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米NTWRKなど「今しか買えない」ライブコマースが非接触リテールとして躍進の予兆【NRF2020】

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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年3月31日時点で米国民の約4人に3人が外出禁止措置など何らかの行動規制を受けている。フィジカルな接触が制限されるなか、ブランドと消費者の接点としてライブストリーミングに商取引機能を組み合わせた利用が増えており、今後の新チャンネルとして定着しそうだ。NRF 2020にも登場したNTWRKとShopShopsの取組みと現在の様子についてリポートする。

<そのほかのNRF 2020レポートはこちら>
(1)顔認証も音声認識も。リテールにおけるパーソナライゼーションの深化を牽引
(2)米国のD2C「リアル店舗」戦略を支えるRaaS、アフターコロナのその価値は 
(3)Enjoyが目指すエモーショナルな購買体験、ECの便利さと実店舗のサービスを合体

モバイルファーストの‟YouTube世代向けQVC”

NTWRKは、「YouTube世代向けQVC」を標ぼうするモバイルファーストのライブコマースだ。ポップカルチャーに敏感なミレニアル世代とZ世代を対象に、提携ブランドの限定品を1日1点、あらかじめ決められた日の、決められた時間に独占的に販売する。

ここでたとえられているQVCは、言わずと知れた米テレビショッピング専門チャンネルの大手で、1日24時間365日、美容からアパレル、宝飾品、電化製品にいたるさまざまな分野の商品の発明者やブランド責任者が代わるがわる出演し、ホストとトークをしながら商品の魅力を説明する。米国では視聴者は番組に電話で参加し、商品について質問したり、たとえば過去に購入した同じブランドのブラウスについて、「肌触りがとてもいい」「家族から似合うといわれてよく着ている」など、自分の体験や感想を伝え、発明者やホストとおしゃべりを楽しんだりすることができる。

NTWRKは自らを、ブランドのストーリーを伝える「メディア企業」、商品を販売する「コマース企業」、ライブならではの臨場感やワクワク感を提供する「動画プラットフォーム」、そして利用者とブランド、または利用者同士をつなげる「ソーシャル・プラットフォーム」の4つの役割を併せ持つ企業と位置づけている。機能面だけ見ると、NTWRKはソーシャルな面を強化した、QVCのモバイル版といえる。

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NTWRKは「メディア企業」「コマース企業」
「動画プラットフォーム」
「ソーシャル・プラットフォーム」の
4つの役割を併せ持つ

商品は1日1点、ライブ配信で限定品を販売

NTWRKは2018年10月にサービスを開始した。CEOのアーロン・レバント(Aaron Levant)氏によると、同社サービスの特徴は「オリジナルコンテンツ」「限定品」「ライブ配信」「著名なゲスト陣」に集約される。NTWRKがメディア企業としてブランドのストーリーを伝えるコンテンツを作成し、ブランドがNTWRK用に著名人と協力して開発した限定品、または、まだほかでは買えない未発売の新商品を1日1点、スポーツ選手、俳優、歌手などの著名人がホストとなって紹介する。

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NRFセッションに登壇したレバントCEO

例えば米国東海岸時間の午後8時など、番組は予め決められた時間にライブ配信される。利用者はいつ、どの商品がリリースされるかの予定をNTWRKのWebサイトで確認し、専用アプリから番組にアクセスする。ライブ配信を視聴しながら商品への質問や感想をリアルタイムで投稿し、ホストやほかの利用者と対話ができる。画面下部には商品写真と簡単な説明、値段、購入ボタンが表示されており、購入ボタンを押すとあらかじめ登録した手段で決済が行われ、注文が完了する。同社は商品リリースのことを「ドロップ(drop)」と呼んでいる。

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