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セフォラは用途別に3つ。WeChatミニプログラムの美容業界における活用法

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2018年11月に香港のコスモプロフアジアで開催されたコスモトーク。WGSNの美容におけるニューエイジトレンドに続いて紹介するのは、“Leveraging WeChat’s New Features as a Beauty Brand”(美容ブランドはWeChatの新しい機能をどう活用するか)。上海を拠点に、WeChatに関わるシステムデザイン開発を請け負うエージェンシー31TenのCMOで、フランス出身のジョセフ・レブーク(Joseph Leveque)氏が、中国以外のユーザーには馴染みの薄いWeChatミニプログラムの全容を解説する。

中国本土であらゆる日常活動のプラットフォームとなっているWeChat。ユーザー数が10億人と、ガラパゴスと呼ぶにはあまりに大規模だ。

31Ten CMOのジョセフ・レブーク氏

レブーク氏のトークでは、このWeChatをベースにしたブランド戦略の鍵となる「ミニプログラム(小程序)」の活用が、中国市場での展開を狙うビューティーブランドにとっていかに有用であるかを力説。以前、別記事でもWeChatのミニプログラムや、微商の仕組みを紹介しているが、今回はWeChatの全容を俯瞰してのプレゼンテーションでもあり、WeChatの基礎知識も学べる絶好の機会となった。

WeChatは生活全般のプラットフォーム

「WeChatとは何かを説明するときに、かつてはわかりやすく説明するためにも『電話、インスタグラム、スカイプ、Pinterestなどがすべて1つにまとまったサービスだ』と話していた。これがその頃私が使っていた図表だ」とレブーク氏が見せたのが、こちら。

出典: 31Ten

「しかし、現在では、それをはるかに超える範囲の活動を網羅していることを示す、こちらの図表こそがその実体を正しく説明している」。これを見れば、その役割の幅広さと深さがうかがえる。

出典: 31Ten

ちなみに、以前の図表の当時以降、決済サービスであるWeChat Payが加わり、WeChatの機能が飛躍的に進化した。急速にキャッシュレス化が進む中国では、「物乞いもQRコードを差し出す」という中国のリアルな状況も、レブーク氏のスライドにはしっかり含まれていた。

出典: 31Ten

さて、通常ブランド側が行うマーケティングといえば、ウェブサイトや電子メール、アプリ上で行われるものだが、中国では下の説明のようにすべてWeChat内でシームレスに行われ、完結する。

出典: 31Ten

ミニプログラムがあればアプリは不要

最新の統計によると、WeChat上には100万個のミニプログラムがあり、2億人のデイリーアクティブユーザーがいる。WeChatユーザーの63%にあたる6億3,000万人がミニプログラムの利用経験を持ち、平均使用時間も、2017年2月には1日1.6分だったのが、2018年夏には15分と激増中で、その重要性は高まるばかりだ。

ブランドにとってミニプログラムを利用する大きなメリットは、WeChatの単一プラットフォーム上にあることから、開発や運用がシンプルな点にある。一般のアプリでは、iOSとアンドロイドの2種類を常に開発保守する必要があるが、WeChatには両方で使えるコードベースがあるため、1つのミニプログラムを開発すればよい。これにより20~50%のアプリ開発費が削減でき、リリースまでの時間も約3週間とはるかに短縮されるという。

そしてユーザーにとっての利便性も大きい。WeChatさえインストールしてあれば、各ブランドやサービスのミニプログラムはダウンロードもアカウント登録もログインも必要なく、検索やQRコードのスキャンで目当てのミニプログラムを見つけてクリックするだけだ。

「ブランド側がリリースするオフィシャルアプリには、階層になって多彩な機能が含まれているものも多いが、ミニプログラムは、ひとつの目的に絞って作られる。たとえば、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン) 傘下にあるセフォラの例では、メインプログラム(商品紹介とEC)、オウンドメディア的なSephora Magazine、ギフトカード発行という3つのミニプログラムをWeChat内に揃えている」(レブーク氏)。

出典: 31Ten

ミニプログラムが強みを発揮するシチュエーションが、オフライン、つまりリアル店舗で購入してからのアクセスだ。購入した商品についているQRコードをユーザーがスキャンすると、それがWeChat内のミニプログラムに直結する。ユーザーはアプリを検索したり、ダウンロードしたりという手間が一切ない。そこからロイヤリティプログラムのポイントを加算をしたり、追加購入をしたりというアクションがすぐに行えるわけだ。

出典: 31Ten

こうしたオフラインからのアクセスを起点にしたユーザーは、オンラインを起点としたユーザーと比べ、ブランドとの関係がはるかに強いことが統計にも表れているとして、「オフライン起点のアクセスでは、フォロワー獲得率が9倍、顧客のバインディング率が42倍(※)という驚くべき結果になっている」とレブーク氏は語る。


(※) バインディング率(Binding Rate)とは、
店舗・ウェブサイト・WeChat・ECサイトなど
様々な接点から入った顧客が、ポイント使用や予約、
店舗来訪などのアクション(=Binding)にいたる率
出典: 31Ten

WeChatが“スマホOS内のOS”の役割を果たしており、中国本土でのブランド戦略にはミニプログラムの有効活用は必須であることを示す力強いメッセージが続き、トークは終了した。今後もWeChatの発展から目が離せないのは確実だ。

美容業界から高い関心が寄せられるトピックスを揃え、世界の最前線をいくスピーカーの声を直接聞くことができるコスモトークは、貴重な知識の宝庫として参加する価値の大きいイベントだった。

Text: 甲斐美也子 (Miyako Kai)

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