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日本のキャッシュレス決済のゆくえ、海外では課題解決型サービスが登場

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世界的に進むキャッシュレス化の潮流。日本ではクレジットカードを持たない若い世代の選択肢が狭いなか、これというサービスが定着しきれずにいるのが現状だ。一方で各国では多くのユーザーから支持を集める新たな金融アプリサービスが続々と登場している。その共通点は、社会的課題の解決に根差しているという点だ。世界の“お金のデジタル化”の様相を俯瞰しつつ、キャッシュレス社会への考察を深めたい。

日本では、現金以外の支払い方法としてはクレジットカードがまだまだ主流となっている。日本銀行が発行しているレポート「キャッシュレス決済の現状」によれば、クレジットカード、電子マネー、デビットカードなど、現金以外での決済金額は年々増加傾向にあるものの、クレジットカードがそのうち9割超(2017年末時点)を占めるという。

決済額9割超えがクレカの日本社会

一方、市場では「Apple Pay」「Google Pay」「おサイフケータイ」「LINE Pay」「PayPay」「Pring」など多種多様な電子決済サービスが乱立してはいるが、キャッシュレス化の割合が主要各国と比べて低い。世界のキャッシュレス事情に詳しい学界関係者のひとりは、日本の電子決済サービスは数多くあるものの、強く支持されるブランドが確立されていないことが課題のひとつだと指摘する。

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image: StreetVJ via shutterstock.com

そのぶんユーザーにとって使い勝手が悪く、店舗側にとっては導入費などのコストが負担となる。日本のデジタル決済と言えばこれだ、というような統一ブランドがないことは、日本のキャッシュレス化にとってマイナスだといえよう。

また、20代など若い世代は上の世代に比べてクレジットカードそのものの所有率が低いという統計もある。クレジットカードを持たず、決済アプリが普及しきれていない現在の状況では、若い世代の決済手段の多くが現金に偏っているといえる。三井住友VISAプリペイドやVプリカといった、審査不要のプリペイド式のクレジットカードも登場しているが、発行手数料や入金の手間を考えると、結局現金以外は、デビットカード一択という状況になりがちだ。そのなかで、2019年にメルペイが登場し、銀行口座残高もしくはメルカリポイントが、iDカードと同じ使い勝手で決済に使えるようになった。今後、メルペイが若者のキャッシュレス決済の覇者となるかもしれないとみる向きも多い。

若者の支払いが現金に偏っている状況は、企業にとっても好ましくない。というのも、世界各国で主流になりつつある、オンラインとオフラインをまたぐ「OMO(Online Merges Offline)」などマーケティング、および消費体験を若い世代に提供することができないからだ。シャネルがNYに創設したようなOMO型ストアが日本にできたとして、オンラインとオフラインどちらでもシームレスにショッピングを体験し商品を購入してもらうには、日本で幅広く支持される決済アプリの登場は必須といえよう。

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