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ディオールなどバーチャル店舗の「体験」を加速させる米Obsessのプラットフォーム

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コロナ禍で店舗に行くのが難しくなった消費者にリーチする手段として「バーチャル店舗」をオープンするブランドや小売店が増えている。バーチャル店舗自体は新しい概念ではないが、アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOも出資する「体験型Eコマース・プラットフォーム」提供の新興企業Obsess(以下オブセス)によると、リアル店舗が得意とする「体験」の要素を強化した店づくりに高い需要があるという。オブセスの概要と美容やファッションブランドの取組みから、コロナ禍で注目されるバーチャル店舗の可能性を探る。

リアル店舗のように商品に出会う驚きや楽しさを再現

オブセスは仮想現実(VR)や拡張現実(AR)技術を使って「HD画質の写真のようにリアルなバーチャル店舗」を構築し、「オンラインショッピングを体験に変える」をミッションに、2016年に米ニューヨーク市で設立された。

創業者兼CEOのネーハ・シン(Neha Singh)氏は、大手ファッション誌でデジタル商品やモバイルアプリの開発を率いた経験を持つエンジニア出身だ。マサチューセッツ工科大学でコンピュータ科学の修士号を取得し、グーグルでシニア・ソフトウェアエンジニアとして約5年間勤務。その後、Eコマース・スタートアップで商品管理とエンジニアリングを率いたのちに、米コンデナストに転職し、Vogueのデジタル事業のプロダクト責任者(Head of Product)として「Vogue.com」、世界のファッションショーをリアルタイム配信する「Vogue Runway」、Vogue iOSアプリの開発に従事した。

その過程で「アマゾンが書籍販売のため25年前に作ったECサイトの単調なグリッド型インターフェース」(白い背景に商品のサムネイルが並んでいるような画面)を「視覚的でディスカバリードリブンな没入型ショッピング体験」に置き換えられないかと考えたのが、起業のきっかけだったという。

オブセス 創業者兼CEO
ネーハ・シン氏

オブセスが作るバーチャル店舗では、消費者はリアル店舗にいるのと同じように店内を見渡しながら移動する。興味を持った商品の前で止まり、商品を360度いろいろな角度から見て説明を読み、気に入ればそのまま注文・購入手続きに進む。

従来のECサイトは、欲しい商品が最初から分かっていて、かつ自分でその商品を見つけられる人には便利だが、店内をブラブラ歩いて見て回ることで得られる新しい商品との出会いや発見、驚きといった買い物の「楽しさ」の点ではリアル店舗にかなわない。ECサイトの簡便さはそのままに、リアル店舗ならではの商品発見やブランド体験を実際に店舗に行かなくても楽しめる空間が、オブセスが目指すバーチャル店舗だ。

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