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IBMがサポートする美容業界事例、AIにスマート工場、ブロックチェーンまで

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IBMは2011年、同社の開発した人工知能ワトソンがクイズ王に勝利したことで注目を集めた。ワトソンのビジネス利用については金融やヘルスケア分野では苦戦が報じられるが、現在のIBMはそのワトソンをはじめ同社の技術を利用してのビジネスコラボレーションを探っている。その中で、美容業界での取り組みを3つ紹介したい。

1.商品開発にAIを応用

IBMの動きで最近特に目立つのは、香り関係の商品開発だ。2018年10月、IBMは食品のフレーバーや香料を開発するSymriseと共同で、AIを使った香料開発に着手することを発表した。Symriseが持つ数千種類の香りのアーカイブのパターンの分析に加え、膨大な原料データを掛け合わせ、それに基づいて最適な調合を調香師に新たに提案することができるとされる。すでにSymriseの調香師がAIからの提案をアレンジして作った香水が2種類完成しており、2019年に発売予定だ。

IBMは日本のスタートアップとも香りに関してコラボレーションしている。CODE Meeeはユーザーに合ったアロマミストを推奨・販売するサービスで、ユーザーの好みの香りや時間帯ごとのなりたい気分によって「アロマプロフィール」を作成している。CODE Meeeを創業した代表取締役CEO太田賢司氏がIBMの「THINK Business」で語ったところによれば、市販の化粧品などの商品一般に含まれる香料のほとんどは、上記のSymriseを含めた香料会社が開発しているが、よりきめ細かくパーソナライズされた香りを作るために、IBMが提供するシステム環境やメンタリングが役立っているという。

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香りは音や画像に比べるとまだまだデジタル化が進んでいないが、その分伸びしろがあり、自由度も高いと考えられる。フレグランス業界とIBMのコラボレーションによって新しい香りが生まれるだけでなく、香りの楽しみ方も変わっていくかもしれない。

2.生産現場でIoT活用

小型のセンサーやカメラなどの機器をネット経由で連携させるいわゆるIoT(Internet of Things、モノのインターネット)は、商品の生産現場である工場のあり方も変化させている。IoT技術を駆使した工場は「スマート工場」と呼ばれ、単に人間の作業を機械化して効率を高めるだけではなく、商品製造プロセスを細かく制御して顧客ニーズにきめ細かく応えたり、工場の観察から得られるデータを分析して効率化や品質向上に結びつけたりといった、新たな価値を生み出すことを目指している。現在大手ITベンダーの多くがスマート工場を提案しているが、IBMはロレアルの工場ですでに実績をあげている

ロレアルはベルギーの工場にIBMの技術を導入することで、数十種類もの製品を同時に生産可能にし、より多品種小ロットで顧客のニーズにきめ細かくタイムリーに応えられる体制を整えた。これによって一人ひとりの肌に合わせてパーソナライズされた個別の化粧品をラインで自動製造するのも可能になるという。IBMをはじめ多くのテクノロジー企業は「Industry 4.0」を合言葉に、かつての産業革命や電力による大量生産に匹敵する変化を予言している。「大量生産品は安価だが一律でどれも同じ」という20世紀の常識を、彼らは覆そうとしている。

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