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LA発と韓国発。日本に再び上陸した注目ブランドのソーシャル戦略

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米国発のNYX Professional Makeup(ニックス プロフェッショナル メイクアップ・以下NYX)と韓国発のイニスフリー。どちらもいまの美容トレンドをおさえた注目ブランドだ。このふたつには共通点がある。どちらも日本再上陸を果たし、順調なすべり出しをきっていることだ。両ブランドがなぜいま再上陸したのか、成功までのゴールをどう見据えているのかを2回に分けて探りたい。まずはNYXの再上陸ストーリーから。

1999年に誕生し、2006年に日本に初上陸。2012年に日本での発売を撤退した過去をもつNYX 。2014年にロレアルが買収し、この春、東急プラザ表参道原宿に店舗がオープンした。このロサンゼルス生まれのコスメブランドNYXは、約900もの製品数を持ち、豊富な種類のリップやカラフルなアイシャドウが人気だ。メイクアップジャンキーと呼ばれる層に世界中でもファンが多いブランドでもある。オープンイベントのゲストにはRyuchell氏を起用した。

インフルエンサーとともに成長してきたNYX

NYXは、「インフルエンサーとともに成長してきたブランドだ」と話すのは、NYX Professional Makeupマーケティング ディレクターの濵田宏子氏。東急プラザ原宿の店舗には、入り口から各アイテムの棚に到るまで、下の写真のようにLOOKを表すヴィジュアルがデジタルで表示されている。それらのLOOKは、どれもユーザーが投稿したインスタグラムの画像だ。

現在世界70カ国以上で展開しているNYXは、ブランド自体の成長がデジタルと密接に関連しているという。

「プロのアーティスト向けにリーズナブルな価格でメイクアップアイテムを提供する、というのがブランドのはじまりだ。プロのアーティストを目指す方たちの声を取り入れながら製品開発も進めてきた。ミレニアル世代の若いアーティストたちは、自分の声を発信したいという気持ちも強いので、ブログなどでNYXについて自発的に書いてくれるようになった。そういった声に支えられて、ブランドもどんどん大きくなっていったので、デジタルなしでいまのブランドの成長は語れない」

いまではインフルエンサーと呼ばれる人たちに、自発的な発信が受け継がれている。NYX を好きなプロフェッショナルたちが発信する個性を受け入れる土壌がブランドにある。

再上陸はブランドの世界観と時代の流れがそうさせた

SNSが誕生する以前は、そういった個性を主張するメイクを知ることができるのは一部の人間だけだった。が、デジタルツールの発展とともに、個人の発信力が高まったことで、いま日本でもその特徴的なメイクに共感している人がいることが可視化されるようになった。「個」のメイクが、認知されはじめたいま、NYXの再上陸は時代の流れに沿っているのだ。

そして、ブランド側が力を入れているのがのがユーザーからの自発的な発信。そのための工夫は行なっているのかを尋ねてみたところ、「インフルエンサーやモデルの方へお仕事として依頼する場合をのぞいては、基本的にノンペイドで自発的に載せていただいている」とのことだった。「新商品などのギフティングは行うが、『投稿は必須』という依頼はしていない」

そういったなかでも、店舗のヴィジュアルやインスタグラムのオフィシャルアカウントでリポストされているLOOKの数々。ユーザーが自発的に投稿したくなる心理をどうとらえているのだろうか。

「そもそもNYXは、基本的に従来型の広告をうたないので、ブランドにとっては、ユーザーの顔がすべてになる。また、プロのメイクアップアーティストに向けて生まれたブランドであり、そもそもクリエイティビティの高いひとたちに支持されていた。自分のメイクがインスタグラムにリポストされたり、店舗のヴィジュアルになることで彼らのモチベーチョンにつながっていると感じている。自分のメイクが世界中で流れるということでユーザーのクリエイティビティへの意識も高まり、NYXがそれを発信する、といういい関係性が自発的な発信へとつながっていると思う」

クリエイティビティの敬意をブランドもユーザーも等しく持つ

リポストするヴィジュアルを選択する際の一定の基準はある程度決めているとのことだが、ユーザーにもNYXにもクリエイティビティへの敬意があるからこそ、成り立っている関係性といえる。

また、日本では2回めとなる、NYXが主催するメイクアップコンテストの「FACE Awards」。ここでも、インフルエンサーのパワーが発揮されている。

「各国でメイクのコンテストを行い、その優勝者が世界中から集まってくるのが8月にLAで開催されるFACE Awards US Finale。もはやメイクを超えて、アートや特殊メイクにも近いかもしれない。メイクのクオリティの高いインフルエンサーが世界中から集まってくる。普段からユーザー同士でDMなどでやり取りをしているので、会場では実際に会える喜びもあり大盛り上がりだった」

日本での「ローカライズ」が今後の課題

メイクへのピュアな熱狂が、ユーザー同士のつながりを生み、彼らのためのイベントを世界規模で行うNYX。欧米のいわばメイクアップジャンキーたちのメイクに比べるとおとなしいと思われる日本市場での成功をどのように見据えているのだろうか。

「実際に店頭でユーザーの方々と話してみると、『こういうメイクに興味はあるけど、どうしたらいいのかわからない』という声をよく聞くので、需要はあると感じている。フルメイクをすべて真似する、というよりもアイメイクやリップなどポイントで知りたい方も多くいらっしゃる。店頭ではお客様ひとりひとりのヒアリングを大切にしているので、ニーズにあった対応をすると、素直にこうやればいいんだとわかった、とおっしゃってくださる」

たしかに、赤リップの流行などで、もはやカラーメイク自体への抵抗はなくなっているのかもしれない。日本人ユーザーのインスタグラムへの自発的な投稿に期待しているかを尋ねてみた。

「自分の顔をコンンテンツとして出すのはまだ少し抵抗があるのかもしれない。ただ、インフルエンサーやメイクアップアーティストの方々に話を聞いてみると、興味を持っていただいているのは感じている。また、日本は高い画像の編集技術を持っている方が多いので、その技術がともなえば、投稿してくださる方も増えてきそうだ」

日本人の顔に沿ったLOOKも大事にしたい

さらに気になるのが、グローバルとの世界観の統一だ。日本人の控えめなメイクが、NYX Professional Makeupの世界観と合致するのだろうか、という疑問は残る。

「日本人のLOOKを店頭に使っていくことはしていきたい。彫りの深い顔だけではなく、日本人の顔に沿ったLOOKも大事にしていきたいからだ。とはいえ、グローバルとの世界観の一体化も重視しているので、どうローカライズしていけるかは課題。例えば、日本のナチュラルメイク志向が、100の投稿のうち1つあるのはいいが、それがすべてにならないようになど、バランスは考えていきたい」

グローバルのコンテンツをいかにローカルに落とし込めるか、と、ローカルの受け止め方との調整は必須だ。また、いわゆる「プチプラ」というカテゴリーでの差別化についてはどう考えているのだろうか。

「値段はたしかに『プチプラ』といえるかもしれないが、NYXは、あくまでプロフェッショナル仕様のアイテムとして販売しているので、そのカテゴリーは意識していない。流通に関してもいまのところドラッグストアに置く予定はなくプロフェッショナルのためのメイクアップブランド、という世界観で広げていきたい」

日本再上陸時点で、約800~900アイテムを投入したNYX。月に1度のペースで新商品が生み出され、その度にYouTubeのメイク動画も更新。鮮明なヴィジュアルをデジタルで発信し、ユーザーのモチベーションアップにつなげていく戦略は、常にユーザーとともにある。世界中でファンが増え続ける要因は、ブレない世界観を確立したことにあるように感じた。

次回は、イニスフリーがなぜこのタイミングで日本展開を試みたのかを取り上げたい。そこにはアプローチは違えど、やはりユーザーとの距離感の近さがある。

Text&photos: 編集部


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