見出し画像

Glossier Youのショールームで現実離れした妖艶さに思わず赤面…【テック圏外】

New English article
◆ 新着記事をお届けします。以下のリンクからご登録ください。
Facebookページメルマガ(隔週火曜日配信)
LINE:https://line.me/R/ti/p/%40sqf5598o

2017年12月某日。BeautyTech.jp編集会議では米国発のコスメブランドGlossierをいいタイミングで取り上げたいという話が持ち上がっていた。そこで、ニューヨーク在住の筆者が現地のショールームに行きレポートを書こうと乗り込んだのだが、そこは想像を絶する、めくるめく大人の世界だった…!普段はまじめなBeautyTech.jpもたまには力の抜けた記事も掲載してみよう。ちなみにテックな内容ではまったくないので、あしからず。

この原稿を書いたのは12月にはいってすぐ。いままでお蔵入りになっていたのは、Glossierをきちんと取り上げた記事の公開がついこの間だったからだ。そのあとの掲載のほうがよいという編集部判断である。誤解がないよう断っておくと、Glossierは決して妖艶なブランドではない。Skin first. Makeup second. というキャッチフレーズにもあるように、健康的な素肌と、その素肌を活かした健康的なメイクが身上である。

ショールームは、Lafayette Streetというチャイナタウン界隈にある。周囲は中国語の看板が目立ち、思わず、電車を降りたら中国に着いたのかな?と勘違いしそうなほどTHE 中国な雰囲気だ。露天商も多く大半が怪しいブランド品や不法DVDなどを売っているカオスなエリアでもあるが、最近では「Canal Street Market」(地元NYのアーティスト、デザイナー、職人、ブランドなどがショップを構えるスペースと、一風堂プロデュースの「黒帯ラーメン」や、プルコギを始めとする韓国料理など、アジアンフードが手軽に食べられるファストフードコート。日本でいうヒカリエのようなイメージ)という注目スポットができたこともあり、若いニューヨーカーたちもここで食事や買い物を楽しむ機会が増えている。

そのすぐ近くにGlossierのショールームがある。ショールームは、「Glossier Showroom」と、「Glossier You」の2つがあり、入り口は下記の写真のように隣り合っている。

右の扉、Glossier Showroomのほうは、誰でも気軽に入れるショールームだ。写真には映っていないが1階のビルの入り口にピンクのコートを来た女性が立っていて、「Hi!」と声をかけるだけで入れてもらえる。ビルに入り、エレベーターで最上階にあるペントハウスにあがれば、そこがショールームだ。内装はGlossierらしい淡いピンクやホワイト主体でアレンジされており、スタッフは全員ピンクのつなぎを着ている。少しラボな雰囲気もある。

ショールームが入るビル1階に着いたのは平日の12時、オープン直後だが、あっという間にショールームに向かう客でエレベーターがいっぱいになった。到着すると店内にはすでに10人くらいの来店者がいて、注目度、人気度の高さが実感できる。客層は、大学生〜20代後半くらいの若い女性、カップル、そこに高年齢の方も。地元客だけでなく、明らかに観光客と思われる人たちもいた。店内にはテスターが置いてあり、それらを試し、気に入った商品があれば店員に伝える。すると店員が専用のオーダーシートにマークしてくれるので、それを持ってレジに行き決済するという購入スタイルだ。

Glossier You、その禁断かもしれない香り

隣の入り口が、Glossier Youのショールームである。昨年10月に出たフレグランス、Glossier Youを体験するスペースで、オンラインによる完全予約制。直前にスマホから空き状況を確認すると15分後に「5組分の空きあり」と出ており、すぐに予約が取れた。

ショールームの外にはコート、洋服、靴、ネイルまで全身真っ赤で統一された女性がiPadを持って立っているので、「予約したShiduです」と名前を告げると名簿と照らし合わせ、中に入れてもらえる。窓の外からは室内がまったく見えない仕様になっており、どういう世界なのかわからないまま足を踏み入れることになる。

ドアを開けると、度肝を抜かれた。赤赤赤赤…! なんというこの妖艶な雰囲気! まず目に飛び込んでくるのは、同じく真っ赤な洋服に身を包んだイケメンのお兄さん。思わぬ展開に入り口で硬直している筆者に向かい「こっちへおいで」と笑顔で手招きすると、優しく左手首を掴みピンクのリボンを巻いてくれた。

それからなにやら耳元で囁いている。驚くほど甘美な声だ。(ちなみにピンクのリボンは特にその後出番はなかった)。あまりに突然の出来事に動揺し、うまくお兄さんのセリフを聞き取れず、「もう一度言ってくれる?」と聞き直していると、3回目にしてようやく「初めてなの?」と言っていることに気付いた。な、なんてことを聞いてくるの……。こっちは既婚者でもう子どももいる身! イケメンお兄さんの甘い囁きに顔を赤らめつつ、素直に「初めて」と答えると、「ここでは香りを楽しむんだよ」と、これまたとびきりの笑顔で教えてくれる。

ちなみにこの時、上からは数名の女性のセクシーな声がBGMで流れてくるのだが、これがお兄さんの甘い声とあいまってかなり恥ずかしい。正直この時点で相当帰りたかったが、私はライターなのだ。ひとまずお兄さんに促されるまま、先へ進む。

その日そこにいた客は、モデルらしきスタイル抜群の女性や、いかにもお洒落に気を配っている人々ばかりで、その場をすんなり受け入れているようであった。対して、まさかこんな妖艶な雰囲気だとは思わず、ほぼノーメイク、トレーナーにジーンズ(しかも近くのお店でラーメンを食べ終えてからやって来た)とかなりセクシーではない格好と気分で来てしまった。加えて、一応許可は得つつも、写真をバシバシ撮りまくっている日本人……。野暮ったい観光客に見えたに違いない。無念。

誘われるままにまっすぐ進むと、そこには透明なガラスのケースに入った5本のGlossier Youが置いてあった。隣には美しいお姉さんが立っていて真ん中のケースからボトルを出すと、さっと私にふきかけ匂いを嗅がせてくれる。その動作一つ一つが見ているだけで恥ずかしくなるほど、セクシーなのだ。その後感想を聞かれるので「ア、アメイジング…」とつたない英語で精一杯褒めてみたが、あまり響いていないようで、「やれやれ」という顔をされた。

終わるとまた先に進むよう誘導されるので向かう。そこには電話ボックスのような小部屋があった。一人で入るように言われるので指示通りに入ると、目の前にある赤いボタンを押してという。言われた通りに押すと鏡が下がり、中から真っ赤な手袋をはめた女性の手だけが現れた。その手にもまたGlossier Youがあり、妖艶な手つきで手袋に近づくように促されるので顔を近づける。手袋は空中にさっとそのフレグランスを吹き出し、またもや匂いを嗅がせてくれた。

終わって外に出ると、また別のお姉さんがいて感想を聞かれる。ここでは、「ワンダフル」と言ってみた。さあどうだ。さっきよりはいいんじゃないか、と期待しつつも、反応はやっぱり、「やれやれ」という感じ。

ネイティブスピーカーはこういう時、どんな気の利いたことを言うのだろう。なんとなく「これが滑ったというやつだな」と恥ずかしい思いをしていると、最後に商品が並んだ棚の前に誘導され、気になるものはある? と聞かれる。中をのぞくとアイテムは先に訪れたGlossier showroomのほうと一緒だったので、「さっき隣で買っちゃって、えへへ」と、日本だったら「あら、ありがとうございます!」と喜んでもらえそうなことを言ってみたが、ここでは、何しに来たの、と明らかにガッカリした顔をされた。

どこまで行っても場違いな感じ。よし、帰ろう。滞在時間わずか5分程度で、逃げるようにしてその場を後にした。ショールームを出た後もしばらく私の心臓はバクバクと、まるでドラムを叩いているように体中に響いていた。次に行くときは、絶対に友だちと行く。そう心に決めながら、特に用がなかった手首のリボンをほどくと、ようやく現実世界に戻れたのか、緊張から解放された。

ちなみにGlossier Youは、究極のパーソナルフレグランスとして、自分自身のにおいと混ざることで完成される香りだ。しかし、動揺が災いしたのか、”究極の”、の意味を把握するまでには至らなかった。

店を出て冷静になると、この究極の香りに対して、いかにもな単語でしか表現できない観光客のようなゲストに対し、「はいはい、どうせ香りなんて分からないんでしょ?」と思われたのかもしれない、と少し悔しい思いをした。

妖しくて厳しい美の世界。そんな世界にふさわしい、クールな大人の女性になりたいものだ。

※【編集部注】後半、男性、女性と書くべきところ、お兄さん、お姉さんとなっているのはあえて原文ママにしました。

※【編集部注追記】Glossierについてはこちらの記事もご参照ください。「Glossierとそれに続くディスラプターたちは、美容業界の外からやってくる」

Text&Photos: 公文紫都(Shidu Kumon)


ありがとうございます!メルマガで隔週で更新情報配信中。ぜひご登録を!
6
美容業界の国内外のイノベーションを発信するメディアです。詳しくは → https://goo.gl/7cDpmf  BeautyTech.jp(English)move to https://medium.com/beautytech-jp