発のスマートミラー「CareOS Artémis」だ。CES Innovation Awards 2019を受賞している同製品は、フランス企業Baracodaグループの子会社で、2017年に創業したばかりのCareOS社が開発・提供している。

親会社のBaracodaは、健康、福祉、セキュリティ分野の課題解決を、IoT、AI、ARといった最新テクノロジーで試みるフランス企業だ。創業時の2001年に発表したBluetoothバーコードスキャナーに始まり、昨年公開されたARスマート歯ブラシまで、これまでグループ全体で数多くのテクノロジー製品やサービスを輩出してきた。現在はCareOSを始め7つの子会社を抱える。また、パリとシリコンバレーにはR&Dユニットを、デザインオフィスは香港に、自社の製造施設はフィリピンにと、世界に拠点を広げているという特色もある。

CareOS社は、昨年のCESでバスルーム用に設計された第一段階のスマートミラーを出展した。2019年の今回は、さまざまなビューティーやヘルス関連のIoTデバイスをつなげる「CareOSプラットフォーム」のいわばハブとなるスマートミラー「CareOS Artémis」としてのお披露目となった。CareOSプラットフォームは、特許も出願中だ。

CareOSプラットフォームにつながったミラーは、拡大鏡から視力検査、肌分析、ARによるヴァーチャルメイクや、メイクアップやヘアスタイリングのチュートリアル、フィットネスコーチング、栄養士などとの電話相談、大気汚染の状況チェック、照明やシャワー設定の音声コマンドなど、およそスマートミラーが今後持つべき機能をフルで搭載するようなイメージだ。

すでに50以上のIoTデバイスやサービスとつながっており、(下記の図参照)このことにより、設置場所も自宅からホテル、スパ、ヘアサロン、リテールに拡大。それぞれのパートナーのサービスをCareOS Artémisと連携させることで、スマートミラーが設置されたさまざまな場所から各サービスを利用できる。

CareOSプラットフォームのイメージ図(CareOSのウェブサイトより)

ユーザー体験としては、このプラットフォームとつながっているミラーに自分を映したり、音声入力することでさまざまなことが実現するだろう。たとえばホテルでは、ミラーに向かい「シャワーを温めておいて」と音声操作ができる。チェックアウト時間になると、ミラー上で「タクシーの予約をする」というオプションが表示されそこから手配ができる。また、スパではミラーを通して肌分析を行い、個人の肌質やそのときの状態によってメニューの提案がなされる。化粧品売り場では試したい商品をミラー上にかざすと、チュートリアル動画を見ることができ、バーチャルメイクもできる。このとき商品だけでなく、自分の顔も認識してくれ、関連したチュートリアルを表示するという。

Cotyとはバーチャルヘアカラーの取り組み

同社のパートナーのひとつであるCotyとは、Wella Professionals salons向けに、ARを利用したヘアカラーのバーチャルトライサービスを開発した。同サービスは、髪の毛を染めた後に「イメージと違った」という顧客の不満を招かないよう、予めバーチャルトライにより、スタイリストと顧客の間の「理解の違い」を解消する目的で作られている。顧客がスマートミラーの前で好きな色を選ぶと、その色に染めた場合の自分の姿が確認できる。気に入ったカラーを保存してスタイリストと相談し、最終的にどの色にするか決めていくという流れだ。なおヘアカラーをリアルタイムにユーザーの髪の毛に反映する技術は、PerfectのYouCam メイクAR、AIテクノロジーを採用している。

実際に髪の毛を染めた後は360度ビデオで、前・横・後ろとすべてのアングルから仕上がりを確認して保存する。次回の訪問時に、過去のスタイリングを検索できるようにするためだ。検索には顔認証技術を用いる。カラーやスタイリングが気に入れば、そのままソーシャルメディアでシェアすることも可能だ。それらすべての工程を終えると、匿名で満足度アンケートに答え、Eメールアドレスを入力して、スタイリストと連絡を取ることもできる。スタイリスト推奨の製品を紹介してもらう、スタイリングのコツを教えてもらう、次回の予約をするなどが、想定される利用法だ。

ARソリューションはレコメンドで「ビューティ3.0」へ

ARによるバーチャルトライでは、この分野のリーディングカンパニーのひとつ、台湾に本社を構えるPerfectが、CESでも「Beauty and the Tech」セッションを率いるなど、ビューティテック分野で大いに存在感を放っていた。

「Beauty and the Tech」セッションの冒頭で、Perfectのアリス・チャンCEOは、「ARはもうどこにでもある」と、消費者の生活にARが当たり前のように溶け込んでいると切り出した。

同社が開発するバーチャルメイクアップサービスは、すでに多くの美容企業の店頭、EC売上の向上に貢献している。エスティー ローダーや中国のECサイト「京東」などの事例が紹介された。

その上でチャンCEOは、2019年が「ビューティ3.0」になるだろうと、パラダイムシフトが起こると強調した。チャンCEOによると、これまで美容業界には3つの時代があった。2015年までが、店頭で時間をかけて物理的に化粧品を試す必要があった「ビューティ1.0」。同社のARアプリ『YouCam メイク』が登場したことで、30秒で30色をバーチャルに試せるようになるなど、時間短縮に加えて体験の幅を大きく広げた「ビューティ2.0」。そして今年「ビューティ3.0」が到来するという。

チャン氏がいうビューティ3.0を実現するのが、同社が新たに開発した「AIスマートシェードファインダー」だ。これまでは、バーチャルトライに際してはユーザー自身が色を選ぶ必要があったが、AIスマートシェードファインダーでは、ユーザーがスマホやタブレット端末のカメラで自身の顔写真を撮るだけで、AIが肌色を分析。その人に一番似合う口紅やアイシャドウなどの色をレコメンドする。その精度が正しければ、顧客の購入確度はかなり高まることだろう。ビューティ3.0の到来により、「顧客体験はもっと良いものになる」とチャンCEOは自信を見せた。

左より/モデレーターを務めたPerfect Corp.マーケティング
ヴァイスプレジデントのアダム・ギャム氏、
同CEOのアリス・チャン氏、Ulta Beautyデジタル&Eコマース
 シニアヴァイスプレジデントのプラマ・バート氏、
コスモポリタン編集長のジェシカ・ペル氏(著者撮影)

全米で1,100以上の店舗を展開する、米国最大のビューティショップUlta Beautyのデジタル&Eコマース部門、シニアヴァイスプレジデントのプラマ・バート氏は、店頭で美容部員によるメイクアップサービスを行っているが、YouCam メイクのようなバーチャルトライサービスはその前段階として有効だと指摘する。いきなり店頭で人にメイクアップしてもらうのは抵抗がある、という顧客もいるからだ。予めバーチャルトライでイメージをつかめていれば、メイクアップに対するハードルは下がるというわけだ。

Ulta Beautyは、「デジタルイノベーションで
競争優位性を生み出す」とする

コスモポリタン誌は、2018年10月号の誌面とウェブサイトでPerfectとコラボした。8ページに渡るMacy’sの広告のなかで、読者を紙面上のQRコードからウェブサイトに誘導。「ジューシー・クチュール」のコスメを使いバーチャルメイクを試してもらうという取り組みを行ったという。ウェブサイト上に特設ページを設け、そこからMacy’sのECサイトにリンクさせた「シームレスな購入体験」を提供した(2019年1月12日現在も特設ページは機能している)。

コスモポリタン誌は読者層である「コスメに関心の高い女性」に対しどのようにアプローチするか、常に新しい広告の形やイノベーションを探しているといい、その過程でPerfectとのコラボが実現した。コアな読者層であるミレニアル世代やZ世代は絶えずスマホを操作し、アプリを行ったり来たりと「忙しく動き回っている」。1つのアプリやページにとどまってもらうための施策はいろいろと考える必要があるが、バーチャルメイクアップは、ユーザーを引き止める力があると編集長のジェシカ・ペル氏は話す。同セッションは聴衆からの質問が止まらず、予定時間をオーバーする活況ぶりで、バーチャルメイクに対する関心の高さがうかがえた。

CareOSが構想しているスマートミラーの世界と、Perfectが描くビューティ3.0が、Cotyの取り組みのように部分的に融合しながら広がっていけば、2019年のユーザー体験が大きく変わっていくのは間違いない。

Text&Photo: 公文紫都 (Shidu Kumon)

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