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「空気を読むAI」が化粧品販売の現場を変える可能性、AI.acceleratorの知見から

◆ English version: Coming soon: “Sensitive” AI cosmetics are sold in stores
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ディップ株式会社が運営する日本初の人工知能(AI)スタートアップ特化型アクセラレータープログラム「AI.accelerator」。その責任者を務める同社次世代事業準備室 室長の進藤圭氏は、年間300社以上のスタートアップとの面談をこなす。進藤氏にAIサービスや関連スタートアップの現状、そして美容業界におけるAI活用、とくに販売現場における可能性について話を聞いた。

「AI.acceleratorには年間で200件ほどの応募があり、日本では約700社のAIスタートアップが存在する」と進藤氏はいう。その700社の大きなトレンドとしてはまず、大規模なAIエンジンの開発競争はひとまずめどがつき、個別かつ具体的なサービスにAIを落とし込むなど、各現場に最適化したサービスにおいて競争がはじまっている。

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AI.acceleratorの公式サイト

「AIエンジンは車でいうところの動力のような部分で、この領域での競争は一段落した状況だ。今後、どんなデータをAIに学習させるか、またどんな業務にそれらを応用するか、サービスとしていかに実用化していくかという勝負になるだろう。世界的にみるとエンジン開発の領域においては、欧米勢が圧倒的優位をみせている。一方、日本勢はそれらをカスタマイズしたり、現場に落とし込むなど、SIer(システムインテグレータ)的なサービス展開が得意で、その部分で競争力を持っているというのが個人的な印象だ」(進藤氏)。

日本のAI企業は、SIer的な個別最適化や法人向けサービスなど、外国人が好まない領域を攻めることが勝ち筋ではないかと進藤氏は分析する。日本語は、言語圏が閉じているうえに2バイトという特徴上、コンシューマー向けAIサービスでのグローバル化によるスケールは難しいかもしれないが、各現場に根差した特化型のAIサービスは海外企業には参入障壁が高く、グーグルなどの大手も簡単にリプレイスできないはずだとする。

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出典: to B向け 人工知能業界マップ2017年夏 版

「空気を読むAIサービス」が続々登場

AIスタートアップが手がける領域として、新たな動きは感性領域のAIサービスだという。なかでも特筆すべきは、音声認識系、また文脈を読むなどコミュニケーションをサポートするAIなどの登場だ。これまでは、データを使って作業を自動化する、もしくは何かを予測させるというような使い方が主だったが、人に対してより柔軟に対応できるAIサービスが実現してきていると言い換えることもできそうだ。進藤氏は「AIが空気を読めるようになった」と、状況を表現する。

「これまで何となく人間が感じ取っていた“雰囲気”や“感覚”もAIによって定量化されはじめている。人間の会話の内容や文脈を分析し、スタッフにインサイトを与えてくれるようなサービスだ。背景に、スマートフォンやスマートスピーカーなど端末の普及がある。人間の音声データをより取りやすくなったため、関連サービスも充実してくる流れだ」

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ディップ次世代事業準備室
室長の進藤圭氏

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